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大力(嘘)で身を立てる  作者: ろん
第三部 貴族立身

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帰郷への旅路③ サストガード男爵の交渉、線の引き直し

「この2年ほどの話ですが、サストガードと南東辺境開拓地域の間の物流や商流が活発化してきました。


それまでは細々とした物々交換くらいの取引でしたが、南東辺境開拓地域から優れた農産物を供給されるようになって状況が大きく変わってきました。


我々が必要とするものを伝えると決まった時期に配達される仕組みもできました。


先程の食事にもそうやって入手した農産物が使われています。


街自体に食料が十分にあり、しかもそれが美味しいと評判になり、辺境に近い街であるのに移住者も増えてきました」



俺はサストガード男爵の独白を聞くことに専念していた。


まだ話は続きそうな気配だ。


グローフィル子爵は話の内容に驚いているが、こちらも聞くことに専念する姿勢をとっている。



「国内で流行するようになってきた、エルン村の歌の影響もありました。


エルン隊の隊長だったエルンが切り開いた村。


それが実在していて、最も近い街がこのサストガード。


エルン村の農産物を届けにエルン村の者たちが頻繁にこの街を訪れます。


この街に辿り着くことができれば、エルン村の人たちと交流する機会がある。


行商や商隊がそれを動機としてこの街に立ち寄るという機会が増え、それも物流や商流が活発化する理由になっています」


おっと。

思わぬところでエルン隊から始まる歌を広めた影響が。


動機はどうあれ、サストガードが通商ルートに組み込まれ、定着することでモノとカネの出入りが活発になったか。


そちらの下支え、サストガードから出る方の商材としても、エルン村の農産物が重要になっているんだろうな。



そこで、サストガード男爵はただ頷いて聞いているだけの俺を凝視して、ついに用件を切り出した。


「このサストガードの街としては、南東辺境開拓地域が王家直轄領からバウエルン子爵領に代わっても、変わらぬ付き合い、変わらぬ関係を望んでおります」


まあ、話の流れとしてそれが本題だよな。


俺としてもこれまでにエルン村の、エルン村長たちが切り拓いてきた物流や商流の流れを継続することには、基本的には賛成だ。


だが、内容を確認せずに追認して継続、というわけにはいかない。


取引の流れや、体制の変更からの生産量の推移なども考慮する必要があるだろう。


今後は南東と南部の辺境開拓地域を一体として管理していくし、将来追加する領地の予定もある。



あとは・・・


「具体的な話は、私が確認してからになるでしょう。


今までと全く同じ管理体制を承継するわけではないですし、南東辺境開拓地域だけでなく、南部辺境開拓地域も一体として管理するので人員の移動なども発生しますから。


あとは、同じ王家直轄領内での取引ではなく、王家直轄領とバルエルン家領の間での取引になることで、関税や通行料などをどのようにするかは取り決めていく必要があるでしょう」


一方の領地を管理する主体が変わることで、異なる領地間の取引の問題が生まれるから、そこをどうするかだよな。



サストガード男爵は俺の年齢を知っているだろうから、俺自身が直接領地運営に関与するものとは思っていなかったかもしれないな。


表情が崩れて意外そうな顔をしている。


今までうまく回っていたんだから、これからも同じやり方を引き継ぎましょう、という話で俺を丸め込むつもりだったか?



エルン村長は商売ごとが得意ではなさそうだし、頼りになりそうなアデリナさんも研究者であり管理者ではあっても商売人ではないからなあ。


元手がほとんど掛からない魔素農業で生産した農産物を、安価で提供している可能性も考えられる。


俺は、一方的にこちらが利益を得るような形にするつもりはないが、しっかりと線を引き直してこちらの利益を確保していくくらいはやるぞ。


この作品を読んでいただきありがとうございます!


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