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大力(嘘)で身を立てる  作者: ろん
第一部 辺境開拓村

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初めての大森林探索②

エルン村から5kmほど奥に進んだところで、魔獣の群れが正面方向からこちらに向かっている気配を感じた。


戦闘メンバーも気づいているようだ。


「正面から、10秒で接敵、小10、全て鼠型」


エルン村長が声を上げた。



予め聞いていたけれど、『小10』というのは小型が10頭を意味している。


サイズはおおよその体長で分類していて、小型は3m未満、中型は3~10m、大型は10~30m、特大は30m以上という意味だ。


魔獣の強さはかなりの程度サイズと比例している。


小型でも保有する魔素が濃い魔獣などは強敵になるそうだが、そういった例外がいた時は別途声をかけることになっている。




戦闘メンバーも見学メンバーも背負った荷物を置いて、改めて武器を構える。


エルン村長は他の戦闘メンバー6人の後ろに下がった。

この場はその6人に任せるということだろう。



そして、正面から魔獣が襲ってくる。


だいたい1~2mくらいの鼠のような魔獣だ。

2mくらいの一番大きい魔獣が先頭になっている。



戦闘メンバーでは一人だけ特に背の低いキリル兄さんが一番狙われていた。

弱そうな相手から襲うのは有仁の世界の獣と同じようだ。


キリル兄さんは魔獣を後ろに逸らさないように前に出ながら1匹ずつ相手取っていた。

先頭の魔獣含めて4頭をキリル兄さんが斬り捨てていった。


他のエフゲニさんを除いた4人も余裕を持って立ち回り、エフゲニさんは4人のフォローをしながら自身も魔獣を倒していた。



キリル兄さんもなかなかやるもんだね。

11歳でギフトもなしに魔獣相手に落ち着いて立ち回っていた。


有仁の世界ならまだランドセルを背負っているくらいの歳なのにな。




それから二度、小型の魔獣の襲撃があったが、エルン村長が手を出さずとも誰もが無傷で撃退していた。


三度目はキリル兄さんが索敵もこなして状況を戦闘メンバーに共有していた。



エルン村に近い、大森林の辺縁では小型の魔獣がほとんどなんだろうか。


そういった棲み分けがあるのであれば、戦闘メンバーの質に合わせての探索予定も組みやすいのかもしれない。




「正面、距離200、中5、猿型3の猫型2」


大森林に足を踏み入れてから10kmを過ぎた頃、エルン村長が少し緊張感のある真剣な口調で声を上げた。


時間ではなく距離で伝えてきたということは向こうがこちらに向かってはいないということで、中型なので全長が3m以上10m未満のサイズ、今日の探索では一番の大物になる。




エルン村長が先頭で少し歩調を緩めて前進する。


エフゲニさんはそうでもないが、キリル兄さんたち戦闘メンバー5人は緊張感が高まっている。



見学メンバーの5人は緊張で固くなり、見学メンバーの護衛役のマクシムさんも少し気を張っているようだ。




魔獣の方もこちらに気づき、猫型2頭が先行して猿型3頭が様子見しながらゆっくりと近づいている。



猿型のうち2頭が石を拾って投げてきた。


人の頭より大きいくらいの石が、魔獣の力で結構なスピードでいくつも飛んでくる。



戦闘メンバーに飛んだ石は各自で処理し、後ろにいた見学メンバーの方に飛んできた石は俺とマクシムさんで処理する。


見学メンバーから「ひいっ」と声が上がる。


弱い者から狙うということは飛び道具なら戦闘に参加していないものも狙われるということなんだな。



用心しながら正面を見ていると、右方向で別の気配を感じた。


「右、距離800、中3、狼型、アルトが対応します」


状況に応じて戦闘参加していいとのことだったので、俺が対応することにした。


全長5mほどの狼型の魔獣が3頭、こちらに気づくかどうかというところだ。



空中に足場を作り、下草や木を避けながら魔獣3頭の方へ向かう。



3頭の首をロングソードで落として、血が吹き出ないように水魔術で止め、首3つと胴体3つを持って見学メンバーの元へ戻る。



見学メンバーの前で魔獣3頭の首と胴体を置き、土魔術で穴を掘り、水魔術で血抜きして穴に血を捨てる。


「アルト・・・おめえ、大した手際だな」


マクシムさんが呆れたように声をかけてきた。


「探索で使いそうな魔術も開発していたからね」


「いや、そういうことじゃなくてよ。飛び出してから戻ってくるまで5秒かかってねえじゃねえか」


「手早く済ませたほうがいいでしょ?」


「・・・まあ、大したもんだ」


マクシムさんは何かを言いかけて飲み込んだようにしている。


まあ、言いたいことは分かるんだけれど、俺がどれくらいのことができるのかを見せるいい機会だったからね。


この程度は当たり前にできると思ってもらわないと。


この作品を読んでいただきありがとうございます!


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