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大力(嘘)で身を立てる  作者: ろん
第一部 辺境開拓村

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新たな出会い①

大森林の大きさを把握しようと東に向かった時、エルン村から東に6000kmくらいのところで、それまで想像もしていなかった光景を目にした。



1つ存在しているなら他にもあるのではと思い、エルン村の近くでも同じ光景が見られないか、時折時間を当てて探すようにしていた。



そして、エルン村から東に1000km、北に400kmほど向かったところに、あの日見た光景と同様の光景を見ることができた。



エルン村の大森林探索チームが到達するにはまだ遠い場所だし、位置的には東部辺境開拓地域の管轄になりそうな場所だ。


まあ、アクチュア王国の管轄にはならないであろう程には離れているが。




俺が以前見つけたのは、そして今回見つけたのは、大森林で人間以外が生活を営んでいる集落だ。



魔獣の群れや、群れの集まった大きな巣くらいまでは見かけたことがあるし、大森林を探索している者なら誰でもしっていることだが、村のような営みが感じ取れる『集落』を運営する人間以外の生物が存在するとは聞いたことがなかった。


有仁の世界のファンタジー小説では定番だが、こちらの世界では物語にすら登場していない。


物語では神獣という神と同列の存在が世界の秩序を維持している、なんてことが書かれていたが、直接会った者はいないし、実在を信じる者もほとんどいないだろう。



集落にいる『何か』は神獣などではないだろうしな。

どちらかというと人間に近いように見える。



エルン村の東6000kmのところで見たのは、頭に角があって小柄で緑色の肌、有仁の世界のゲームに出てくるゴブリンのような姿だった。



そして、今俺が見ているのは、犬が直立しているような、ゲームで言えばコボルトのような姿と表現するべきだろうか。


有仁の世界でのコボルトはゴブリンと同じような姿のバージョンがあったりしたが、今見ているのは筋肉ムキムキの犬っぽい。


洞窟や鉱脈に住んで金属をコバルトにする性質がある、という設定だったように憶えているが、森を切り開いて家のようなものを建てて住んでいるな。




エルン村の近くで見つけたら交流しようとは考えていた。


意思疎通は俺の真のギフトの力でなんとかなるだろう。



有仁の世界で、未開の部族は、相手を味方か、敵か、知らない者かの3種類で区分する、という話を聞いたことがある。

そして、敵なら殺し、知らない者も殺すとか。


知らない者でも、共通の知人がいることが分かれば味方扱いしてくれることもあるそうだけれど。



エルン村よりも危険な立地で、見知らぬ種族が1人でやってきたら、まず最大限に警戒されるだろうか。


攻撃されても反撃しない姿勢を徹底して、何とか対話に持ち込みたいところだ。




集落は樹木を加工して作った壁で円を描くように囲われ、北と南の2箇所に門があり、北の門は閉じられ、南の門は開かれていた。


その南の門の前には2人、おそらく門番としての立場で立っていた。



俺は南の方から集落に向かって、ゆっくりと歩いて近づいていった。



門番2人の内1人が俺に気づくと、俺には分からない言葉で短く会話をした後、「ウオーーーン」と吠えた。



やはり、言葉はわからないな。



人間だと、アクチュア王国の他の国でも言葉は同じらしい。


昔、アーセン帝国という国家が大陸を統一し、そのアーセン帝国が滅亡した後に分裂し、またはアーセン帝国に敵対的だったものが独立したらしい。


そのアーセン帝国時代の言葉が共通してどの国でも使われている。

アクチュア王国も、その隣国も、その更に奥にある離れた国も、言葉は一緒なのだそうだ。



SOV型の言語、主語が最初で動詞が最後の言語と日本語のような文法で、日本語のような語彙もあり、アーセン帝国は転生した日本人が建国したのかとすら思ったが、転生者という者が過去に存在したという記録は、物語ですら知られていないそうだ。


エルン村長家の書物を調べてもその形跡は見当たらず、エルン村長とアデリナさんにそれとなく聞いてもてもピンと来ていないようだった。



元人間だったり、元アーセン帝国に属していた種族だったりしたら、言葉が通じるかなと思ったが、そんなことはないようだ。

ほとんど可能性はないと思ってはいたが。




門番2人が俺に武器を向けながら、話しかけてきた。


やはり言葉は分からないので、真のギフトでその2人と思念を繋ぐことにした。



『眼の前にいる俺が、思念を繋いだ。言葉は分からないが、互いに考えを伝えることができる』


『ナンダト』

『ウオッ』


『俺に伝えようとしたことが、俺に伝わるようになっている。頭の中を覗いているわけではないので安心してほしい』


『フム。コンナカンカクハ、ハジメテダナ』

『ナンカオモシロイナ』


何というか、思っていたよりも理知的な対応というか、余裕が感じられるな。


この門番2人は近隣の魔獣を含めた環境の中で強者という位置づけにあるのかもしれない。


1人はいきなりの事態に早速好奇心まで示している。



予め、意思疎通を始めたら何をどの順序で伝えるかを考えてはいたが、いくつか省略して話を進められそうだ。



何とか苦労しながら、俺が人間という種族であること、大森林の外で暮らしている種族であること、人間の中には大森林を探索する者もいることなどを伝えていった。


こちらが先に情報を開示していったからか、門番2人も少しずつ自分たちのことを話してくれた。


この作品を読んでいただきありがとうございます!


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