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大力(嘘)で身を立てる  作者: ろん
第二部 王都進出

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レフとの再会①

王都到着の翌日、俺はレフ兄さんに会いに行くことにした。



俺のギフト保有者養成学校での活動は、明日からになっている。


今日中にいろいろと情報を仕入れておきたいけど、今のところ王都の情報源がレフ兄さんくらいしかいないんだよな。


もう1人、グローフィル子爵も該当するけど、昨日までにいろいろ聞けたから、新たな情報に当たるならレフ兄さんに当たるのがいいだろう。



レフ兄さんは今年15歳。


成人扱いになる15歳になるとギフト保有者養成学校を強制的に卒業することになる。


ギリギリまで学校に在籍する計画になっていたから、今年卒業して、魔術開発の部署に就職しているはずだ。



魔術開発の部署は、ギフト保有者養成学校の講義を担当することもある関係から、学校の近くに部署が入っている建物がある。

合同庁舎として、複数の部署が入居している3階建ての、しっかりした造りの建物だ。


その建物の入口に入り、窓口として座っている女性に魔術開発部署のレフ・ソーディスにアルトが会いに来ている、と言伝した。


少し待つと、レフ兄さんと窓口の女性、それともう1人成人したてくらいの女性の3人がやってきた。


「アルトか!また大きくなってるなー 久しぶりだな!」


レフ兄さんは背が低いわけじゃないが、170cmには足らないくらいか。

こちらに来てから背が伸びたみたいだけれど、180cmに近い俺ほどまでには届かなかったみたいだ。


昔からちょっと気にしていたからこその第一声かな。



「会議用の部屋があるから、そこで話そうか」


窓口の女性がいることだし、あまりここで余計なことは言えないなと思っていたら、レフ兄さんが提案してくれた。


窓口の女性に挨拶して、レフ兄さんともう1人の女性についていく。


1階と2階は各部署の作業部屋になっているようだ。

2階に魔術開発の札が貼ってある部屋もあった。


3階は会議室と部署長の個室が並んでいた。


レフ兄さんは、隅にある会議室の前にかけられている『空室』と書かれた木の札を裏返し、『使用中』とした上でその会議室に入っていった。

もう1人の女性も続く。


俺も会議室に入った。

少人数向けの部屋のようで、大きいテーブルが1つと、その両辺に椅子が6つ置かれ、予備用の椅子が3つ部屋の隅に置かれていた。


レフ兄さんともう1人の女性が並んで座っているので、俺はその向かいに座った。



「ついに、アルトが王都に来たんだな」


下で会った時とは変わって、落ち着いた口調でレフ兄さんが声をかけてきた。


「ああ」


俺は短く返事をしながら、ちらっと隣の女性を見て、レフ兄さんに目配せをする。


「ああ、先に紹介しておくよ。この人は俺と同じ部署の同僚で同期の、ケイトだ。アルトのことも、一通り話してある」


「よろしくね。あなたのことは、レフから何度も何度も話を聞いていたわ。ギフトのことも、村でのこともね」


なるほど。

そこまで話しているのなら、目の前で魔術を使っても問題ないか。



俺は昨日も使った風魔術で会議室の内側に風の膜を張り、音が漏れないようにした。


「今、魔術でこの会議室から声が漏れないようにしたよ」


俺が2人にそう告げると、ケイトさんが驚いて目を見開いていた。

レフ兄さんはそんなケイトさんを楽しそうに見ている。


「本当に、鮮やかに実用的な魔術を使うのね!レフから聞いていたとおりだけど、レフの話以上ね!」


ケイトさんのテンションが高い。

レフ兄さんは少し苦笑いしている。



「では、改めて。ケイトさん、はじめまして。レフ兄さんと同郷の、アルトです」


「あ、ええ。よろしくね、アルト」


「レフ兄さん、ケイトさんとはどういう関係で、具体的にどこまで話したか、どこまで話していいか教えてもらえるかな?」



レフ兄さんは、もじもじしながら少し逡巡した後、心を決めたのか俺をじっと見て言った。


「ケイトには、ほとんど全てを話してある。

俺と、俺たちと、共に歩む者としてな。

俺は、ケイトと結婚して一緒になろうと思っている」


ケイトさんはレフ兄さんと既にどこまで話すのか聞いていたのだろう。

驚いてはいないが、少し顔が赤くなっている。



ピューイ


思わず口笛を吹いてしまった。


「レフ兄さん、やるね! キリル兄さんにはその気配もないのに・・・まあ、キリル兄さんはそれどころじゃなかったんだけど」


「・・・兄貴はアルトが原因じゃないのか?」


レフ兄さんが照れているのを誤魔化しながら言ってきた。


「どういうこと?」


ケイトさんが不思議に思ったようだ。


「俺が、辺境開拓村を出る前にアルトに特訓を受けた話はしただろ?

兄貴は俺とは比べ物にならないくらい厳しい特訓をアルトから受けていたんだ」


「え? レフがヤバいって言っていた特訓より厳しいって・・・」


ケイトさんがひいている。


「まあ、そのおかげで、俺が村を出ることには、キリル兄さんは本気を出したエルン村長とやり合えるようになったからね。

・・・さすがにまだ勝てるところまではいかなかったけど」


「ええ!? あのエルン・ソーディスと本気でやり合えるって・・・キリルさんって、ギフト保有者じゃないんでしょう?」


「それだけ、キリル兄さんはがんばったんだよ。才能もあったと思うけど、それだけじゃない、やり遂げる意志の強さがあったんだ」


「ふーん。レフが何度もすごいって言っていただけのことはあるのね。レフは辺境開拓村の話をする時、いつも家族のことをすごいすごいってしつこいくらいに言っていたのよ。キリルさんのことも、兄貴はすごい、兄貴はすごいんだ、って何度もね」


レフ兄さんが照れて黙っているので、俺はニヤニヤしながら見てしまう。

まあ、このままだと話が進まないな。


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