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大力(嘘)で身を立てる  作者: ろん
第三部 貴族立身

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南部辺境開拓村の運営引き継ぎ① 引き継ぎ期間の確保、精査と試査

南部辺境開拓村に初めて公式に訪れ、領主変更の儀式を行った日。


俺の領主としての挨拶の後の食事会は、辺境開拓村の村人たちにとてつもないインパクトを与えたようだ。


魔素が多く含まれた食材が辛い村人は結構多かったようで、魔素が含まれていないエルン村から持ってきた食材で作った料理を涙を流しながら食べている者もいた。


今後が良い方向に変わるという希望を持てた村人も多かったと思う。



それまで南部辺境開拓地域の管理者の任に就いていたジェニアとその家族、妻と息子2人娘1人の5人は、グローフィル子爵の馬車に乗せてもらって共に王都へ帰還することになっていた。


ジェニアはそこそこ優秀な役人として政府に務めていたが、平民のジェニアの仕事ぶりを疎ましく思った貴族家の者たちの動きによって左遷される形で、10年前に再建設されることとなった南部辺境開拓地域の管理者になったらしい。


そのままでは王都に戻っても職はなく、管理者になるにあたって与えられた騎士の地位も失ってまた平民に戻るだけだったが、グローフィル子爵の傘下として何かしらの職を与えることになっているそうだ。


大貴族の粛清やそれに伴う政府の役職者の変化などで、ジェニアを左遷させた貴族家の者たちも以前のように動けず、元々役人として優秀で10年間辺境の管理者として務めた経験を有する者を採用するメリットがデメリットを上回った、とグローフィル子爵に聞いた。


南部辺境開拓地域の管理者の辞任と共に栄転が決まっていたわけで、そりゃあ領主変更の当事者が来た時に明るい顔をするはずだよな。




南部辺境開拓村の運営の引き継ぎ期間として3日確保してもらった。


ジェニアたちが南部辺境開拓村に滞在することになるが、グローフィル子爵と2人の護衛は馬車を牽く馬が魔物化しないように最寄りの街サウスガードに向かい、3日後に南部辺境開拓村まで迎えに来ることになった。



アルト隊のメンバー7人もグローフィル子爵と共にサウスガードまで行ってもらうことにした。


サストガードで見てもらったように、ブライム・リュク・ロッド・ガエルの4人には街の物価や取り扱われている商品などを中心に見てもらい、マクシ・ケニー・リビオの3人には自由に街を見て回らせる。


サウスガードは南部辺境開拓村から北に80kmの距離にある街なので、長くても1日くらいしか街に滞在できないだろうけど。



ジェニアが引き継ぎ用に作成した資料に目を通してから、開村からの10年間の記録にも目を通した。


記録と資料に特に齟齬は見られず、ジェニアが作成した資料はなかなかの出来だった。




会計監査や内部監査などで調査する際の調査対象の考え方で、精査と試査というものがある。


精査とは、資料全てを漏れなく調査する、全数検査のことだ。


試査とは、資料全体から一部の項目を抽出して、抽出した項目を調査することで全体の正しさを確認する調査のことだ。


記録の精査は記録の量が多ければ通常労力がかかり過ぎるので、まず試査で資料の正しさをチェックしてみることが効率的だった。


データで記録をもらってプログラムなどで自動確認できるなら最初から精査もアリだと思うが。



試査で抽出した項目のどれか1つでも不備があれば、抽出した項目数に対して不備のあった割合が、全体に対する不備の割合と推定できる。


試査で不備が見つかれば改めて精査することも検討されるだろう。




試査として15個の記録内容を性質や時期をばらけさせてサンプルとして抽出し、その後の記録と照合してみたが、全て結末まで記されていた。


左遷されても腐らずに、管理者としての務めを果たし続けていたようだ。


この作品を読んでいただきありがとうございます!


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