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大力(嘘)で身を立てる  作者: ろん
第三部 貴族立身

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アルト隊第1回公募⑤ 魔法士との模範模擬戦

隊員との模範の模擬戦が終わり、隊員たちに入隊希望者を後退させるように指示を出した。


隊員たちは「人使いが荒いんじゃねーの」などと文句を言いながら、次の模擬戦のために入隊希望者たちを中央から遠ざけていく。


そしてオレグとイリナが中央に進み出てくる。



2人を知らない者は、アルト隊でも入隊希望者の中でも一番若い二人が分隊長として出てきたことに驚いているようだ。


そういった者たちのために改めて周知することにした。


「次は俺と、アルト隊の分隊長、魔法士である2人との模擬戦だ!」


2人が魔法士だと知らなかった者が相当に驚いている。


魔法士自体を見たこともない者も混ざっているのかもしれないが、見たことがあっても魔法士が戦う所を見たことがない者がほとんどだろうな。


隊員も、俺が2人まとめて相手にするところは見せたことがないから興味を持ってこちらを見ているようだ。



「始め!」


俺が開始の合図を出すと同時に、オレグが俺を中心に全方向から土の槍を伸ばし、空中にも100本以上の土の槍を生み出して俺に向けて投出した。


オレグが出した土の槍の合間を縫ってイリナが水流を全方向から俺に向かって放っている。


隊員たちとの模擬戦との間に打ち合わせたんだろうな。


俺が魔法の阻害をしないことは分かっているだろうから、それを前提に俺が一番嫌がりそうな戦術を採用したらしい。



俺は真上に飛び上がり、頭上の土の槍や水流を打ち砕いて更に上空へ上がった。


オレグとイリナが追加で上空に土と水を生み出している間に俺は宙を駆けて魔法が発動する前にその地点を通り抜ける。


オレグとイリナが俺の動きに対応しようとするが、その前に俺はオレグとイリナの間の地点に降り立った。


そして俺はイリナの方に向かう。


イリナはかなりの高密度で水を生み出して俺に向けて放ち始めたが、オレグは俺とイリナが近づきつつあるので土魔法を行使しづらくなったようだ。



イリナに接近して剣で斬りつけるがイリナがそれを槍で防いだ。


轟音が鳴り響くがイリナは後退しただけで体勢は崩さず、水魔法による飽和攻撃で俺を攻める。


オレグは土魔法を俺に向けて放ちながら、イリナの方に移動して合流する動きを見せる。



イリナが水を俺の顔の周りに纏わりつかせた。


水の性質を活かしたうまい行動阻害だ。



俺が纏わりつく水を振り解いて離れている間に、イリナのところにオレグが合流している。



水魔法と土魔法の全方位からの飽和攻撃が俺に向かってきた。


俺は身体術による強化度合いを上げながら、正面からくる魔法を振り払い、踏み潰してオレグとイリナがいる方向へ直進した。



俺はオレグに接近して斬りつけるが、オレグはそれを剣で受け流した。


俺はそのまま背後から迫って槍を突いてきたイリナの槍を払い、再度オレグに斬りつける。


オレグの剣が間に合わずに左脇を斬りつけられたオレグが吹き飛んだ。



払われた槍を立て直して水魔法も俺に向けて行使していたイリナの背後に移動し、背中に斬りつけるとイリナも吹き飛んだ。



「終了だ」


俺が告げると、見学していた隊員や入隊希望者たちが大きく息を吐いていた。


かなり集中して見ていたようだな。



オレグとイリナが起き上がり、身体術で自分の怪我を治している。



「運動場を元に戻してくれ」


俺が声をかけるとオレグとイリナがそれぞれ魔法を行使して地面が平らに戻り、水は消失した。



入隊希望者から感嘆の声が上がる。


土の槍が生えたり砕かれたりして荒れまくった上に水浸しになっていた運動場が一瞬で元に戻ったからな。


魔法を見慣れていなければ珍しい光景だっただろうな。




「それではこれより、入隊を希望する者との模擬戦を始める」


俺が宣言すると、入隊希望者たちの顔が盛大に引きつっていた。


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