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大力(嘘)で身を立てる  作者: ろん
第三部 貴族立身

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たった2人のアルト隊① ダミエン参戦、チキンレース

マルセルが継戦能力の最低基準を満たしてから、すぐにボリスとサブリナも満たすことができた。



マクシ、ケニー、リビオの元混成部隊リーダー格の3人と子爵家次男のガエル・ヘンリオンは、全身の身体強化ができるようになり、身体強化の強度を上げていく段階に入っている。



サリム、ガッド、トメルの傭兵3人組と男爵家四男のロッド・ダルモンは、先に発火の魔術の訓練をさせるとモチベーションが爆上がりして、魔素を動かして術式を描くところまでできるようになり、ついに発火の魔術を使えるようになった。


魔素を動かす感覚を掴んだので、それを身体術に応用することで、低い強度ながら全身の身体強化までできるようになっている。


この4人には、身体術の訓練に併せて水を生み出す魔術にも取り組ませている。



魔術は誰もが羨ましがって覚えたがり、サリムたち以外の全員が希望したので、発火の魔術が使えるまで魔術の訓練の時間を取って、全員が使えるようになった。




俺が3度目に参加した戦争で、ストング王国側にも侵略して拠点を構築することになったが、その拠点の防衛戦争に参加することになった。



マルセルたちギフト持ちの3人が順調に成長していることもあり、副官のダミエンが一度戦争に参加しておきたいと言ってきた。


諜報ギフト持ちのリュクは俺と共に参戦しことがあったが、ダミエンはまだなかったな。


他に参加させられる者がいないから俺と2人での参戦になるが、俺に続く隊士としての動きの見直しや検討するポイントの洗い出しをしてもらうか。



アルト隊の隊士として、重要なポイントとして、「一度相手をした敵は必ず殺すこと」がある。


アルト隊の敵になれば、必ず死ぬ。


これを戦場の常識とするためだ。




ゲーム理論で検討するテーマの一つに「チキンレース」がある。


チキンレースとは、2台の車を向かい合って走らせるゲームだ。


どちらも避けなければ正面衝突する。


先に避けた者が「チキン」と呼ばれる。



ゲーム理論のチキンレースの必勝法の一つに、「自分は絶対に避けない」と宣言する、ということがある。

「コミットメント戦術」と呼ばれる方法だ。


相手は、避けないことを選べば正面衝突で死ぬ、避ければ「チキン」と呼ばれて負ける、の2択を迫られることになる。


死ぬか負けるかなら、負ける方がマシ、ということだ。



1962年に、キューバでソ連の核ミサイル基地を建設していることが発見された。


アメリカ本土のすぐ南に位置するキューバで核ミサイルを放てるようになる。


キューバ危機と呼ばれる事態だ。


当時のアメリカのケネディ大統領は、徹底した強硬姿勢を示し続けた。


ソ連がキューバでの核ミサイル基地の建設を止め、撤去しなければ、必ず核で報復すると。



アメリカ側のコミットメント戦術で、撤去しなければ核戦争で滅亡、撤去すれば相手の要求を呑んだという敗北。


滅亡より敗北のほうがマシ、ということでキューバの核ミサイル基地は撤去された。




「アルト隊の敵になれば、必ず死ぬ」


これが常識になれば、コミットメント戦術のような効果が期待できる。


敵に、アルト隊の前に立って死ぬか、逃げて生き延びるかの2択を押し付けることができる。



逃げることの不名誉、味方からの弾劾や罰則などがあるから、逃げる選択がいつでも選べるわけではないだろうが、アルト隊の前面に立たされた時の士気は落ちるだろう。


それが、アルト隊の隊士の生存可能性を引き上げることにも繋がる。



ダミエンにはその理由も言い含め、「一度相手をした敵は必ず殺すこと」を徹底することを命じた。


もしダミエンが相手にした者が死んでいなければ、俺が立ち止まると告げておいた。


戦場での失敗をそれで明確にする。



マルセルたちが隊士になった時も、同様に動くつもりだ。


この作品を読んでいただきありがとうございます!


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