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大力(嘘)で身を立てる  作者: ろん
第三部 貴族立身

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南部辺境開拓村の領有化④ 管理者との挨拶、儀式

グローフィル子爵の馬車と共に南部辺境開拓村に入っていく。


俺は隠れて観察したり潜入したりは何度もしていたが、公に入っていくのはこれが初めてだな。



村人以外がこの辺境開拓村に入るのは年に一度のグローフィル子爵の馬車くらいなのだろう。


深黄緑の制服で揃えたアルト隊は珍しかったらしく、注目を浴びていた。


ただ、ちらっと見ただけで余所者と判断し、すぐに自分には関係ないと目をそらすものが多かった。


この辺境開拓村にはアルト隊の噂なども入ってこないんだろうな。


外部の情報と接触するのはここの管理者くらいで、その管理者も特に村人に知らせたりはしていないのだろう。



村の広場に向かうと1人の男が待っていた。


7年前に始めてみた時と同じ、この南部辺境開拓地域の管理者だ。


この村で見た中でこの男だけ表情が明るいな。



「ジェニアよ、ご苦労であったな」


グローフィル子爵が馬車から降りながらジェニアという管理者の男に声をかける。


「はっ。

ご足労いただきありがとうございます」


ジェニアがグローフィル子爵に応えた。


「こちらがこれからこの地の領主となるバウエルン子爵だ。


バウエルン子爵、こちらが南部辺境開拓地域の管理者を務めていたジェニアだ」


「初めまして、ジェニア殿。


早速で申し訳ないが、これから始める儀式をこの村の人たちに見せておきたい。


村人を可能な限りこの広場に集めてきてくれないか」


俺が早速村人を集めるように頼むと、『なんでそんなことを自分が』という顔をしたが、俺がじっと見続けていると「かしこまりました!」と慌てて応え、広場から去っていった。


去っていったのはあの管理者の家がある方向だな。


家族にも村人を集めることを手伝わせるというところか。



グローフィル子爵、エルン村長夫妻、レフ兄さん夫妻らと雑談をしながら待っていると、少しずつ村人が集まり始めた。


こちらの方には寄ってこず、広場の端のほうでこちらを窺っている者が多かった。




管理者のジェニアが戻ってきて、ジェニアの家族と思われるものがジェニアの近くに集まった。


集まったジェニアの家族は自分の担当の者に声をかけ終わったということだろう。


ジェニアの家族が集まり終わり、少しした頃に広場の半分が埋まるくらいの村人が集まった。


管理者や管理者の家族が声をかければ動くくらいの求心力はあったんだな。


公的な地位のある者がジェニアの家族しかいない、というのが大きいのかもしれないが。



集まった村人は子どもも含めて400人を超えるくらいか。


村全体に気配が残っているので、家から出られない者も合わせると村人の総数は600人には届かない、といったところか。



「集まれる者たちはほぼ集まったと考えてよいかと」


ジェニアがそう俺に声をかけてきたので頷いて返し、グローフィル子爵を見ると俺の方を向いて頷いていた。


儀式の開始だな。




「南部辺境開拓地域は、これより王家直轄領からバウエルン領となり、バウエルン子爵家の管理する領地となる。


この勅書に定められた通りに王家とバウエルン家はそれぞれの権利と義務を有するものとする」


グローフィル子爵の宣言で、今この時から南部辺境開拓地域はバウエルン家の領地となった。


・・・だが、そのことを理解しているのはジェニアとその家族くらいか。


この地を離れることが決定して、すごくにこにこしているな。



集まった村人たちは何が変わるのか、そもそも何の話かも理解していないようだ。


ここからが俺の仕事だな。


この作品を読んでいただきありがとうございます!


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