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大力(嘘)で身を立てる  作者: ろん
第三部 貴族立身

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オレグとイリナの初陣、複数の意味

辺境開拓地域の領地引き継ぎの話が詰めの段階に入ってきた。


建国以来初めての、王家が辺境を手放して1貴族に任せる話であり、政府の役人がいろいろうるさくて面倒になっている。


複数の部署が絡むから、政府の部署間の争いもあって余計に面倒が増えている。


条件自体は固まってきているので、後は足を引っ張ろうとしつこい者たちを黙らせていくところだな。



アルト隊は、一時的に軍属になっているレフ兄さんとケイトさんを除いて17人だったが、公募で入隊させた20人を追加して一気に倍以上になった。


20人全員が走力の最低基準を満たせていない訓練生なので、戦力としては変わらないし、訓練の手間が増えている分、一時的にできることは減っているが。



領地の話と、アルト隊の話で共通して問題になることがある。


領地とアルト隊のどちらにも戦力が必要になるということだ。


正確には、俺が領地に行っている間にもアルト隊を稼働させないといけない。


これは領地とアルト隊の両方を俺の管轄にすることに伴って、領地引き継ぎの条件として設定されることが決まりそうな話だ。



レフ兄さんには南部辺境開拓地域の管理者、南部辺境村の村長になってもらう予定だから、アルト隊を率いて出陣してもらうわけにはいかない。


そうなると、今の戦力で俺以外にアルト隊を率いることができるのは、オレグとイリナの2人になる。



俺はオレグとイリナの戦場での初陣と、先頭の経験を同時に兼ねることにした。




トロイト王国から5000人規模で攻めてくるという情報が入り、アルト隊も出陣を要請された。


今回出陣するのは、俺、オレグとイリナ、ブライムとリュク、マルセル・ボリス・サブリナのギフト保有者養成学校卒業3人組の8人だ。


副長のダミエンには残って訓練生の訓練の指揮をすることを頼み、身体術の訓練はレフ兄さんに頼んだ。


外部の者がいないなら、レフ兄さんが他者の身体で身体術を行使できることを明かしても問題ないからな。




戦場では、俺とオレグとイリナの3人だけ、特別に作った衣装を纏うことにした。


身長が2m30cmの人間用に作ったローブだ。


色は制服と同じ深黄緑。


俺の身長でも1m90cmだから、オレグとイリナはブカブカでは済まないくらいにサイズが大きい。


背中に装着する支え棒でローブの頭頂部分まで支え、顔の部分は仮面を取り付けている。


俺たちの視野はローブの途中に穴を空けて確保する。



手足の長さが不自然になるが、ローブの中は複数の構造物で空間を空け、剣を生成する時は柄の部分を長く作ってそれっぽく動かすことにした。


ローブと言うより、ほとんど着ぐるみのようなもんだな。


動きはローブを着用していない時よりもかなり制限されるが、まあ問題ないだろう。



ローブを着用して動かなければ、3人がそれぞれ誰か分からないくらいには同じ姿になっている。


動くとアルト隊の隊員には分かるかもしれないが、敵には分からないだろうし、アルト隊以外のアクチュア国軍の者にも分からないんじゃないかな。



現場の指揮官には「ふざけているのか!」とキレられたが、無視して出陣した。


指揮官は3人の先頭にいたオレグにキレていたし、俺じゃないこともバレていなかったな。


3人とも笑いそうになるのを堪えて無言で指揮官の陣幕を出ることになった。



3人とも刃渡りが10mの剣を生成して出陣した。


最初は俺が先頭で、オレグとイリナは術士のポジションにいてもらった。


術士としても、元傭兵3人組やロッド・ダルモンのようなサポート専門ではなく、魔法士として存分に攻撃にも参加させた。



次にオレグと先頭を交代し、俺は術士のポジションに入って土魔術を中心に攻撃参加した。


オレグは問題なく先頭で敵陣を切り開いていた。



その次にはイリナがオレグと先頭を交代し、俺は水魔術を中心に攻撃する立場に切り替えた。


イリナも問題なく敵陣を切り開くことができていた。



いつも戦争に参加する時はアルト隊だけで勝負を決めるのではなく、国軍が問題なく勝てるようにするところまでで手を緩めたりしていたが、今回は俺とオレグとイリナの3人体制の練習をする意味もあって最後まで何度も敵陣を切り開くことにした。



何度も先頭を交代し、オレグとイリナも問題なくこなせそうだという確信を得ることができた。


ただ、どこに斬り込むかの状況判断などはまだ教えてられていない。


俺が参加しない時はダミエンを付けて状況判断をさせることになるだろうか。



ブライム・マルセル・ボリス・サブリナの隊士として参戦していた者たちは、術士が攻撃参加することで戦い方が変わり、アルト隊が戦場でより大きな存在になることを実感していたようだ。


リュクは術士だが今回は隊士のポジションで先頭が切り裂いた傷口を拡げる役割を担っていて、そこから見た俺の立ち回りから戦場での魔術の可能性に気付いて興奮していた。



トロイト王国軍への威圧効果も高かったな。


アルトと思われる巨人が3人いて、剣を振るったり魔術(実際には一部は魔法だが)を行使したりして過去の戦場よりもなお激しく戦場で暴れまわっていたからな。




オレグとイリナに10mの剣を扱うことをエルン村にいた時から訓練させていたことが、ようやく活きてきた。


エルン隊は、エルン村長が率いてこその活躍だったので1つの戦場の1つの場でしか動けなかった。


アルト隊は複数の戦場で動くこともできるようになる。



このことの意味は、アルト隊の敵となる者たちが何より思い知ることになるだろう。


この作品を読んでいただきありがとうございます!


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