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大力(嘘)で身を立てる  作者: ろん
第一部 辺境開拓村

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スタンピード計画の阻止③

北西村の上空で足場を築いて地上を見ると、夜も更けているのに灯りが数多く灯され、混乱した状況にあることが確認できた。



エルン村の大森林探索メンバーが見学メンバーも含めて、留守役を除いた大部分が北西村に向かい、草4名と草の影響を受けたと見られる関係者18名を一斉に確保したからだと思われる。



俺が斥候のギフト持ちを追う前に、エルン村長家の扉に合図の布を結びつけたので、それを見て一斉検挙の計画が実行されたのだろう。


一斉検挙の直前に事情を知らされたメンバーも驚いただろうな。



草の家族や草たち以外の何も知らない人にとっては、正に寝耳に水のことだっただろう。




予め合流場所と決めたところにエルン村長たちが集まっていることを確認し、そこに向けて上空から降りていく。



そこには、エルン村の主要メンバーと拘束された草4名が集まっていた。


残りのエルン村の人員は関係者18名を別の場所で確保しているのだろう。


俺はそこに降り立ち、手に持っていた斥候のギフト持ちを地面に下ろした。



両手足が砕かれ、顔と胴体にも暴行の痕があるスタンピードの実行役の姿を見て、草の中で女性を除く3名が驚きと諦めの表情を見せた。


女性の草は他の草の表情を見て遅れて何が起こったのかを悟り、似た表情になった。


この反応の違いは実行役を直接知っているかいないかの違いだろう。



段取り通り、監視役2名を置いた上で、エルン村主要メンバーと俺は場所を移した。



俺は持参した斥候のギフト持ちの意識を戻し、少し待って意識がはっきりしたことを確認し、俺に自白した内容をエルン村主要メンバーに対してもう一度話すように促した。


何度も俺に話させたことから、話慣れてある程度ポイントを整理した内容になっていた。



斥候のギフト持ちが話し終えた後、俺が尋問して何度も確認した内容と一致していることを保証した。



その後は、もう一度斥候のギフト持ちを気絶させ、4つのグループに分かれて草4名をそれぞれ別の場所で尋問を始めた。



俺はリーダー役、最古参、若手男、若手女の順に尋問に参加し、参加するたびにどこまで話したかを確認し、斥候のギフト持ちに対する尋問と同様の手法でそれぞれ自白させた。


他の者への完了した尋問の内容と一致しない発言については、念入りに追求し、追い詰めた。


リーダー役と最古参は斥候のギフト持ちと同じように奥歯に仕込んだ毒で自殺しようとしたが、当然阻止した。



俺の尋問に同席したメンバーは、エルン村長とキリル兄さんは何のためにやっているのを理解して受け入れられたようだったが、それ以外はかなりショックを受けていたようだった。


7歳の子どもが大人でもひくような尋問をやっていたら、それはショックだろうな。

何度もその実行する意味、辺境開拓村を滅ぼすつもりで画策し、動いていた者たちに対する行為であり、計画の阻止と原因の追求という意義を伝え、みんな理解はできたようだったが、感情で納得するのはなかなか難しかったかもしれない。


まあ、今夜になって急に今まで全く伝えられていなかったこちら側の計画を伝え、即行動に移したわけだし、みんなの立場に立ってみると仕方ないとも思える。




草の若手女の尋問を終えた時には、もう夜が明けて空が明るくなっていた。



関係者の尋問は6名ずつの3組に分け、重要度の高い順に1人ずつ尋問して一巡済みらしい。


草の尋問結果と関係者の尋問結果、後は関係者以外の北西村の住民への聞き取り調査で、関係者の行動とその重さを測ることになるだろう。


草の動きに積極的に関与していた者については、その背景を知らず、悪意がなかったとしても、スタンピードを引き起こされた場合の過失の大きさ、北西村内での風評の問題から、北西村に留めておくことは難しいだろう。


エルン村の不満を広めていた者、大森林探索への参加を希望して他人も唆していた者については、その程度によっては追放処分も検討されるだろう。


関係者については実行者と草と比べると急いで結論を出すべき問題ではないので、調査と判断に少しは時間をかける余裕がある。




草の尋問を終えた後、徹夜明けの休息を取ってから、俺は調書と報告書の作成に取り組んだ。


調書は人別項目別に分けて付番し、詳細に書き込み、調書間で関連するものについては付番を参照用の注として記載した。


報告書は今回の事件全体の概要と時系列の流れ、実行者や草の役割別の動きをまとめ、最後に補足資料として主導者がローゼルスタッド侯爵家である可能性の指摘と、実行者と草の供述内容、草の出身地などの根拠について書き込んだ。



調書と報告書は王家に提出するものだが、大貴族であるローゼルスタッド侯爵家を糾弾する根拠が現場の犯人の供述と背景からの推測だけでは、王家が具体的な行動に移すことは難しいだろう。


それでも公的な資料として提出する意義はあると俺は考えている。


実際に起こった出来事として、南東辺境開拓地域から王家に対し、南東辺境開拓地域に『何らかの』外部の介入があったことは事実として提示できる。


その事実をもって、以後は南東辺境開拓地域への移民について、受け入れの裁量権をエルン村長に持たせることを主張する予定だ。


この主張については、認められる算段が相当程度あると考えている。


この作品を読んでいただきありがとうございます!


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