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大力(嘘)で身を立てる  作者: ろん
第一部 辺境開拓村

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ギフト、身体術、魔術の確認

アルトと有仁の人格が統合され、ギフトに覚醒してから1ヶ月が経った。



アルトが変わったことが誰にもバレないように気をつけながら調べてみたが、いろいろ収穫はあったと思う。



まず、ギフトとは何かを確かめられたことが大きいな。


ギフトとは、『人間の原型にくっついた外付けのパーツ』だということが分かった。


おそらく俺のギフトでしか分からないことなのだろうと思うけれど、俺も含めて誰もがこの『人間の原型』と俺が仮に呼んでいるものを持っている。


魂みたいなものというか、目に見えないけど知覚できるものというか。

この人間の原型は老若男女に関わらずみな同じものみたいだ。


プラトンの言うイデア・・・とは違って、オブジェクト指向で言うと、人間のイデアがクラスなら人間の原型は人間クラスのインスタンスみたいなカンジ。


まあ知覚できるだけで俺にも説明するのは難しいんだけど、とにかく人間はみな人間の原型を持っている。



そして、ギフト持ちはこの人間の原型にギフトを構成するパーツがくっついている。


人間の原型にギフトをくっつける場所が元々用意されていて、そこにくっついているようだ。


ソフトウェアで言うとプラグイン、ハードウェアだとパソコンにつけるUSBメモリや外付けハードディスクみたいなイメージだろうか。


接続する場所を切り離すように意識すると、ギフトがオフになって使えなくなる。

接続すればまた使えるようになる。


おそらくだけど、キャンセルのギフトは他人の人間の原型からギフトを強制的に切り離すという能力じゃないかな。



このギフトはXMLみたいなタグと中身で構成されているようだ。


俺でも完全に読めるのは名前のタグの中身くらいで、他はそういう構造になっていることと内容が少しわかるくらいだけれど。


俺は、ギフト鑑定の宝玉はこの名前のタグの中身を読み込んで表示しているのではないかと当たりをつけた。


10日前、ギフト鑑定の王都からの使者が来た時に、俺の推測が正しいことが確認できた。

そして、俺のギフトでギフト鑑定の宝玉が読み込む内容を欺瞞できることも確定した。



・・・ギフト鑑定を乗り越えられなかったら、鑑定される前に逃げる必要性があったし、本当にほっとしたよ。




ギフトの使い方と、身体強化系のギフトに偽装することについてもある程度目処がたった。



本来のギフトについては、使い方も含めて最初から備わっていたかのようにスムーズに使うことができた。


ギフト持ちがその力を使う感覚がこんなカンジなら、誰でもすぐにギフトを使って活躍できるだろうなと思ったよ。

おかげで、ギフトを偽装するハードルは上がったけれども。



他のギフト持ちの人がどのように使っているのか、訓練を観察したり、農作業で魔術を使っているところを観察したり、話を聞いたりして、ある程度わかってきた。



体の外で主に使う魔術に対して、体の内で主に使う身体強化系の技術を身体術というらしい。


魔術も身体術も、そこら中に存在する『魔素』を使っている。


この魔素を操る、干渉するとかアクセスするとか言った方が適切かもしれないが、魔素に関わっていく力のことを『魔力』と呼んでいるそうだ。

元の世界のゲームとか小説の設定の魔力とはちょっと違うような、やはり似ているような、微妙な感覚だけれど、そういうものらしい。



俺はギフトのお陰で魔素の動きをかなりの精度で把握できた。


だから、身体術でどのように魔素を使って体を動かしているか、魔術でどのように魔素を動かして効果を発現しているのか、見ていてある程度理解できた。


身体強化系の剛力のギフト持ちが訓練しているところを特に集中して観察していたけど、本人はそれほど意識せずにバランスよく魔素を扱って身体術を行使していたように思う。



この『バランスよく』魔素を扱うということが、ギフトに頼らずに実現することがどれだけ大変か、模倣しようと試行錯誤する中で、文字通り痛い目を見ながら実感した。



まず、体内に魔素を集め、魔素で筋力を強化して、ボクシングのストレートを放ってみた。


・・・俺の腕が放たれていった。


それほど音を立てずに、あっさりと肩から腕がちぎれて飛んでいったのだ。

俺の身体術デビューはロケットパンチだった。



俺のギフトで痛覚を遮断して、慌てて腕を拾い、くっつけた。


何もなかったようにあっさりと治せた。だけど、一緒にちぎれた服を直すほうが大変だった。腕を治す労力の何百倍もの労力をかけて何とかギフトで直せた。



腕を動かす腕力だけ強化して、腕の強度を強化していなかったのがロケットパンチの原因だった。


この強度も曲者で、固くするだけだとバキッと折れてしまい、靭性とでもいうのか、伸び縮みにたいする強度も強化する必要があったりして、何度も修正する必要があった。


重い物を持って振り回すと背骨がぶっ壊れたりした。


骨、骨の周りの筋肉、関節部分など、いろんな箇所をその強さに合わせてバランスよく強化する必要があった。



ギフト持ちは特に意識せずに自然にこんなことができているのか。

改めてギフトの凄さを実感した。



訓練している大人の中には、ギフトがないのに身体術を使えている人もいた。


身体強化の程度は剛力のギフト持ちの人よりもかなり低かったけれど、俺と同じように試行錯誤で身につけたのだろうか。


俺はギフトによって魔素を感じる能力があったからすぐに実践できたけれど、あの人たちは魔素を感じるところから試行錯誤したのだろうか。

人の可能性について考えさせられるなと思った。




魔術の方は、どのように行使しているかを把握できれば問題なく使えた。


体の外で使うので、体が吹っ飛んだり壊れたりしないしな。



術式とでも言えばいいのか、『ここにこれを組み込めばこういう効果になる』みたいな法則の、言語ではない何かがあって、それらを誤りなく、適切な強度で維持すれば行使できるようだ。


元の世界で言うと、子供向け学習用プログラミングのスクラッチみたいなものだろうか。

パーツの組み合わせでソフトが出来上がるみたいな。


もっと感覚的で、パーツの強弱まであって、さすがにスクラッチほど簡単に組めないだろうけれど。


ただ、それなりに法則性がつかめれば、魔術を自分で改良したり新しく作ったりはできそうだ。

この作品を読んでいただきありがとうございます!


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