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大力(嘘)で身を立てる  作者: ろん
第三部 貴族立身

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独立戦闘部隊への勧誘⑤ ギフト保有者養成学校卒業生3人組

『御前武試』で対戦した、斧士ギフト保有者のマルセル、体術ギフト保有者のボリス、剛力ギフト保有者のサブリナにも独立戦闘部隊の説明をすると言って声をかけた。


マルセルとサブリナには卒業前に一度国際行商の商隊の護衛についてもらったことがあったな。


ボリスは卒業まで1年猶予があったが、14歳で国軍に入っている。



この3人とは、『御前武試』で対戦したことと、ギフト保有者養成学校の講義で手合わせをしたくらいだから、俺の戦場での様子は話に聞いているだけだろう。


3人ともまだ戦場に出たことはないようだしな。



この3人はギフト持ちで有望ではあるものの、隊士の基準には満たないと思う。


その辺りを理解してもらうためにも、一度『分かってもらう』必要があるだろうな。



3人と東の外壁の門の前で待ち合わせて、門から王都を出て東北東の方角に歩いた。


道がないところを進んでいるので、3人とも怪訝な顔をしているが、文句を言わずについてきている。



1kmほど進んだ所で止まった。


周りより少し高くなっている、丘とまでは呼べないくらいの、何もないところだ。



「ここは、独立戦闘部隊の駐屯地の建設予定地だ」


俺が告げると、3人は辺りを見回して、すぐに俺を見た。


まあ、今は何もないからな。



最初に、独立戦闘部隊の基本戦術、俺が先頭に立って、敵軍を切り裂いて、少数精鋭の隊士がさらに切り開く戦術について伝えた。



この3人は、俺の戦争での戦果は話には聞いているだろうが、直接見ているわけではないからな。


有名なエルン隊の話とも重ねわせて考えるだろうが。



そして、3人がギフト持ちであっても、今の状態では隊士の基準に満たないことを伝えた。



これには3人とも激しく反発した。


ギフト保有者養成学校でも有数の実力を身に付けている自信があっただろうし、自分が独立戦闘部隊で活躍する想像もしていただろうからな。


俺についても、手合わせをした時のイメージしかないだろうから、そこまで差があるとは思っていないのだろう。



俺は土魔術で長さ10mの剣を作り、それを左右に振ってみせた。


それを見て3人は黙った。



「戦場では、こいつを振るって敵軍に切り込む。

そこから逸れた敵兵を隊士が仕留めていく。


ずっと敵の大軍に切り込み続けて、最後まで死なずに目の前の敵を殺し尽くす力量が、隊士には求められる」


俺は剣を左右に何度も振りながら3人に語った。



続けて、3人に隊士の資格を認定するには、継戦能力、防御能力、攻撃能力のどれも鍛える必要があること、入隊すれば、それほど時間をかけずに基準を満たせる想定であることを伝えた。



「俺は、ギフトに覚醒してからも、学校に入ってからも、国軍に入ってからも、ずっと鍛え続けてきたんだぞ!


それでも届かない基準に、どうやって時間をかけずに届くってんだ!?」


マルセルがキレて叫んだ。


ボリスもサブリナも同じ思いなのか、しかめっ面で頷いている。



3人とも、自分たちなりにギフトを使い続け、鍛え続けてきた自負があるだろう。


それでも届かない基準に、どうやって時間をかけずに届かせるのか、マルセルの言う通り気になるだろうな。



「俺は、他者の体を通して身体術を行使することができる。


この技術で、辺境開拓村でギフト持ちも、そうでないものも鍛え続けてきた」


俺が告げると、何を言っているのか理解できないような顔で3人の動きが止まった。


ギフト持ちで、ギフトが身体術について教えてくれるからこそ、その枠外の技術は想定外だったようだな。



マルセルを手招きし、俺の前に立たせる。


マルセルの左腕を掴み、マルセルの体で身体術を行使し、身体能力を3倍程度に上げた。


「うおっ」


マルセルが初めて体内の魔素を他者に操作される感覚に驚いている。



そもそも戦士系のギフトは身体術にもかなり強くなるはずなんだけどな。


エルン村長は剣士ギフトで自力で身体術を向上させ続けて10m剣を戦場で振っていた。


マルセルも斧士ギフトで同じ事ができてもおかしくないんだが、自分の考える枠内で訓練してきたんだろうな。


3人とも辺境出身じゃないから、切迫感とかそういったものに欠けているのかもしれない。



ボリスにも同様に身体能力3倍の身体術をかけてやった。


サブリナには剣を抜かせて、身体術で剣を強化してみせた。



3人とも、先程までとは違って隊士の基準に達するための手応えを感じたようだ。



マルセルは身体術の強度を上げるだけで満たせそうだな。



ボリスは体術ギフトだから他の武術系ギフトよりは身体術に馴染みやすい。


だが、やはり武術系のギフトは身体術による身体強化の上限は低めだからな。

ダミエンと同じく、一からギフトによらない身体術を鍛えていく方針がいいだろうか。



サブリナは身体術に特化した剛力ギフトの保有者だが、自分以外を強化する技術がまだまだだ。


まあ、訓練次第で早くに基準を満たせる可能性はある。



何と言っても3人ともギフト持ちなので、ダミエンに続いて隊士になれるのはこいつらだろうな。


俺以外に4人の隊士がいれば、俺単独ではなく部隊として戦場に連れていけるかもしれないな。



それから俺は3人に、入隊してから隊士の資格を認定するまでは訓練生とすることについて、隊規とその刑罰について、報酬体系と副業について、順次伝えていった。



訓練生扱いも、隊規についてもそれほど引っかからないようだった。


訓練に集中できることを肯定的に捉えているようだし、国軍の悪しき文化にまだ染まっていないからだろう。



副業についてもマルセルとサブリナは国際行商の商隊についていったことがあるし、ボリスはそれほど抵抗がないようだし、大丈夫そうだ。



3人とも学校を卒業してそれほど経っていないからか、戦場に夢を見ているようなところがあるが、訓練で現実を見させてやれば大丈夫だろう、多分。


この作品を読んでいただきありがとうございます!


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