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大力(嘘)で身を立てる  作者: ろん
第一部 辺境開拓村

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既に使える者への身体術と魔術の教授実験

セルゲイじいさんが身体術を会得したことはエルン村中にすぐに広まり、話題になった。


「アルトーーーーー!」


ある時、大森林探索に見学メンバーとして参加している1人が、大声を上げて遠くから俺に向かって走ってきた。



俺の前で立ち止まり、下を向いて「ぜーっ、ぜーっ」と荒く息を吐き、顔を上げて俺の両肩を掴んできた。


「アルト!俺にも、身体術を教えてくれーー!」


「どうしたんですか?」


「・・・セルゲイじいさんに、競走で負けた・・・」


ああ・・・


セルゲイじいさんは外に出られるようになってから足が萎えた状態から回復して、身体術なしでも歩けるようになった。


その状態の足に身体術で1.3倍に、慣れてきてもっと倍率を上げて行使できるようになったから、ついに身体術なしの若者にも勝てるようになったのか。



すごい成果だと思うけど、まあ、セルゲイじいさんに負けたらショック大きいよな。



とりあえず、身体術についてはエルン村長と相談しているところだと、眼の前の若者をなだめた。




セルゲイじいさんに身体術を教えている期間に、既に身体術を使っているエルン村長、アデリナさん、キリル兄さん、レフ兄さんに、俺が他人の体を通して行使する身体術を使うことを試した。



剣士ギフトで身体術を行使できているエルン村長は、剣士ギフトの身体術と俺の身体術の違いに驚いていた。


その違いを取り入れて身体術の上限を上げられるかもしれないとのことだった。


ただ、その変化はそこまで大きくはならないかもしれないとも言っていた。



農業ギフトのアデリナさんと、鍛冶ギフトのレフ兄さんは、同じ身体術とは思えないほど違って感じられたらしい。


違いを取り入れることは難しく、既にギフト由来の身体術に慣れているので、俺の身体術を0から始めるよりも習得に苦戦しそうとのことだった。



ギフトがなく、独力で身体術を習得したキリル兄さんは、自身の身体術と俺の身体術の方向性が似ていたことに驚いていた。


身体術の上限を上げていく道がはっきりと見えてきたと感動していた。



他者への身体術行使について、今までの試行の結果をまとめると、

・戦闘系のギフト持ちに対しては、少しながら改善の方向性を見せられるかもしれない

・生産系のギフト持ちに対しては、有効でない

・0から学ぶ者に対しては、時間がかかるが習得可能。少しずつ研鑽し向上。

・ギフトなしで独力で習得した者に対しては、飛躍的に向上させられる可能性あり。

というところだろうか。



試行回数が少ないので断定できないが、生産系のギフト持ちに有効でないという結論はかなり確度が高そうな気がする。


生産系のギフト持ち以外については、追加で試行する中ではっきりさせていくことになるかな。




俺が他者の体を通して魔術を行使することも試した。


他者の体の内側で身体術を使わせるよりも、他者の体で身体術を使って足場を形成したり物を強化したりする方が格段に難しくなる。


そして、他者の体で身体術を使って術式を構成して魔術を使わせるというのは、更に超絶的な精密さが求められる。



それを、俺はついに1つの魔術について可能にした。


できる技量さえあれば、体の外側で発現する魔術は、体の内側で発言する身体術よりも、怪我などのリスクは小さい。



俺は、この他者の体で魔術を行使するために、アデリナさんやレフ兄さんが使う魔術のどれよりも簡易な魔術「発火」を開発した。


指先で一瞬火が灯るだけの魔術だ。



他者の体で術式を構成する、その難易度を格段に下げること、そしてその術式を覚えてその他者が容易に行使できることが主眼だ。



エルン村長、アデリナさん、キリル兄さん、レフ兄さんのそれぞれに発火の魔術を俺が行使させてみた。


4人とも一度で発火の魔術を行使できるようになった。



全員驚いていたな。


特に、エルン村長とアデリナさんは、魔術を行使する感覚を掴みやすくするために簡易な魔術を開発する、という考え方の方に驚いたようだ。


この作品を読んでいただきありがとうございます!


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