表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
大力(嘘)で身を立てる  作者: ろん
第一部 辺境開拓村

この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

41/42

対処する覚悟

俺は外部の介入者を殺す役目を担うことになるだろう。


有仁の経験も含めて、直接人間を殺すのは初めてとなる。



それが負担かと言うと・・・全くそんなことはない。


敵は潰す。


それを当然と考えているからだ。


これは統合以前のアルトも有仁も同じだ。



元エルン隊に所属していた者は、この考えに異存はないだろう。


それ以外のエルン村の人たちも、あまり抵抗はないのではないだろうか。



敵は潰す。


これは辺境で暮らす者に共通する価値観だ。


魔獣相手に生き抜くために必要な徹底されるべき価値観とも言える。

そして、人間が敵となってもこの価値観は揺らがないだろう。



その辺境の価値観に加え、エルン隊では、敵が誰であろうと捕虜を取らない、敵の扱いは殺す一択で統一していたそうだ。


どれほど相手の身分が高くとも、小さな子供であろうとも、戦場にいる以上は関係なく殺し尽くしたと聞いている。


その方針は、捕虜を抱えて動く危険を避けることと、敵対しようとする者に恐れられることを目的としていた。


眼の前の敵を全て殺し尽くす集団。


よほど自分の力に自信があるか、噂を信じていない者でない限りは前に立つことを躊躇するだろう。


恐れられる集団になることがエルン隊に所属する者の安全に資すると、エルン村長は考えていた。



エルン村で穏やかにみんなに接するエルン村長だが、魔獣相手には徹底して殺し尽くす。


仲間と無関係な者と敵の扱いは、くっきりと分けて考えている。


仲間は守る。

無関係な者はどうなろうが関係ない。

敵は潰す。


区切りが明確だ。



中国の『人際関係』に似ているかもしれない。


中国の人際関係は同心円で考えられ、どの円に属するかで対応が変わる。


最も内側は自分自身、その一つ外側は家族、その外側は友人・・・と人間関係が区分され、外側の自分とは無関係な者については徹底した無関心が適用される。


だから、自分が飲食店をやっていて、客に出すものに廃油を使ったりしても、その人の中では全く問題ない行為となる。



まあ、中国の例はその典型と言うだけで、中国人と初対面でも一緒に酒を飲んで自分の秘密を明かしたら一気に同心円の内側に扱いが変わるなど、結構柔軟なものらしいが。



アルトはエルン隊に所属していた夫婦の子どもとして育てられ、エルン隊の隊員の家族に搾取され、そしてエルン村で育てられた。


なので、アルトは辺境とエルン隊の価値観が基本ベースにある。




有仁は平和な日本で育ったが、人間関係の区切りははっきりとしている方だった。


中国の『人際関係』と異なり、家族にもあまり価値は置いていなかったが、育てられたことは恩だとして金を出して両親の面倒を弟妹に見させるくらいのことはしていた。


そして、敵は徹底的に潰す方だった。



有仁が運営していた遊びサークルの中に、ストーカー被害を受けていた女性がいた。


その女性が急に集まりに出てこなくなり、連絡して相談に乗った時に有仁も初めて聞いたことだった。


ストーカー被害で悩み、警察に相談しても改善しなかったため、怖くなって外に出ることができなくなり、仕事も辞めることになったそうだ。


マンションに引きこもっていてもゴミを漁られたり、手紙を送られたり、ストーカー行為は続いていたらしい。



そのストーカーを、仲間に被害を与えた敵だと有仁は判断した。


警察に勤めている仲間と探偵をしている仲間に調べてもらい、ストーカーが35歳の無職男性で、父親が地元で名士とされている税理士であること、父親が名士であるために警察も忖度して動きづらいことが分かった。



有仁はストーカー対策チームを立ち上げ、警察・探偵の仲間以外にも協力者を求め、一つのゲームとして攻略することにした。


出版社に勤めている仲間に、ストーカー被害の特集を組んでもらい、その中で今回敵となったストーカーとその父親、警察に相談しても改善しなかったことを記事にしてもらった。


ストーカーの父親の税理士の顧客を調べ上げ、税理士の顧客には雑誌の記事の切り抜きを封入した手紙やメールなどでストーカーの父親である税理士を使うことに対する非難やそのリスクについて何度も伝えた。


税理士の顧客の付き合いの中で大手に該当する企業をピックアップし、有仁やその仲間が定期的に参加している異業種交流会で、その企業の社員にストーカーの家族である税理士を使っている顧客との付き合いのリスクなどを仄めかした。


有仁たちも危ない橋を渡ってはいるが、行政やマスコミ関係の人脈を活用してリスクが実現しないように配慮していた。



探偵の仲間にストーカーの父親の税理士事務所を定期的に監視してもらい、顧客が離れていくことを確かめた。


一度離れだすと加速度的に顧客離れが進行し、地元での開業継続も困難になった。


一度引っ越して新天地で税理士事務所を開業しようとしていたので、その地域に雑誌の切り抜きをばら撒いて妨害した。



その3ヶ月後に、税理士である父親がストーカーの子どもを殺害したニュースが流れた。



有仁は『直接』人間を殺したことはないが、相手が敵であり、状況が許せば躊躇しなかっただろう。


この作品を読んでいただきありがとうございます!


もしよろしければ、ブックマークと評価の方もよろしくお願いします。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ