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大力(嘘)で身を立てる  作者: ろん
第一部 辺境開拓村

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スタンピード計画の阻止①

俺が7歳になって半年を過ぎた頃、新たな移民が5名やってきた。


3名が王都から、2名はそれぞれ別の貴族領からの移民だった。



王都から来た移民の内1人が、斥候のギフトを持っていることが、俺には分かった。



こいつだ!




斥候のギフト持ちは、50歳を過ぎて、王都で生活に困窮して辺境開拓に参加することになったとされていた。


農業への参加を希望していて、痩せていて戦いの心得などないような動きをしていた。



この斥候のギフト持ち以外の4名の背景を洗ったが、特に問題なさそうな、普通の移民だった。


この4名は斥候のギフト持ちを紛れ込ませるために用意されたのだろう。



スタンピードの直前半年以内に必ず移民がある、逆に言うと、最後の移民から半年以内にスタンピードが起こる。


人為的だと確定したので、斥候のギフト持ちが混じるこの移民から半年以内にスタンピードを引き起こそうとするだろう。



草候補・・・もう4名とも草だと断定していいだろう、草の1人の若い男性が斥候ギフト持ちの世話役になった。


草だとバレているとは思っていないので、連携を密にすることを重要視したのだろう。




エルン村長とアデリナさん、キリル兄さんに、スタンピードの実行役らしき者が北西村に来たことを伝えた。


なぜギフト持ちと分かったのかは伝えられないので、草との連携の様子と、魔素の使い方と本来の動きを隠蔽するような動きから推察したと伝えたら、特に疑問なく受け入れてくれた。


草とスタンピードの実行役が明らかになったので、予め決めていたとおりに動くことになる。




俺は、事が動くまで北西村に潜伏し続けることになった。


食事はエルン村長かキリル兄さんが北西村の巡回当番になった時に隠れて受け取る。

水は魔術で出せる。


長期間潜伏を継続することは可能だった。



一番大変だったのは、オレグとイリナを納得させることだった。


昨年に魔法士のギフトに覚醒してから、週に何度かは俺と過ごす機会があったから、しばらく会えないということにかなり愚図られた。


用事が済んだらしばらく一緒に過ごすことを約束して、何とか納得してもらえた。




俺が北西村の監視をするようになってから、大森林探索の戦闘メンバーに先々の探索スケジュールを共有することに決めた。


探索スケジュールが北西村を巡回する戦闘メンバーから漏れやすくするようにだ。

エルン村長とキリル兄さんからスケジュールを漏らすのはわざとらしすぎるから止めて、北西村を巡回する組み合わせの中に、雑談の多い戦闘メンバーの組み合わせを混ぜることにした。


自然にスケジュールが北西村で漏れるようになり、草が直接確認することもあれば、協力者が確認して伝えることもあることを確認した。



探索スケジュールが北西村に漏れていることを確認してから一ヶ月様子を見て、全体訓練のスケジュールも流すようにした。


大森林探索メンバーの全員が参加し、終わった後には慰労会として宴会をするので、確実に一日誰も大森林に入らない日だ。




斥候のギフト持ちが北西村に来てから、三度目の全体訓練の日、移住してから2ヶ月近くになった日。


昼前に斥候のギフト持ちが隠れて大森林に入り、エルン村を遠く迂回するルートで大森林の奥へと進み始めた。



俺は急いでエルン村に戻り、エルン村長家の扉に合図の布をくくりつけ、斥候のギフト持ちを追った。



斥候のギフト持ちは魔素の動きを外にほとんど漏らさず、身体術による足場も作らず、音を殆ど出さない歩法で進んでいる。


それでもいつもの大森林探索よりかなり速いペースだ。



そんな斥候のギフト持ちに勘付かれないように、俺は距離を空けて後をつける。


魔素の動きをほとんど漏らしていなくても、俺には遠く離れていようが奴を識別できる。



魔獣を察知することも斥候ギフトの能力の内なのか、かなり先の距離の魔獣の位置を把握して、大回りで避けている。




夜になり、斥候のギフト持ちは特大型の魔獣にも遭遇するエリアにまで到達した。


一度も休まず、食事もせず、移動しながら時折水を口に含む程度で進み続けていた。

敵ながら、なかなかの練度だと思う。




ついに、斥候のギフト持ちが全長30m程度の瘴気獣に遭遇した。


100mほど離れたところで、魔素の動きの隠蔽を解き、瘴気獣にナイフのようなものを投擲した。



瘴気獣は当然に斥候のギフト持ちに気づき、真っ直ぐに追いかけてきた。


斥候のギフト持ちは魔素の動きの隠蔽を、瘴気獣の前に到達するまでと同レベルではなく、薄くかけながら、時折方向転換しながら瘴気獣から逃げた。


その途上にいた魔獣は斥候のギフト持ちにそれほど注意を払わず、瘴気獣から逃げ惑っていた。


瘴気獣は誤魔化せなくても魔獣はある程度誤魔化せるレベルの隠蔽か。


やはり、実行役はかなり手慣れているようだ。


この作品を読んでいただきありがとうございます!


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