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大力(嘘)で身を立てる  作者: ろん
第二部 王都進出

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学校の食堂

今日の『仕事』を済ませ、また内壁の門を通って寮の自分の部屋に帰った。


校内で途中ですれ違った者には軽く挨拶をしたが、結構な割合で二度見された。

・・・俺の身長・顔とバッジの色を確認したのだろう。


親の体格が良くて、しっかり食事をしていれば、俺くらいの歳で俺くらいの体格の者が他にもいそうなものだが・・・後は顔かな?


気にしても仕方がないし、早々に戦場にいく可能性がある身としては、見かけで甘く見られないのはいいことだとも思っている。

まあ、学校の連中もじきに慣れるだろう。



食堂に行くと、まだ夕食の時間には早いからか、人はまばらだった。


食堂の入口と、注文するカウンターに5つのメニューが書かれた板が備え付けられていた。

黒板のようにチョークで書かれていたから、時間帯ごとに書き換えているのだろう。


カウンターにいるおっちゃんに肉料理のセットを注文する。

顔とバッジをマジマジと見られたが、「兄ちゃんかなり食いそうだな。特盛にしとくかい?」と聞かれ、「お願いします」と答えた。


おっちゃんは「兄ちゃん顔の割に丁寧だな!」と笑いながら厨房の方に注文を伝えてくれた。


それほど待たずに、厚めに切ったステーキとスープとサラダ、それに更に大盛りに盛られたライスがトレーに乗せられて俺の前に出てきた。


予め途中まで仕上げてあるか、温めるだけのものを作り置いているようだ。

貴族はあまり利用しないだろうし、効率優先のシステムになっているんだろう。


「今日の肉は豚だぜ!おかわりが欲しくなったら声をかけてくれ!」


いかにも量を食いそうだと見て、声をかけてくれたようだ。

確かに、これでは足りなさそうだ。


聞いてはいたが、食肉用の豚が育てられ、王都にも流れてきているんだな。

辺境だとすぐに魔獣化するから家畜を育てられず、豚を食べる機会がなかった。


王都に来る途中の旅路でも家畜の肉を食べていたが、これが普通になるんだな。

魔獣の肉よりは旨いからありがたい。

・・・瘴気獣の肉には到底かなわんがな。



おかわりを前提に、カウンターから近い場所の席に座り、食事を始めた。

・・・結構、いやかなり旨いな!


俺の真のギフトで確認したが、カウンターにいたおっちゃんは料理のギフト持ちだった。

あのおっちゃんが監修して料理を提供しているんだろう。


塩味と香辛料のバランスが格別なポークステーキ、食感とかかっているドレッシングが絶妙なサラダ、具はそれほどないのに存在感を主張する奥深い味のスープ。

それと、ライスも長粒種だがそれに見合った炊かれ方をしているようで、これも旨い。


素材もそれなりに良いものを使ってそうだが、調理技術でここまで料理が変わるんだな・・・



全て食べ終えた後、おかわりというか、もう一回注文しにカウンターへ向かう。


食器を返しながらおっちゃんに感想を述べ、今度は魚料理を頼んだ。


「お前、分かってんな! 佇まいからして辺境出身と見たが、食事の作法といい、今の感想といい、なかなか堂に入ってやがる。

この学校に入ってきたばかりだろうが、なにモンだオメエ?」


「何者と言われても・・・辺境出身で今日王都にやってきた、この学校の生徒ですよ」


「今年入学ってことは歳がいってても12歳か・・・そうは見えねえが、そのバッジを与えられているってことはそうなんだな。そうじゃなくてよー」


「礼儀作法や基本的な学習は、辺境開拓村で教えてもらっていました」


「そんな余裕のある辺境があるか?・・・いや、エルン・ソーディスのいる南東ならあり得るか・・・」


「よく知っていますね。その通りで、南東辺境開拓地域でエルン村長、エルン・ソーディスにいろいろと学びました」


「エルン村長・・・な。エルン隊が解散してから、辺境でもうまくやっていたんだな」


「エルン村長のことをご存知なんですか?」


「ん?ああ、直接話したことがあるって訳じゃないんだけどな。


平民出身で戦場では誰よりも成果を上げる。何よりエルン・ソーディスが活躍する戦場では味方の戦死が少なくてな。


俺の知っている奴らが生きて帰ってきて、そいつらがみんなエルン・ソーディスのことを褒めそやすもんで、まあ、なんていうか、ファンになったというかな。


当時そういう奴は結構いたもんだぜ」


少し照れた顔をしながらおっちゃんが話している内に、俺が頼んだ魚料理がカウンターに乗せられた。


「おう。まあ食えよ! ああ、俺はこの食堂の料理長をやっているナセルだ。よろしくな!」


「ありがとうございます。俺は、アルトです。これからもよろしくおねがいします」



ナセル料理長に礼を言って、料理を持って先ほどと同じ席に座った。


エルン村長は王都でも有名だったんだな。

十年以上経っても忘れられていないくらいに。


ファンにはエルン隊解散の後、南東辺境開拓地域の管理者になったことまで把握されているのか。


少し誇らしい気持ちになって、肉料理とはまた違った風味の魚料理に舌鼓を打った。


この作品を読んでいただきありがとうございます!


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