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大力(嘘)で身を立てる  作者: ろん
第三部 貴族立身

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アルト隊第1回公募② 入隊テスト開始、狙っていた者

入隊テスト当日。


朝8時の集合時間に、申し込みしてきた者の9割ほどが集まっていた。


180人は超えているな。



残り1割は冷やかしか、集合時刻を守れないものかのどちらかだろう。


受付時に名前や住所、経歴などを記載させ、怪しい者は裏を取っている。


ここに集まっていない者については、それはそれで、使えない人間のリストとしては役に立つ。



混成部隊で声をかけた者から8人、第13大隊第5中隊で声をかけたものから2人が参加している。


隊規の内容を知り、アルト隊で求められる基準を知っていて、なおこれだけ参加してくるとはちょっと驚きだった。



そして、直接誘いはしなかったが、3人ほどの人を介して公募について伝わるようにして、うまく釣れた者がいる。


御前武試で俺とやり合ったことのある、生命魔法と槍士の2つのギフトを保有する、ソフィアだ。


御前武試では生命魔法を使われるとマズいと思い、すぐに試合を決めてしまったんだよな。



ギフト保有者養成学校では魔法士としての講義を中心に受けていたらしく、俺が在学中には接点がなかった。


俺の1つ歳上で現在は15歳。


今年にギフト保有者養成学校を卒業して、魔法士ではなく国軍の士官としてのキャリアを望み、国軍に入隊したらしい。



ベルナール男爵家の家系だったがソフィアの親世代で平民落ちし、ベルナール男爵家の再興を目指して永代貴族に復帰したいという理由で、国軍の方がチャンスがあると考えたようだ。


魔法士系のギフト持ちでギフト保有者養成学校を卒業すると自動的に一代限りの男爵となるが、魔法士として政府に仕えた場合に、その上を目指す道筋が見えなかったのかもしれない。


政府務めの魔法士は楽な仕事で収入もいいと聞いているが、それを望んでいなかったということだろう。



没落貴族の平民のギフト持ち・・・国軍で干されるには十分な経歴だよな。


戦場に出る機会を与えられず、それどころか何の役目も与えられずに燻っていたらしい。



何というか、立ち回りの下手なヤツらしいな。


国軍への入隊を視野に入れるなら、ギフト保有者養成学校で軍事系ギフト向けの講義をしっかり受け、槍士ギフトの研鑽にも励むべきだっただろう。


学校に在籍している間に国軍に関係するような人脈構築にも励むべきだった。



まあ、国軍で燻っていてくれたお陰で、アルト隊への入隊を希望の糸として垂らすことができたんだけどな。




「よく集まってくれた!

これより、独立戦闘部隊、アルト隊の入隊テストを行う!


入隊テストではアルト隊の隊員として最低限求められる、行軍と戦闘について確認させてもらう。


行軍についてはこれより4時間、一定のペースで走り続ける先任の隊員に続いて走ってもらう。


その後、昼の休憩を経て、模擬戦を行い、戦闘についての能力を確かめさせてもらう。


それでは、早速始めるぞ!」



集まった入隊希望者の前で、俺は開始の挨拶をした。


話は短くシンプルにして、早速4時間のランニングを開始する。



俺は入隊希望者を先導して運動場の外周へと向かう。


「基準となる隊員には、アルト隊で求められる最低限の行軍速度で走ってもらう。


お前たちにはその隊員に続いて走ってもらう。


隊員についていけなくなっても走り続けろ。


どこまで走れるかを、俺たちが見ている」



俺や隊員からテスト内容を聞いていた者は心の準備を済ませているようだが、そうでない者はテスト内容に驚いて戸惑っているようだ。


後者でも、アルト隊の戦場での動きを知っている者と知らない者で驚きの内容が違っている。


知っている者はその厳しさに驚き、知らない者は試験内容が単純すぎると驚いているようだ。


知らない者にはソフィアも入っている。



基準となる走者には、元傭兵で現在はアルト隊の術士となっている、サリム・ガッド・トメルの3人組を選んだ。


3人が入隊希望者たちの前に並ぶとあからさまに侮る者もいるようだ。


特にトメルは細身で運動が得意そうには見えないからな。



入隊希望者には1~182までの番号のゼッケンをつけてもらっている。


入隊テストの会場であるこの駐屯所で、やってきた入隊希望者の名前を控えてゼッケンを渡し、渡したゼッケンの番号も控えている。


アルト隊の隊員は入隊希望者を番号でそれぞれの結果や態度などを記録して、後でその内容を照合してまとめるつもりだ。



この状況で元傭兵の3人組を侮る・・・馬鹿は不要だな。


番号をメモって、そこに✕印をつける。



「それでは、今から開始だ!」


俺が開始を告げるとサリム・ガッド・トメルの3人組が走り始めた。


例によって100m10秒の速さだ。



予め聞いていた者たちは遅れずに続く。


聞いていなかった者の中でもギフト保有者はなんとか続いている。


ソフィアも続いたようだ。



取り残された者も、走り始めた。


こんなペースで走り続けられる訳がないと思いたいのか、最初から続く気がない者も結構いるな。



さて、何人が残るかな?


まあ、既に大体の検討はつくけども。



最初からついていけるような者が集まるとは考えていないが、取り組む態度はしっかり見ていくとしよう。


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