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大力(嘘)で身を立てる  作者: ろん
第一部 辺境開拓村

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大森林単独探索 魔獣・瘴気獣の生態観察⑤

特大型の魔獣の検証を目的に単独探索に向かった。



大型までの魔獣の生態と、瘴気獣の生態を踏まえて、その間の存在としての特大型魔獣の生態を把握しよう。



瘴気獣には全長20~30mの大型魔獣に該当するサイズのものもいるが、ほとんどが特大型のサイズだ。



ただ、魔獣も20mを超えたくらいのサイズから、瘴素侵食割合の高低が生態に影響していると思われる。


瘴素侵食割合が高いほど、自分より瘴素侵食割合の低い魔獣を襲う傾向が強くなるようだ。


自分よりサイズが大きく、魔素濃度が高い魔獣さえも襲っているところを何度か見かけた。


勝てる相手を襲うよりも瘴素侵食割合の低い相手を襲う、この生態も、自身の瘴素侵食割合を低くする動機づけが働いているように思える。



何体も特大型魔獣を観察し、瘴気獣の観察時に立てた特大型魔獣に関する仮説はほぼ正しかったと検証できた。




特大型魔獣の生態の観察と検証が一通り終わってから、少し時間がかかっても、1件だけでもいいから確認したいことがあり、その検証に取り掛かることにした。



『魔獣が瘴気獣になる』ということが正しいかどうかだ。



瘴気獣を何体も1ヶ月以上の時間をかけて観察して、瘴気獣が瘴気獣を生む所は確認できず、その生態からありえないと結論した。


自然発生も可能性を100%否定できるわけではないが、まずないだろうと考えている。


そうなると、『魔獣が瘴気獣になる』しか考えにくいが、実際にその現場を見たわけではない。



というわけで、その現場を見るために、瘴気獣になりそうな魔獣を探すことにした。


瘴素侵食割合が魔獣の限界直前にある特大型魔獣、奇形化が始まっているくらいの個体を観察すれば、瘴気獣になるところまで確認できるのではと考えた。




瘴気が地面から湧いている、瘴気獣が多いエリアで、全長35mの熊型の魔獣で、瘴気獣とほとんど変わらないほどに瘴気に侵食されている個体を発見した。


頭や手足の奇形化も始まっていて、皮膚の色がところどころ変色している。



この熊型特大型魔獣を『魔獣が瘴気獣になる』現象の確認のため、観察することにした。



この検証の障害、検証が失敗する最大の要因は、瘴気獣になる前にこの魔獣が死ぬことだろう。


そして、その死因は瘴気獣に殺されることである可能性が非常に高いだろう。



その要因を排除するため、瘴気獣から対象の魔獣を守ることにした。

魔獣の護衛をするのは流石に初めてだった。



瘴気獣が対象の魔獣を発見すると、この対象に向けて一直線に襲いかかってくる。



そこで俺が瘴気獣の背後で一旦魔素の動きの隠蔽を解く。


人間という最優先の目標が現れたので、瘴気獣は対象の魔獣がいなかったかのように、俺に向けて全力で襲いかかってくる。


対象の魔獣も俺を標的とするが、俺と対象の魔獣の間に瘴気獣がいるのですぐには向かってこない。



俺が瘴気獣を瞬殺して、魔素の動きの隠蔽を再度施して、対象の魔獣の観察に戻る。




対象の魔獣の観察を始めてから2週間、瘴気獣を6回撃退し、対象の魔獣を生存させ続けた。



そしてついに、対象の魔獣の瘴気の侵食が進み、瘴気獣の侵食割合に達したと思われた時、対象の魔獣に急激な変化が現れた。


早送りの映像のように頭や手足の奇形化と皮膚の変色が進み、歪な脚が追加で生えてきて、対象の魔獣は瘴気獣になったのだった。



対象の魔獣が瘴気獣になった後、別の瘴気獣の個体と接近したが、瘴気獣の生態通り、お互いに忌避し合っていた。




結構な苦労があったが、『魔獣が瘴気獣になる』という命題を確かめることができた。



魔獣と瘴気獣の生態の検証は、これで一段落とすることにした。


この作品を読んでいただきありがとうございます!


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