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大力(嘘)で身を立てる  作者: ろん
第三部 貴族立身

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移籍、レフと隊員の模擬戦、日常の訓練

辺境開拓地域を王家直轄領からバウエルン領にする手続きは、まだまだ終わりそうにない。


その手続きの中で、確定可能な領域については一つ一つ確定させていった。


その中の一つに、南東辺境開拓地域と南部辺境開拓地域に戸籍を置く者の所属の変更があった。


王家への所属から、バウエルン家への所属に変更するということだ。


ほとんどの者については特に急ぐような必要性もないんだが、一部においてだけ、俺にとってとても重要な内容だった。



所属する場所の外にいる者、特にスキル持ちについてだ。



レフ兄さん、オレグ、イリナをバウエルン家所属にすることはかなり重要だ。


レフ兄さんは王都から動けるようにしておきたいし、オレグとイリナは貴重な魔法士で、王家に所属している状態だと進路の選択肢などなく、王家や政府の意向で決められてしまうだろう。


オレグとイリナについては政府の役人がかなりの抵抗を示していたが、原則論と威圧で押し切った。



ケイトさんはレフ兄さんと籍を入れたので、ケイトさんは南東辺境開拓地域の戸籍に入り、そのままバウエルン家所属となった。


そのタイミングでレフ兄さんとケイトさんは魔術開発の部署を辞職し、アルト隊に所属してもらうことになった。


南部辺境開拓地域のことが決まってバウエルン家の管理に移され、レフ兄さんに管理者になってもらうまでの臨時の所属だけれども。



レフ人さんとケイトさんは、表向きはアルト隊に所属する軍属、軍に所属する生産系ギフト保有者で、前線には出ない職員となってもらっている。



レフ兄さんは名目とは言え、政府の職員ではなく、アルト隊の所属になった。


つまり、もうその実力が表に出ても大丈夫になったということだ。




「・・・ありえねぇ」


「また化物かよ・・・」



アルト隊の駐屯地の運動場で、14人の隊員が地面に転がっていた。


立っているのは1人だけだ。




アルト隊全員・・・俺、隊員14名、軍属2名の17名が駐屯地に集まったタイミングで、「レフ兄さん 対 俺以外のアルト隊全隊員」の模擬戦をやらせてみた。


隊員は「殺す気でやれ」と伝え、レフ兄さんには「殺さない程度でお願い」と伝えた。


見学者は俺とケイトさんの2人だけだ。


ケイトさんはレフ兄さんの実力を話でしか聞いていないからまだ半信半疑で不安そうにしていた。




開始の合図をすると、俺の言ったことを本気にしていない隊員たちが動かないので、レフ兄さんが弱い方から仕留めに行った。



レフ兄さんは身体術で空中に作った足場を駆けて隊員たちを飛び越えていき、後方で備えていた元傭兵の3人とロッド・ダルモンの術士4人の背後に立って無力化した。


当て身で気絶させた後に生命魔術で昏睡させる、穏やかな無力化だ。



続いて元混成部隊リーダー格3人組とガエル・ヘンリオンの隊士4人を1人ずつ手足を圧し折って意識を落とした。


マルセル、ボリス、サブリナの学校卒業組は3方向から同時にレフ兄さんに襲いかかったが、槌の一振りでまとめてふっとばされ、3人ともその一撃でボロボロになっていた。


副長のダミエン、斥候役のブライム、術士で近接戦闘もできるリュクの古参ギフト持ち3人は全力で挑むも全く歯が立たずに1人ずつふっとばされた。



やっぱりというか、あっという間だったな。



意識がある者も呆然としていたが、気を取り直した者から自分を身体術で治療し、意識のないものを起こしていった。



全員復帰したところで声をかけた。


「辺境の、それもエルン村で鍛えた男は、すごいだろう?」


「すごかった・・・が、何で生産系ギフト持ちで、しかも最近まで政府の役人だったヤツがこんなに強いんだよ!」


「ここまで差があるとはな・・・」


文句を言ってくる者も振り返っている者もいるな。


見ているだけだったケイトさんも相当に驚いて、今も混乱しているようだ。




レフ兄さんはエルン村で強くなり、そして王都に出た後も強くなり続けた。


その理由は、日常生活の中でも行える訓練法にある。



有仁が読んでいたラノベの中に脳筋忍者の物語があり、その訓練法が面白かったんだよな。


『逆身の法』


瞳術と長期間の精神的追い込みによって、筋肉の一部を逆に動かして鍛えるという手法が書かれていた。


そのまま真似するのは無理かもしれないが、身体術で応用ならできそうだと思った。


身体術で正の方向に動かす強化と逆の方向に動かす抵抗を同時に行使する。


その状態で正の方向を少しだけ強くして日常生活を送る。



ミスをすると体壊れるか、過剰な力を加えて周りの物が壊れたりするので、精密なコントロールが必要になる。


レフ兄さんが王都に行く前に、この身体術版『逆身の法』を徹底的に仕込んだ。



レフ兄さんは王都で久しぶりに俺と再開した時も『逆身の法』を使い続けていたから、その練度には驚かされたんだよな。


慣れれば慣れるほど正の方向にも逆の方向にもより強い力を込められるから、その分魔素の動きも大きくなる。


レフ兄さんは魔素の動きが周りにバレないレベルの精密さで、かなりの量の魔素を扱っていた。



俺が王都に来てから指導して1年や2年程度の者が勝てるはずがないんだよな。




俺がちょっと誇らしげにしていると、余計に隊員たちがヒートアップして騒ぎ始めたな。


レフ兄さんにも指導する側で訓練に入ってもらって、より訓練の強度を高めていくとするか。


この作品を読んでいただきありがとうございます!


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