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大力(嘘)で身を立てる  作者: ろん
第一部 辺境開拓村

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現有知識の確認 ②PEST分析、今後の方針

次は俺が今置かれている環境について、今わかることとわからないことを判断するためにPEST分析をやってみようか。



PEST分析は政治・経済・社会・技術の4つの視点で外部環境を分析するフレームワークだけれど、元の世界のコンサル業界では既に古臭いとか視点が足りないとかいろいろ言われていたな。


でも、古臭いとか言われている枯れたフレームワークのほうが結構使いやすかったりするんだよな。


SWOT分析とか、ポーターの5フォースやバリュー・チェーンとかも昭和の時代から使われているらしいけど使いやすかったし。



全く何もないところから考えるより、あらかじめ用意したフレームワークに当てはめて検討するほうが、思考の焦点が定まりやすいだろう。




政治:

今いる国はアクチュア王国で、名前の通り国王を頂点とした王政だということがわかっている。


ただ、領地貴族同士の小競り合いの話がエルン村のような国の端っこにあるようなところでも話題に出ていたくらいだから、貴族の権力が結構強くなっているっぽい。

国王による統制はあまり効いてなさそうな気がする。


エルン村は東と南で大森林に接している南東辺境開拓地域、というのが正式名称らしいけれど、どういう制度のもとで管理されているのかはまだわからない。


年に1回ギフト確認の王都からの使者がきているが、それ以外の法制度とか税制とかは現時点ではわからない。


国の制度や国力、近隣の国とその関係、王侯貴族や役人の権限、ギフト持ちの立場など、いろいろ調べておく必要がありそうだ。




経済:

エルン村は村内で衣食住すべてにおいてほぼ自給自足できているっぽい。

ただ、農業はアデリナさん、村の防衛や狩りはエルン村長が中心になっていそうで、今は回っていても属人的なのが気になるところかな。


近隣の街の商品の話を聞いたことがあるので、交易などはしているかもしれない。


何をどれくらい満たせているのか、どれくらい余裕があるのか(貯蔵しているものはどれくらいか)、外部との交易は何を売って何を買っているのかなどを知っておかないと、どういった施策が必要かなどの検討もできないな。




社会:

エルン村では農業や狩りの一次産業メインで、文明としては元の世界の中世くらいかなと思ったりしたけれど、一概にそうは言えないかもしれない。


識字率は高そうだし、貨幣制度が行き届いてそうだし、衛生観念もしっかりしているようだし。


生産系のギフトでは知識・知恵も与えられるようなので、発展しているところはそこから展開されたんだろうか。


有仁の世界と大きく異なる点として、通常の獣以外に魔獣や瘴気獣と呼ばれる人を積極的に襲う生物が存在し、エルン村が接している大森林でよく見られるようだ。


社会の常識、王侯貴族と平民などの階層別の常識、何が当たり前で何がないのか、元の世界との違いで戸惑いそうだけど、先入観なしでいろいろ見聞きして慣れていくのが大事かな。




技術:

技術的な視点はより混乱しそうだな。

井戸は人力でポンプすらなかったりするのに、エルン村長の家には薄い紙に多色刷りで製本された絵本とかがあったし、通貨は現代日本の硬貨と遜色ないレベルで作られていたり。


エルン村の家は木で作られた簡素と言うか、家具も含めて原始的といったカンジだけれど、王都では3階建ての家くらいはあった。これは地域差かな。


どういった技術があってどういった技術がないのかはしっかり把握しておくべきだな。


できれば技術の発展過程も知っておきたい。




ほとんど分かっていないことが分かったくらいだけれど、何を知るべきなのかはある程度把握できた。


さすがに5歳児が今までに見聞きした記憶だけだとあまり情報がないけれど、必要なのに分からないことがあることが分かったから、知識の穴を埋めることの優先度を上げていこう。




当面何が必要か、何をするべきか、今後の方針を立てるには足らない情報が多すぎるので、方針を立てるために必要な情報を集めるための方針を考えようか。



まず、すぐに必要なのはギフトの偽装だな。

ギフト鑑定の宝玉を誤魔化せるかどうかを調べないといけない。


誤魔化せる目処が立った場合、代わりに名乗るギフトの設定も決めないといけない。


身体強化系のギフトに偽装するとして、具体的に何ができるかを、エルン村の剛力のギフト持ちの人を観察して理解する必要があるな。


真のギフトの使い方も周りにバレないように試しておかないとな。



ギフトそのものについても、ギフトとはいったいどのようなものなのか、俺のギフトだけでなく他のギフトも確認して、共通点や相違点を把握しておくべきだろう。



エルン村で使われている魔術についても、どのようなものか、どういった条件が揃えば使えるのか、確かめたい。



後はPEST分析で分かった知識の穴を埋めていくことだな。



いろいろ動いてみて、分かったことがあればそれを含めて考察し直し、十分に情報が集まれば、具体的な方針を改めて立てるとしようか。




「アルトお兄ちゃん、もう暗くなってきたよ」


イリナがトコトコと歩いてきて俺を呼びに来た。

気付けばもう日が暮れそうになっていた。


「ああ、呼びに来てくれてありがとうな」


礼を言いながらイリナの頭を撫でると、「えへへ」とにっこり笑った。


俺の妹は可愛いな!


アルトと有仁が統合されてから初めて会った妹を見て改めてそう思った。

この妹と、妹の笑顔を取り戻してくれたこのエルン村のために、俺のできることをやり尽くそうと、心に誓った。

この作品を読んでいただきありがとうございます!


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