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大力(嘘)で身を立てる  作者: ろん
第三部 貴族立身

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ギフト保有者養成学校卒業生たちのテスト

マルセル、ボリス、サブリナは戦闘訓練にもだいぶ慣れてきたようだ。


必要とされる攻撃力、防御力、速度。


これらの基準を理解させ、向上させ続けている。


身体術による自分の体の治療もある程度できるようになってきた。


俺が行使するより、自分で行使する方が痛みがマシだし自分のタイミングで治療できることが分かると、必死で覚えるようになった。



持久力、回復力を強化して継戦能力に繋げることもある程度できてきている。




運動場の中央で、人間サイズの土人形が100体出来上がった。


その土人形の前に、マルセル、ボリス、サブリナが武器を構えて立っている。



もう何度もやっているから誰も驚かなくなったな。


土人形は俺が土魔術で作成したものだ。




マルセル、ボリス、サブリナが一定の基準に達したと見極めてから、アルト隊の隊士として敵を漏れなく撃破する訓練のために、土人形を敵兵に見立てた訓練を始めた。



人間と違って動かないので、それを補う仕組みも取り入れている。


マルセルたち3人以外は石を用意して、好きなタイミングで3人に向けて投げていいことになっている。


戦場での敵による遠隔攻撃の代わりだ。



最初に俺が土人形を一気に作成して驚いているところに石を投げられて身体術で防御する間もなく3人ともダメージを受け、1体も破壊しない状態でリタイアになったこともあった。


他の隊員の投石に慣れたタイミングで、俺が石を投げたこともある。


石を身体術で強化まではしていないが、それなりの速度で投げると中途半端な身体術の防御ならダメージが通る。


土人形の影に隠れながら投げたから、実戦でもありそうなシチュエーションだろう。



土人形自体にも細工というか、何体かは遠隔の身体術によって強化してある。


土人形の硬さがどれも同じようなものだろうと思って強化した土人形に攻撃して、壊すのに手間取って3人が足並みを乱せば失格だ。



何度も何日も失格が続いて、マルセルたち3人は訓練後もどうすればよかったかの反省会をして、自分たちで改善するようになった。


そして今日、何としてでも合格するという気迫に溢れた状態で、土人形の前に立っている。



俺がそこそこのスピード、時速300km程の速さで拳大の石を投げた。


マルセルは手に持った斧を強化して、少し位置を動かして柄の部分に当てて防いだ。


当たって砕けた破片がマルセルに当たったが、それも身体術で防げている。



左からボリス、マルセル、サブリナの順で、ボリス側を前にした斜陣で土人形に向けて走った。


アルト隊の隊士として、俺の後ろで配置した時の並びは意識できているな。



周りで見ている隊員から時折石が投げられてくるが、それには対応せず体や服を強化した身体術で防げている。


ダミエンのように体や服の上に膜のように身体術を張ることはまだできていない。



通常の硬さの土人形なら破壊できる威力で、3人とも土人形を攻撃していく。


一撃で破壊できなかった土人形、俺が強化した土人形には、それを壊せるように力を込めた再攻撃で壊していく。



土人形が残り20体になった時点で、サブリナが担当している列に今まで一度もないレベルで強化した土人形を置いている。


サブリナが金棒で一度攻撃をして、その硬さを理解できたらしい。


サブリナが今できる全力を込めて強化土人形に攻撃し、上半分が壊れた。


サブリナの隣りにいたマルセルもその強化土人形に横から攻撃し、下半分も壊した。



マルセルたち3人は土人形100体を全て壊して通り抜けることができた。


マルセルが突然の事態にもフォローできたことは評価できるな。



「よし、合格だ!」


俺が声をかけると「うおおおおおおおおおお」と観客の隊員から歓声が上がる。


マルセルたち3人は上を向いて立ち尽くしていた。


感無量というやつかな。



「後半のあの硬いのは何だよ!

あんなの仕掛けやがって!」


「ああ、嫌らしいことをしてくれるな」


サブリナとマルセルが文句を言ってきた。


感無量というより、最後の仕掛けにイラッとしていただけだったらしい。



「戦場が全て自分たちの思い通りなわけがないだろう?


まあ、咄嗟のことでもよく対応できたな」


俺が声をかけると、2人は「むむむ」と何とも言えない表情で口を噤んだ。



「これで最後のテストもクリアできた。


戦場で訓練と同じようにうまくできるかは、実際に出してみないと分からないが、対応できる力を身に付けたと判断する。


マルセル、ボリス、サブリナ。


お前たち3人を、アルト隊の隊士として、認定する」



再度歓声が上がった。


マルセルたち3人は拳を握りしめて隊士に認定されるレベルに到達したことを噛み締めているようだ。


長い間、というほどではないかもしれないが、それなりの密度の訓練を課し続けられて、それらを乗り越えて得られた資格だ。


今度こそ、感無量と言ったところかな。



次に戦争参加の要請があった時には、俺とダミエン、そしてマルセル、ボリス、サブリナを含めてアルト隊は5人で参戦することになる。


ようやく少し部隊っぽくなってきたかな。


この作品を読んでいただきありがとうございます!


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