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大力(嘘)で身を立てる  作者: ろん
第三部 貴族立身

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アルト隊第1回公募⑦ ソフィアのテスト

ソフィアが俺の前に出てきた。


前の3人を見ているからか、相当に緊張しているようだ。



「生命魔法のギフトを持つソフィアには、まずそちらでどれくらいのことができるのか、確かめさせてもらう」


俺がそう言うと、ソフィアは怪訝な顔をして、そして血の気が引いたようで顔が青ざめてきた。


ああ、生命魔法を試すと言う意味に気付いたからか。



俺は素早く肘関節のところで左腕を切り落とした。


・・・俺の左腕を。



「これを治してみてくれ」


ソフィアが呆然と立ち竦んでいるので、声をかけた。


自分に怪我をさせて、それで試されると思っていたんだろうな。



さて、どう治すだろうか。


身体術まで使って表情を取り繕っているが、めちゃくちゃ痛いので早くしてほしいところだが。



ソフィアが俺の指示を理解するまで少し間があったが、よろよろと歩き出し、俺の切り落とした前腕を拾い上げた。


なるほど。


生命魔法に習熟していたら俺の肘から直接前腕を生やすことくらいできそうだが、そのレベルにはないということか。



ソフィアは拾った前腕を俺の左肘にくっつけ、生命魔法を行使し始めた。


地面に落ちて、断面にも砂とかがついているんだが、それを払うことくらいはしてほしかったところだ。


ギフト保有者養成学校でも国軍でも、切りたての身体の治療の訓練をなどは一度もしたことがなかったんだろう。



断面をぴったりと合わせていなかったので、歪な形でくっついたが、そこから前腕がゆっくり移動して見た目は元通りになった。


骨、皮、肉は元通りになった。


血管は8割程度元通りに繋がった。


神経は・・・3割程度繋がったくらいかな。


指先はまともに動かせず、手首や肘も動かせないことはないが、微妙なラインだ。



「こういった治療を、今までにやったことがないようだな」


俺はそう告げて、続けて左腕の状態をソフィアに伝えた。



ソフィアはここからどうすればいいか分からなかったようだ。



俺は最初と全く場所をもう一度切り落とした。


ソフィアが「えっ?」と驚いている。



俺は切り落とした後、剣を地面に放って左前腕を右手でキャッチした。


身体術を体内に巡らせて、異物を肘の断面から排除する。


同時に切り落とした左前腕にも遠隔の身体術を行使して異物を排除させた。


結構血も抜けたが、まあ仕方がない。



肘と前腕を断面にくっつけて、身体術で接合した。


潰れた血管や神経も再生させる。


続けて血液を生成して抜けた分を補充した。



当然、切り落とした時の何倍も痛いが、痛みに耐えることには慣れている。


痛みに慣れることはないけども。




「それではこれから模擬戦を始める」


剣を拾ってソフィアにそう告げるが、ソフィアは俺の傍で呆然として動かない。


「模擬戦を始めるから開始位置まで下がれ」


俺が再度告げると、ソフィアはハッとした顔をして俺に背を向けて下がり始めた。


無防備すぎるな。


隊員相手なら一発当てて教訓とするところだが。



ソフィアが開始位置に戻ったところで、


「槍士ギフトも、生命魔法ギフトも、全て使って挑め!


始め!」


俺は開始の声を上げた。



最初はソフィアに先手をくれてやろうと待っていたが、ソフィアは槍を構えるだけで立ち止まっていた。


俺はソフィアの前まで走り、構えた槍を払い除けて喉元の当たる寸前に剣を突きつけて止めた。



「おい、もう終わりか?」


俺が声をかけるとソフィアは後ろに飛び退り、


「いえ、まだです!」


と声を上げた。



最初の生命魔法のテストのせいで心定まらないという様子だったから、御前武試の準決勝でソフィアを秒殺した時の再現をしてやったんだが、ようやく意志が定まったようだ。


まあ、晴れの舞台で人生で初めてくらいの屈辱を味わったんだから、その記憶を想起させるようなことをすれば、そりゃ発奮もするか。



今度はソフィアから突っかけてきて槍で突いてきた。


俺が剣で払いのけると、軌道が変わった突きから払いに変えてくる。


俺が下がって槍先を避けると、今度は足元を払うように下段に振ってきた。


俺はその槍を剣で止め、右脇腹へ回し蹴りを放つ。


ソフィアが水平方向に吹っ飛んだ。


槍は手放していないのは大したものだ。


手応え、まあ足応えだが、身体術で防御も強化できていたようだ。


肋骨にヒビくらいは入ったと思うが、吹っ飛んだ先で生命魔法で治療している。


自分に生命魔法をかけるときは結構スムーズだな。


僅かな時間で治せている。




その後も何度か打ち合い、少しずつ攻撃の強度も上げていった。


単に骨が折れただけならそれほど時間をかけずに治せていて、粉砕骨折はかなり時間をかけて治していた。


複雑骨折、開放骨折とも言う、皮膚から骨が飛び出る骨折は、自分では治せないようだった。


骨を入れて接ぎ直してやると、そこからは自分で治していた。



複雑骨折を自分で治せない時点でソフィアとの模擬戦は終了とした。



自分の想定外の事態には弱いところが見られたが、戦う意志を取り戻してからの根性はなかなかのものだった。


家の再興を本気で願っていることもあるんだろうが、前に踏み込む覚悟は決まっているように思えたな。



まあ、なかなか鍛えがいがありそうだ。


この作品を読んでいただきありがとうございます!


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