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大力(嘘)で身を立てる  作者: ろん
第二部 王都進出

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王都への道行き④

賊の襲撃後、旅を続ける中で、グローフィル子爵たちの俺を見る目が変わり、秘密を共有したこともあって、より深い話をすることができた。



特に俺にとって重要だった話は、ギフトと貴族家の関係だ。


ギフト持ちは学校に入るだけで準騎士、学校を出ると魔法士は男爵に、魔法士以外の戦闘に強いギフト持ちは騎士になる。

そして、成果を残せば陞爵され、一代限りではない貴族家となっていく。


アクチュア王国の領土がほぼ固定されている今では、既存の貴族家にとってギフト持ちの台頭は自分たちの権益を侵す者の発生と同一視され、嫌悪の対象となっている。


貴族家の中でも大貴族の初代は、王国創立時に初代国王とともに活躍したギフト持ちだが、ギフトが遺伝するわけではない以上、大貴族の家で初代以降の子孫にギフト持ちが発生するとは限らず、積み上げてきて確保している既得権益によって権力を保持している。


なお、貴族家にギフト持ちが生まれると、その家では盛大に歓迎される。

そして、ギフト持ちが生まれた貴族家以外の貴族家からは盛大に嫉妬されることになる。



辺境開拓地域は、それ以外の地域と比較して、ギフト持ちが生まれる確率が、人口比で数十倍になるほど高い。

大貴族が辺境開拓地域を滅ぼそうという動機は、一番は王家の力を削減することだとしても、ギフト持ちが多く生まれることを忌み嫌っていることも含まれるようだ。



一つ、面白い話を聞いた。

ローゼルスタッド侯爵家で剣士ギフトに覚醒した者がいて、俺の一つ上の歳なのだそうだ。


学校では関わることになるかもしれないな。



俺がこれから入学することになる、ギフト持ち向けの学校は、ギフト持ち以外でも希望者が有料で学べる場所となっているらしい。

貴族家のギフト持ちが入学する時は、取り巻きとしてついていくことが多いそうだ。


国営で、学べることが多岐に亘り、ギフト持ちと交流することができるため、成功した商人の子息なども入学することがあるそうだ。



エルン村長もアデリナさんも、早く学校を出ることを優先して考えていていたから、学校での交流は庶民出身の者に限っていたそうだ。

だから、あまりその辺りは2人から聞けなかったので、なかなか有用な情報だった。



俺の方からもグローフィル子爵にメリットを提供した。


来年、12歳になるオレグと共に、11歳のイリナも王都に行くことが決まっている。

イリナが1年繰り上げて王都に行くことを、グローフィル子爵の説得によるものということにする。


魔法士を2人同時に連れて行く、1人は1年繰り上げでというのは、グローフィル子爵からこれまでに聞いた話だと、それなりの手柄として認められるだろう。



その話をするとグローフィル子爵は表情を崩して大喜びしていた。


その喜びように、御者台にいた護衛2人も覗き込んだほどだ。


グローフィル子爵は護衛に見られてもテンションがしばらく上がったままだった。



エルン村側からすると、グローフィル子爵に手柄を渡してもそれほどデメリットはない。

あえて挙げるなら、グローフィル子爵が属する派閥に寄ったように見られることくらいか。


グローフィル子爵は緩めの王家派というくらいだし、エルン村とその関係者は大貴族たちには既に憎まれているだろうし、今更だな。



俺と、そしてエルン村とこれまでより関係を深めることは、グローフィル子爵側にとってもメリットが大きく感じたようで、紹介できる人脈の話や、今後の情報交換などについても話すことができた。



エルン村を出る時には、どうやってこの旅の間にグローフィル子爵と関係を作るかと考えていたが、王都での有力なコネクションになってくれそうだ。




最初の襲撃以降は特にトラブルもなく、俺が魔術を隠さなくなったので旅も快適になり、旅路で立ち寄る街や村などを見聞しながらも順調に王都へ近づいていき、ついに王都が見えてきた。



王都の城壁は、それまでに見てきた街の城壁とは桁が違う規模の大きさだった。


しかし、それを見ても特に懐かしいなどの感慨はなかった。


いい思い出もあったはずだが、それ以上の嫌な思い出に塗りつぶされているからかな。



エルン村ではできる限りのことをやってきた。


今度は、この王都で、エルン村のため、そして俺自身のために、できる限りのことをやっていこう。


この作品を読んでいただきありがとうございます!


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