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大力(嘘)で身を立てる  作者: ろん
第三部 貴族立身

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部隊外の活動① ピエール商会、成長マトリクス

アルト隊でも隊員に休暇を与えているが、当然俺も休暇を取っている。


今はアルト隊の隊員の訓練が活動のメインになっているが、それ以外にもいろいろやるべきことはあるからな。



今日はピエール商会の本店に顔を出した。


会長のピエールとの付き合いはそれなりに深い。


ちょっと知識を漏らしてしまったことがきっかけで、執拗に話を深堀りされてしまい、マーケティングや在庫管理のコンサルみたいなことをさせられてしまった。


ピエールはそこから業績を伸ばして商会を立ち上げ、王都以外でも商圏を拡げるために、俺たちが提供する国内物流を積極的に利用している。


1商会でそれなりのサイズのロットで利用してくれるから、国内物流の予定も組みやすいんだよな。

それもピエールの計算の内なんだろうが。



駐屯地で使う食材や消耗品、制服や下着、寝具などの日用品や必需品の供給やメンテナンスは、ピエール商会に任せている。


アルト隊は人数が少ないし、今後も他の国軍の部隊ほど増やすつもりはないんだが、それほど美味い商売にならないことを承知で、ピエールも俺たちとの付き合いを深めるために手頃な費用で担ってくれている。


朝晩に食堂で料理を作ってもらう人員の派遣を、今日は頼みに来た。


朝に昼食の作り置きもしてもらう予定で、3食お世話になるつもりだ。


今は食材だけ配達してもらって、俺と傭兵出身3人組で交代して作っているんだが、そこを任せられるなら俺たちの時間を捻出できる。



ピエールから「商売の手を拡げたいが、どういう方向で考えたらいいか」と悩みを相談されたので、成長マトリクスで4つの方向で考えてみたらどうかと軽く話すと、また深堀りされてしまった。


・・・こういう、俺から漏れる知識を狙っての、俺たちへの便宜なんだろうな。




成長マトリクスとは、「製品」と「市場」を2軸として、それぞれ「既存」と「新規」に分け、4つの方向性の成長戦略を表したものだ。


・既存の製品、既存の市場なら「市場浸透戦略」

・既存の製品、新規の市場なら「新市場開拓戦略」

・新規の製品、既存の市場なら「新製品開発戦略」

・新規の製品、新規の市場なら「多角化戦略」


既存の領域はリスクが低く、新規の領域はリスクが高いから、市場浸透戦略が最もリスクが低く、多角化戦略が最もリスクが高くなる。



市場浸透戦略は現状維持というわけではなく、今扱っている製品を今提供している市場に、より多く販売していくことを狙う戦略になる。


消耗品なら購入頻度や一度に購入する数の増加を狙ったり、試供品を配って認知度を上げたりして、市場内での自分の製品のシェアを拡げる動きを狙うことになるだろう。



新市場開拓戦略は、今扱っている製品を今とは違った市場にも販売することを狙う戦略だ。


女性向けの製品を男性に受け入れられるように工夫して売っていくとか、富裕層向けの製品を庶民向けに小分けするなり希釈するなりして売っていくとかで、販売数を増やしていく。



新製品開発戦略は、新しい製品を今既存の製品を提供している市場に流す戦略だ。


既存の製品と一緒に使いたくなるような製品を開発してセット購買を狙ったり、満たせていないニーズを満たせるような製品を投入することで、今の市場での売上を上げていく。



多角化戦略は、新しい製品を今とは違った市場に提供することを狙う戦略だ。


今までほとんど関わりのなかった領域に飛び込むことでもあり、当然リスクも高い。


リスクを減らすために、有仁の世界だとM&Aで買収してノウハウごと手に収めることなどがよく行われていたな。


こちらの世界だと、商売が上手くいっていないがモノはいい店や技術者などを商売面でアドバイスすることで、似たような効果が得られるかもしれない。




いつも通りというか、すごい勢いでメモり出したし、質問も投げかけてきた。


他の商会や商人のところにも顔を出そうと考えていたんだが、特にアポを取っていたわけでもないし、日を改めるかな。


今日くらいはピエールにとことん付き合ってやるか。



俺が関わった人、会社、団体がうまくいくのは、有仁の頃から嬉しいものだと思っていた。


例え仕事での関わりだったとしてもだ。



ピエールとその商会は、俺が話したことを咀嚼して、自分たちの状況に合わせて修正しながら進めて結果を出すから、その経過も含めて関わるのは楽しいことだと思っている。


・・・ちょっと執拗で疲れるのもあるけれど。



この作品を読んでいただきありがとうございます!


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