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大力(嘘)で身を立てる  作者: ろん
第三部 貴族立身

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最低基準の次の訓練② ダミエンとの模擬戦、2種類のモチベーション

次はダミエンと模擬戦をする。


互いに2mほどの長さの棒を持って対峙する。



ダミエンが身体術で身体能力を10倍ほど強化して、俺に向かって迫りながら正面から棒で突いてきた。


俺が棒を振ってダミエンの棒を払うと、ダミエンはすぐに棒の軌道を変えて弧を描きながら俺の頭上を叩こうとする。


俺は棒を両手で頭上に掲げてダミエンの棒を払い、続けざまにこちらからダミエンの胸を目掛けて棒を突き出す。


ダミエンが足さばきで俺の突き出した棒を避けるが、俺が突き出した棒を水平に振ってダミエンの左脇腹を打ち据える。


ダミエンは皮膚と服を身体術で強化し、足元を身体術で固定してその一撃に耐え、俺の額に向けて棒を突き出す。


俺が屈んでダミエンの棒を避けると、ダミエンはそのまま棒を振り下ろして俺の背を打つ。




・・・




十分間ダミエンと応酬して、模擬戦を終えた。



見ていた隊員たちから「おー」と感嘆の声が上がった。


互いの棒が当たった音から、その威力も大体のところで隊員たちにも把握できただろう。


仮にマルセルに当てていたら、骨が折れるどころか肉片になって飛び散るくらいの威力は互いに込めていた。



ダミエンは身体能力をもっと上げることもできるようになっているが、隊員が応酬を理解できるのはさっきの模擬戦くらいまでの速さが限度だろうな。



訓練すればダミエンのようになれる。


強くなった先のモデルを目にしたら、モチベーションアップにも繋がるだろう。




生き延びるために強くなる。

強くなりたいから強くなる。



モチベーションにはポジティブなモチベーションとネガティブなモチベーションがあり、それぞれ性質が異なる。


ポジティブなモチベーションはその効果は弱いが持続的に使える。

ネガティブなモチベーションはその効果は強いが持続的には使えない。


「来月ノルマを達成したら給料を上げてやるぞ」

「来月ノルマ達成できなかったら、お前クビな」


短期的には後者の方が効果があるだろう。

それでも言われ続けていたら心が折れるか体を壊すだろう。


前者の方が短期的には効果が薄いが、長期的に使えるモチベーションになる。


うまく調整しながら使わないとな。




エルン村での訓練は、その点では楽だったな。


辺境や大森林で生き抜くために、エルン村の仲間のためにというモチベーションがみんなにあったから、誰もが厳しい訓練を望んでいた。


キリル兄さんへの訓練は別としても、レフ兄さんへの訓練でも、今のアルト隊の隊士は誰もが到底耐えられないだろうしなあ。



人それぞれ、育った環境や受け止められる器の大きさが違うことは、よく分かっている。


しっかり見極めながら、戦場で生き延びることができる力をつける訓練を進めるとしよう。


この作品を読んでいただきありがとうございます!


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