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大力(嘘)で身を立てる  作者: ろん
第一部 辺境開拓村

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17/42

初めての大森林探索①

今日は大森林に向かうメンバーに同行する日だ。



いつも大森林に向かうメンバー、日程はエルン村長が決めていて、その時のメンバーによってスケジュールを変えているそうだ。


戦力が充実している時は長めの日程で奥深くまで探索し、戦力が少ない時は日帰りで浅めを探索するようにしているようだ。



今日のメンバーは、ギフト持ちとギフトがなくても戦闘に参加できる者が8名と、ギフトなしで後方で見学メインのメンバー5名となっている。


俺は見学メインのメンバーのところに加わる形だ。



俺は見学メインのメンバーとしての参加になるけれど、状況に応じて戦闘参加していいとエルン村長から許可をもらっている。


戦闘メンバーの邪魔をしないように気をつけつつ、チャンスがあれば戦闘で実力を見せるようにしよう。




今日はそれなりに戦力が充実しているけれど、見学者が多いので日帰りの予定らしい。


いつも訓練をしている広場に集まり、大まかな予定を共有して隊列を組み、出発だ。



戦闘メンバーにはエルン村長、剛力ギフトのエフゲニさん、槍術ギフトのマクシムさんらのギフト持ちと、キリル兄さんも加わっている。


ギフトなしの11歳で戦闘メンバーに加わることができているのがすごいな。



戦闘メンバーのうち、マクシムさんは見学メンバーについていくことになるようだ。

護衛を含めて何かあったときの対応を任されているらしい。


マクシムさんには俺が戦闘に加わる可能性についても共有されているようだ。




「おうアルト!今日が初めての大森林探索だったな!訓練で見ているお前の実力なら問題ないと思うが、油断はしないようにな!」


「はい、マクシムさん。みなさんの邪魔をしないように気をつけながら、勉強させてもらいます」


マクシムさんが声をかけてきたので応えると、新参で異色な俺が入って緊張していた他の見学メンバーが少しリラックスしたようだった。


「アルトは訓練の時と同じ格好なんだね」


見学メンバーの一人が声をかけてきた。

見学メンバーは5人とも革鎧に身を包んでいるが、俺は普段着だったからだろう。


「僕の場合は身体術があるので、鎧などで動きを邪魔されるより、こっちの方が都合がいいんですよ」


「武器は長いものを使うんだね。僕らは取り回しの良いサイズで揃えているんだけど」


別の見学メンバーも声をかけてきた。


見学メンバーはみな長さ80cm、刃渡りは60cmくらいのショートソードを持っているが、俺は長さ120cm、刃渡り100cm弱くらいのロングソードを持っている。



10代後半の見学メンバーがショートソードで、5歳の俺がロングソード、身体と武器のギャップがすごいと、俺自身も思う。


「森の中での活動の邪魔にならない限りで、できるだけ長いものを選びました。僕のギフトとの相性で、得物は長い方がよさそうで」


見学メンバーは5人とも訓練で一緒になったことがあったので、「確かにそうかもな」と頷いていた。




大森林に近づくにつれて、戦闘メンバーも見学メンバーも緊張感が高まってきた。


戦闘メンバーはエルン村長がゆったりとした口調で話しかけ、見学メンバーはマクシムさんが気楽な口調でがやがやと囃し立て、緊張を解すようにしているようだった。


緊張しすぎても緊張がなさすぎてもダメなんだろう。

このあたりの匙加減に経験の濃さを感じるな。



大森林と辺境の境目は、見てすぐに分かるほどくっきりと分かれている。


草がまばらに生えている程度の荒れ地の先に、下草が濃く、それなりの太さのある木が立ち並ぶ森が見える。


大森林の手前までは、人の領域としてエルン村長たちが切り開いてきたんだろう。


大森林の木を見ても、下草でさえも、魔素に溢れていることが分かる。


エルン村の作物も魔素を含んでいたけれど、その作物よりも濃さが段違いだ。




戦闘メンバーがエルン村長を先頭にして大森林に入っていく。


エルン村長以外は2列になって、後ろに行くほど広がる形で隊列を組んでいる。


最後尾はエフゲニさんとキリル兄さんになっている。


重要な位置だと思うけれど、熟練者のエフゲニと組ませることで、キリル兄さんの実地研修という意味合いもあるのかもしれない。



少し時間をおいて、戦闘メンバーが50mほど進んでから見学メンバーも入っていく。


先頭が俺で、その後ろに2人、3人と続いて最後尾がマクシムさんだ。



有仁の世界だと、猟師は足音や気配の殺し方が重要になりそうだけれど、こちらではそれほど重要ではないそうだ。


魔獣も、滅多に大森林の奥から出てこない瘴気獣も、音を立てることに無頓着らしい。


自分が音を立てることも、他者が音を立てることもそれほど気にしていないそうだ。

ただ、人間の気配そのものには敏感で、積極的に襲ってくる習性がある。



相手が音に無頓着であろうと、相手を先に見つけることの重要性は変わらないので、大森林に入ると雑談はせず、索敵に注意を払う。


見学メンバーも索敵には参加して、魔獣を見つけたら共有することになっている。


この作品を読んでいただきありがとうございます!


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