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大力(嘘)で身を立てる  作者: ろん
第一部 辺境開拓村

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新たな出会い②

門番2人は俺と話はしてくれるが、話題の深堀りは進まなかった。


好奇心を示していた方の門番が集落の話をしようとすると、もう1人の方が彼らの言語で制止することが何度もあった。



話には応じるが進まない。

これは、時間稼ぎをされているようだ。



門の奥は見えないようになっているが、集落の気配はところどころに固まって動いていない。


最初に門番が上げた吠え声は、集落内への警戒を促す合図だったのかもしれない。



そして、7つの気配が右斜後方からこの集落に向かっていることが分かった。


門番は、この7人が集落に戻ってくることを待っていたのかもしれない。



まあ、時間稼ぎのための対話だったとしても、俺にも益があった。


相手の種族の思考パターンが馴染んできたのか、こちらの伝える内容も、あちらから伝わる内容も精度が上がってきたのだ。




7つの気配が、門番と俺の様子に気づいたようで、移動スピードを速めてきた。



俺の前に7人の、門番と同じ種族の者が現れた。


4人が2人1組になって樹に魔獣をくくりつけて運んでいる。



エルン村の大森林探索のチームのようなものだろうか。


1人、明らかに上位者と思える立ち位置と空気だ。

エルン村長のように、集落のトップが外での活動を担っているのかも知れない。



慎重な方の門番がその7人に向けて話しかけている間に、俺はその7人の方に体を向けた。


思念を繋いで意思疎通をしようと考えていると、魔獣を運んでいなかった3人の内の1人、俺に一番近い位置にいたものが、俺に襲いかかってきた。


手に持った槍で突いてくる。

俺は微動だにしない。


身体術による強化によって、槍は俺の服にも傷をつけられず、一度引いて、何度も突きかかってきた。

全て身動きせずに受ける。


顔を狙ったものも眼球を狙ったものも全て受け止めた。


その間に俺に攻撃している者も含めた7人と思念を繋ぐ。


『ここにいる俺が、思念を繋いだ。言葉は分からないが、互いに考えを伝えることができる。俺に伝えようとしたことが、俺に伝わるようになっている。頭の中を覗いているわけではないので安心してほしい』


門番に伝えた内容と同じことを伝えると、俺に攻撃していたものは驚いて止まり、他の6人も驚いていた。


魔獣をくくりつけた木を支えていた1人が木を地面に落としてしまい、ドサッという音がして、他の者も我に返ったようだった。


『このような技術があるのだな。まさか、初めて見聞きする種族で出会い、すぐその場で意思疎通が果たせるとは・・・驚いたものだ』


上位者と思われる者が思念で語りかけてきた。


『我らの仲間がそちらを攻撃してしまい、すまない。集落を襲う敵だと思ったようだ。全く避けず、反撃せずにいてくれたのは、こちらと対話をする意志があってのこととお見受けする』


『その通りだ。俺はこの大森林の外で暮らす「人間」という種族の者で、大森林を探索することもある。人間以外の種族と初めて出会ったので、交流しようと考えた』


『大森林、その外か。やはりあったのだな。この樹木が立ち並ばない世界が。その外が存在し、またその外からきた存在に出会う、まことに稀な日よ』


『歓迎してくれとは言わないが、互いに必要なものを融通できるのであれば、交流に意味があるのではないかと考えている。そのためにも互いの理解が必要だとも考えている。どうだろう、俺と対話をしてもらえないだろうか』


そもそも、何が求められるのか、何が礼儀なのか、それも分からないので、率直にこちらの望むことを伝える。


上位者、おそらく集落の長が、腕を組んで考えている。

ほー、そういった動作は種族を越えて共通するんだな。


『お主は、おそらく、この集落では敵う者のいないほどの強者だな。それでいて、こちらを脅かすつもりもないようだ。稀なる客人よ。私の家でもてなしを受けてもらおう』


集落の長(多分)は、俺に思念で語りかけながら言葉も発していた。

周りの者にも言い聞かせるためだろう。


集落の長が先頭を進み、俺がそれについていくと、魔獣を運んでいた4人は担ぎ直し、残りの2人とともに後ろに続いた。


『すまなかったな』


慎重な方の門番の横を通る時にそいつが語りかけてきた。


『いや、事情は察する』


どのような身振りが正しいか分からなかったので、俺はその門番の方を向いて思念だけを返した。




門をくぐり、集落に入るとすぐに壁が建てられていた。


門を開けても中の様子を探られないようにするためだろう。


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