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大力(嘘)で身を立てる  作者: ろん
第三部 貴族立身

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行く者、残る者

俺が王都に向かうためにエルン村を出てから、もう2年を過ぎている。



俺はエルン村に向かう支度を整えていた。



辺境開拓地域での領主変更、今回は王家直轄領からバウエルン領への変更のための一連の儀式を担う、王都の使者も同行することになっている。


同行する王都の使者は、南東と南部の辺境開拓地域を担当している、年に一度のギフト鑑定でお馴染みのグローフィル子爵だ。


単に世襲する引き継ぎの場合は特に儀式は不要であり、領主である家が変わる場合のみ必要となる。


めったにないことなので、グローフィル子爵は手順の確認などで忙しそうだったが、どこか嬉しそうでもあった。



アルト隊の中で、留守を預かる者とエルン村へ向かう者を分ける時には、一騒動になった。



まず、俺がいなくてもアルト隊が戦争参加できる戦力を確保しなければならない。


分隊長であるオレグとイリナ、そして副長のダミエンは留守を預かる者として確定していた。


オレグとイリナだけでなく、ダミエンにもかなり文句を言われたが、アルト隊の先頭を担うことができるオレグとイリナ、戦場での状況判断を任せられるダミエンは、現時点では俺抜きの場合必須の戦力と言えた。



オレグとイリナには、俺の代わりを担えるのはお前たちしかいないということを何度も言い含めて納得してもらった。


エルン村を出てまだ1年を過ぎたくらいだったのもあって、ホームシックのようなものは感じていないようでよかった。



ダミエンには、オレグとイリナに状況判断を教えて、ダミエンがいなくてもアルト隊として機能できるようになったらエルン村に連れて行くと伝えて納得してもらった。


あの2人に指示を出し、戦場で有効に動かすことができるのは、今のところ俺かダミエンしかいないからな。



エルン村へ向かうアルト隊のメンバーは、かなり前から熱望していた者から、残す者とのバランスを考えて選んだ。



まずはレフ兄さんとケイトさん。


この2人はアルト隊の軍属を辞め、南部辺境開拓地域の管理者にレフ兄さんが就き、ケイトさんにはレフ兄さんを支えてもらうことになる。



ブライムとリュク。


ブライムは自分と同じ斥候ギフト持ちがスタンピードを起こそうとした、その現場である大森林を見たがっていた。


リュクは吟遊詩人として他国にも国内にも広めているエルン村の歌の舞台を直接見ることに拘っていた。



元混成部隊のリーダー格だったマクシ・ケニー・リビオ。


前々からギフトを有しない者でも大森林探索に参加していると聞いて行きたがっていたので選んだ。



ロッドとガエル。


貴族の子息であるこの2人は、辺境という貴族に馴染みのない場所にとても興味があるようだった。


興味本位だけで国際行商のメンバーに飛び入りしてくるような連中なので、さもありなんと言ったところだ。


この2人は貴族の子息なので俺も家名付きのフルネームで呼んでいたが、ローゼルスタッド元侯爵家の討伐でギフト持ちたちが一代限りの男爵になってそれぞれ家名を持つことになり、その上で俺も含めて誰も家名をつけて呼ばないので、この前自分たちも家名呼びは不要だと言ってきた。



マルセル・ボリス・サブリナのギフト保有者養成学校卒業3人組、サリム・ガッド・トメルの元傭兵3人組は、今回は留守を預かる方に回した。


この6人と、オレグ・イリナ・ダミエンの3人で、20人の訓練生の面倒も見てもらう予定だ。



他者の身体で身体術を行使する手法は、オレグとイリナが一応は使えるはずだ。


俺やレフ兄さんに比べて不慣れで下手だから、失敗も多くて痛みも増すだろうが、訓練生にはがんばって耐えてもらおう。


この作品を読んでいただきありがとうございます!


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