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大力(嘘)で身を立てる  作者: ろん
第三部 貴族立身

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大きく動く『時』③ 切り札、合流

謁見の間でのやり取りは、国王と俺で予め打ち合わせた通りに進んだ。



俺は今回の報告に関わる戦争が始まる前、資料を持って国王に面会していた。



俺がエルン村から王都に出てくる時に襲撃してきた王都の闇組織『暗闇の牙』。


俺が『暗闇の牙』を潰した時に、この組織に依頼した貴族による書面が残されていて、その中にはヴァンサン・ローゼルスタッドが署名したものもあった。



俺が王都からカンゲルヴァイン侯爵家領に向かう商隊の護衛をした時、そのルートを縄張りにしていた大規模な盗賊団のアジトを潰して見つけた書面にも、継続的にそのルートを襲う指示とヴァンサン・ローゼルスタッドの署名があった。



俺はこれらの書類を提出し、署名の筆跡鑑定を依頼した。


併せて、エルン村のスタンピードを阻止した後にエルン村長が提出した報告書に補足資料として記載したローゼルスタッド侯爵家関与の疑いについても改めて主張した。



王都の使者であるグローフィル子爵と王家の旗を掲げた馬車を襲う依頼の書面は、決定的だったようだ。


急な依頼で、しかもかなり無理押しの依頼だったためか、当主のヴァンサンが署名していたからな。



俺とアルト隊が実績を上げ続け、人数が揃ってきて部隊としても小隊レベルの規模にはなり、国王からの信頼が厚くなった。


1つの大貴族家をアルト隊で対処できるという確信を持てたから、国王もローゼルスタッド侯爵家を潰すという意思決定ができたのだと思う。



戦勝報告の場でヴァンサンを処理し、間を置かずにローゼルスタッド侯爵家領をローゼルスタッド侯爵家の支配下から奪い取る。


俺はそれを確実にやってみせると請け合い、国王はそれを信じた。




俺とダミエンが謁見の間での戦勝報告に出ている間に、アルト隊の他の隊員たちは既にローゼルスタッド侯爵家領に向けて出発している。


この世界では遠隔の通信手段はないし、早馬で知らせることがせいぜいだろう。


ヴァンサンが捕らえられたという報告がローゼルスタッド侯爵家領の旧ローゼルスタッド侯爵家の者たちに伝わる前に、事を進めるつもりだ。




外壁の東の門を出て、ダミエンと2人で道を少し外れた所を走る。


100m2秒くらいのペースだ。

時速にすると180km。


この世界ではこれ以上の速度の通信手段はほぼないと言っていいだろう。



王都からローゼルスタッド侯爵家の領都まで50km程度。

残り5kmというところで、13人の白いローブを纏った怪しい集団が見えてきた。



「早かったな」


白いローブの集団の1人が声をかけてくる。


「時間が重要だからな」


俺はその声に答えた。



「ここからはアルト隊として進むぞ!


時間が重要なことには今からも変わりない。

戦場とは違うが、決めた段取り通りに動くように。


続け!」


俺が宣言して100m10秒のペースで走り出すと、ダミエンが続き、白いローブの13人がローブを脱いでアルト隊の制服を晒して後に続いた。



アルト隊のダミエン以外の13人を先にローゼルスタッド侯爵家領に向かわせていた。


その際、アルト隊の制服を隠すためにローブの着用を指示した。


まあ、怪しい集団には違いないが、アルト隊だとすぐに特定されなければそれでよかった。



臨時メンバーのブライムとリュクも含めて、総勢でローゼルスタッド侯爵家領を落とす。


この作品を読んでいただきありがとうございます!


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