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大力(嘘)で身を立てる  作者: ろん
第三部 貴族立身

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南部辺境開拓村の領有化② 道行き、サストガード男爵の再解釈

道を作りながら進んでいることもあるが、割とのんびりした旅路になっている。


旅の間の食事用と、南部辺境開拓村への支援用に、エルン村から農産物を譲ってもらってアルト隊のメンバーに背負わせている。


人の手の入っていない草原は食材の確保には事欠かず、食べられる野草を採集したり、兎や鳥などを捕獲したりして、1日3食それなりに充実した食事も取れている。



エルン村長とアデリナさんは、日頃の仕事から解放されてイキイキしているな。


レフ兄さん夫婦と話をしているところを見かけることも多い。


レフ兄さんと離れていた時間を埋めるように、王都で何をやっていたかを熱心に聞いている。


レフ兄さんは時折照れくさそうにしているが、ケイトさんがノリノリでいろいろ暴露しているようだ。


アデリナさんとケイトさんの相性はかなりいいようで、すっかり仲良くなっている。


たまに昔のエルン村長の話になって、エルン村長も被弾しているようだ。




サストガードに供給している農産物の話もした。


エルン村長とアデリナさんの話を聞いて、サストガードの状況と照らし合わせてみると、絶妙なバランスで成り立っていたんだなと思った。


あまりいい意味ではなく。



サストガード男爵の現状維持の要求と、サストガードで販売されているエルン村産の農作物の価格から、サストガード側に都合の良い条件を提示され、その条件で供給されているものだと予想していた。


俺の予想は結構外してしまっていたようだ。



実際には、エルン村の農産物の供給から話が始まっていた。


最初はサストガードの市場で手数料を払って既存の農産物と同じ値段で販売していたらしい。


味が全然違い、エルン村産の農産物の味がいいということでエルン村からサストガードへ持ち出した分がすぐに売り切れることになる。


サストガードの地場の農産物の売れ行きが鈍くなり、その状況を知ったサストガード男爵がエルン村の者に直接サストガード男爵家が買い取る旨を伝え、エルン村長もそれで問題ないと回答したそうだ。


それからサストガード男爵がエルン村から必要量を地場の野菜の相場と同じ値段で買い取るようになり、サストガード男爵家が地場の農産物とエルン村の農産物で棲み分けができるようにエルン村の農産物の価格を設定して卸売業者に流すようになった、というのが現状というわけだ。



エルン村では魔素農法を開発するまでは魔素を多く含んだ農産物しか生産できず、その農産物を受け入れられない村人用にサストガードの野菜を購入する立場だった。


俺がアデリナさんと魔素農法を開発してから俺がエルン村を出るまでは、サストガードで雑貨や日用品を仕入れたい時にエルン村の農産物をそれに必要な分だけ売って手に入れるだけだったから、あまり問題にならなかったのだろう。



魔素農法だと生産量をいくらでも増やせるし、増やしても原価はほとんど変わらない。


魔素農法のための魔術を行使することと、刈り入れの手間くらいしか変わらないからな。


だからいくらでも安く売り出せるけど、それはまずい気がしたので価格を決める際に地場の農産物を基準にしたそうだ。


それで作りすぎて余った農産物をまとめて売りに行って、現状の通りになったとのこと。



サストガード男爵が自身に都合のいいように立ち回ったと思ったんだが、状況を考えるととても妥当な対応をしたと思える。


サストガード男爵が提案してきた通り、現状の仕組みのままでもいいくらいだが、条件を整理して話し合えば別の最適解を考えることも出来そうだ。


この作品を読んでいただきありがとうございます!


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