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大力(嘘)で身を立てる  作者: ろん
第一部 辺境開拓村

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特大型魔獣と瘴気獣

大森林探索について、何度も参加して、実態や当事者の意識などを理解した。



奥に向かう距離と、魔獣のサイズはある程度比例しているようには思えた。


ただ、その外れ値のような形で、一度特大型(全長30m以上)の魔獣が、エルン村から10kmほど進んだところに出没した。


エルン村から10kmくらいの距離だと、初回で大型(10~30m)と遭遇したものの、それ以降はエルン村から20kmほど進んだところでないと遭遇していなかった。


エルン村長に聞いたところでは、20km進むくらいが大型とコンスタントに遭遇する基準らしい。


特大型は50kmほど進んでもほとんど遭遇したことがないくらいなので、10kmで遭遇した時はエルン村長も驚いていた。



遭遇したのは全長50mくらいの猿型。


ゴリラみたいな体型で、高さは背中を丸めても40mくらいあった。


刃渡り100cm程度のロングソードだと、あってもあまり意味がなかったので、殴ってみたが、拳の面積程度しか削れなかった。


打撃を与えるならそれなりの面積がないと、打撃にならないことを学んだ。



足場と同じ要領で、手のひらに1辺3mほどの板状の魔素を固めて、それでビンタすると、特大型でも首の骨を折ることができた。


それでもなかなか死ななかったので、胸の心臓あたりを身体ごと体当りして貫いて、ようやく殺すことができた。



エルン村長が戦場で使っていたという、刃渡り10mの大剣があれば楽な相手だったと思うけれど、いつも持ち歩くのは大きすぎて不便だ。


エルン村長は大型以上の魔獣と遭遇した時は、エルン村に追いかけてこないように迂回して撤退し、改めて大剣を持って挑んでいたらしい。


その場でその時用の武器を作ることができればいいんだけどな。


アイデアはあるけど、真のギフトを明かさないままだと不自然になってしまうので、今は実現できない。




何度か大森林探索に同行して、大森林の特性や、探索で気になったことについて、エルン村長と何度も議論した。



魔獣については、予め聞いていたけれど、探索に参加して改めて理解したことなどもあった。


魔獣は人間を一番手頃で美味な獲物と認識しているそうだ。

魔獣同士で争っていても、人間が近くにいると争いを止め、団結して人間を襲うらしい。


人間の集団を襲う時は、ギフトの有無や身体術の使用有無に関わらず、小さい人間を一番に狙う傾向がある。

ただ、必ず一番小さい人間を狙うかと言えばそうでもなく、魔獣自身との距離の近さ、魔獣の攻撃のリーチなどにも左右されるようだ。


また賢い魔獣になると、人間のサイズではなく強弱で狙いを変えることあるようだ。



魔獣はサイズが大きいほど、人間の身体術のように魔素を活用して身体強化する傾向も強くなるようだ。


サイズが大きくなるほど魔素の密度も上がるので、魔獣の強さはサイズに比例するというよりは、サイズの自乗に比例するという方が近いかもしれない。



魔獣に瘴気が混じっている割合でも性質が変わっていくようだ。

瘴気の混じる割合も、エルン村から離れるほど高くなるらしい。


俺は最長でも20kmほどまでしか進んでいないので、はっきりと瘴気が混じった魔獣をみかけることはなかった。


瘴気が混じった魔獣は全体または部分的に色が変色して、凶暴になり、人間を狙う傾向も強まるそうだ。



魔獣は自分より魔素の濃度が濃い相手を避ける傾向にあるようだ。


魔獣はサイズが大きくなるにつれて魔素の濃度も濃くなっているので、自分より大きい魔獣を襲うことはまずないようだ。

そして、魔素の濃い樹木も避ける傾向があり、自分から木を折りにいったりすることは、ほとんどないようだ。


たまに大森林で見かける瘴気に侵された樹木、瘴樹などについては、魔獣は積極的に避ける傾向にあるようだ。

なので、大森林探索では木を折ったりしないこと、特に瘴樹を傷つけたりしないことになっている。


瘴樹は人間には特に悪い影響がないようで、瘴樹の周りは休憩ポイントにもなっている。



まだ俺は一度も見かけたことがないけれど、瘴気獣というのもいるらしい。


瘴気に完全に染まって、身体の造形が奇形になり、魔獣よりも段違いに強くなるらしい。


そして人間を魔獣よりも積極的に、執拗に狙うらしい。


瘴気獣に出会ったら、倒すか完全に撒くまではエルン村に戻ってはいけないことになっているそうだ。


瘴気獣と瘴気獣に追い立てられた魔獣が辺境開拓村を襲うというのは、辺境開拓村が滅びる大きな理由の一つになっているとのことだ。



エルン村長がエルン村を開拓してから瘴気獣に遭遇したのは2回だけだそうだ。

2回ともかなり苦戦して倒したらしい。


瘴気獣はとても食用とは思えない姿だが、死んでから3日ほど経つと、瘴気が完全に抜けて、生で食べても大丈夫になるそうだ。


それも、とてつもなく旨くなり、しかも食べると魔力が強くなり、身体術や魔術の腕が上がるとされている。


ただ、瘴気が完全に抜けてから3日ほど経つと、塵になって消えるそうだ。


・・・一人で大森林を探索できるようになったら食ってみようかな。


この作品を読んでいただきありがとうございます!


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