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大力(嘘)で身を立てる  作者: ろん
第三部 貴族立身

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帰郷と儀式③ 宴会の始まり、迎えの儀式

キリル兄さんが全長40mほどのトカゲ型の瘴気獣の死体を広場に運んできた。


キリル兄さんが空中から下りてきてそっとその瘴気獣を広場に置く。



遠目に空に瘴気獣の姿が見えたところからグローフィル子爵たちや俺とレフ兄さん以外のアルト隊のメンバーは驚いていて、目の前に置かれるとドン引きしていた。


巨大なのもあるが、目が複数あったり口が4方向に裂けていたり、トカゲ型なのに巨大な猿の腕のようなものが2本背中から生えていたり、異様な姿だったからだろうか。


今からこれを食べるということにも引いていたのかもしれないな。


その瘴気獣を見て歓声を上げているエルン村の人たちを見て引いていた可能性もあるが。



キリル兄さんが刃渡り20mの包丁を一瞬で生成して、スパスパと瘴気獣を切り分けていく。


表面もそうだが断面も黒ずんでいて見た目は全く旨そうには見えないな。


アルト隊の連中も「マジかよ」って顔で見ている。


キリル兄さんの包丁捌きに驚いていないのは俺が巨大剣を振っている所を何度も見ているからだろうか。



キリル兄さんが大まかに切り分けた肉を奥様連中が調理していく。


奥様連中まで身体術や魔術を適度に使っていて、かなりのペースで料理が完成していく。



俺は準備が進んでいる間にエルン村長たちに話しかけようと思っていたが、この場の主賓扱いされていて微妙に動きづらくてできないでいる。


何となくエルン村長たちが俺から距離を取ってるんだよな・・・



エルン村の男たちが酒樽を担ぎ、野外用のテーブルや椅子を運んで、あっという間に会場が設営された。



にこやかなエルン村長に促されて、木のジョッキを持たされ、俺は乾杯の挨拶をすることになった。


うーむ。

ワザと他人行儀にされている感があって、エルン村長に話しかけづらいな・・・



「この南東辺境開拓地域の、そして南部辺境開拓地域の領主となった、アルト・バウエルンだ!


この地は王家直轄領からバウエルン領になった。


私はこの地をこれまで以上に繁栄させていく!



・・・公人としての挨拶はここまでにさせてください。


久しぶりに戻ってきた、アルトです!


貴族にはなりましたが、このエルン村の一員として、変わらずに接してください!


お願いします!!」


儀式の続きとしてこの地を治める貴族として挨拶したが、途中でやってられなくなって懇願してしまった。



誰もが沈黙し、静寂の時間が流れる。



「っくく」


誰かが喉に引っかかるような音を出した。


「あっはっはっはっは!」

「っはははははは!」

「ひーっ」


エルン村のみんなが笑い出した。


エルン村長やアデリナさん、キリル兄さんも笑っている。



グローフィル子爵たちやアルト隊のメンバーはきょとんとしている。




・・・これは、あれか。

「サイレント・トリートメント」みたいなやつか。


メジャーリーグとかで新人がホームランを打って戻ってきたら無視して、戸惑っているところで手荒く祝福するようなものか。


マクシムさんが黙っていたのもこれか。


やられたな・・・


この作品を読んでいただきありがとうございます!


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