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大力(嘘)で身を立てる  作者: ろん
第二部 王都進出

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3度目の戦争⑤ 東ルートの戦闘、戦争終結

北北東ルートの戦場から東ルートの遅滞戦略の舞台までは、結構な距離があった。


何度か小休止の時間を取り、生命魔術で疲労を回復しながら混成部隊と共に進んだ。



遅滞戦略の舞台、東ルートのストング王国の戦力を足止めする予定の地で、どちらの兵もほとんど数が変わっていないことが見て取れた。


ぱっとみて分かる落とし穴のようなものが随所に掘られている。


よく見ると草を結んだシンプルな罠もあちこちに仕掛けられているようだ。


他にもいろいろと仕掛け、足止めしていたんだろう。


バーレイ将軍の『小技』か。


兵をほとんど損耗させていないことといい、見事だな。


ならば、俺も俺の仕事を熟すだけだ。




混成部隊の連中の疲労回復を終わらせ、ストング王国軍の後背に回る。


新手に警戒したようだが、小勢なのでまた遅滞戦略のための嫌がらせだと認識されたようだ。



ストング王国の後背につくと、混成部隊にはこれまでよりも俺と距離を取るように伝え、八の字の陣形の幅も倍にするように伝えた。


「うおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおお!」


定番の蛮声を上げ、精神魔術と生命魔術も行使する。


そして、100m5秒のペースで走り、20mの剣を進行方向に生み出す。


そして接敵し、剣を振るう。


半径20mの半円の範囲で、血肉が舞う。


長さを2倍にしたから、面積は2乗の4倍、北東ルートと北北東ルートの4倍のペースでストング王国兵の命を奪っていく。



ストング王国軍を左右に真っ二つに割った後、ストング王国軍の左側面、前後の中央に向けて斜めに切り裂き、そこから右後方に向けて斜めに切り裂いた。


そしてまたストング王国軍の後背に移動する。


アクチュア王国軍も前面から攻勢に出た。


混成部隊とストング王国軍を挟む形だ。


ここで、ストング王国軍を死兵にはさせない。


「この場で、お前たちは死ねええええええええええええええええええええええ」


また蛮声を上げ、精神魔術で恐怖を煽り、生命魔術で体を疲労させる。


この戦場では殲滅撃破することになってるんでな。


一人も逃さん。



混成部隊は横陣に変更し、後ろに漏れた敵兵の処理を頼む。


俺は敵軍の幅に左右ジグザグに動いて、後背から敵をすり潰していく。


助かる希望のない戦場に絶望の表情で立ち尽くす敵兵もいるが、同情はしない。


お前たちは今、俺の敵だからな。




日が暮れかけている時間になって、敵兵の掃討が終わった。



北北東ルートに当たったアクチュア王国軍は、こちらの戦場には間に合わなかったな。


まあ、混成部隊の進軍と、決着までの予定時間から、間に合わないだろうとは思っていた。


だからといって「お前たちは来なくていい」とは、あの場で言えないからな。



バーレイ将軍と、将軍直属の士官たちが騎馬でこちらに向かってくる。


かなり疲れているようだが、表情は明るい。



「よく、来てくれたな。


ここまで早く、そしてここまでやってのけるとは、儂も想定していなかったわい」


「バーレイ将軍も同じ事を考えていたでしょうが、私から提案した作戦ですからね」


「いや、同じ方向で考えていたかもしれんが、戦力認識は大きく違ったな。


儂は後2日ほどは耐えて、援軍を加えて敵軍より多勢になった所で押し包むつもりじゃった」


バーレイ将軍は頭を横に振りながら告げた。


「バーレイ将軍の予想を越えられたのなら、光栄です」


「何を言うか。はっはっは!


それにしてもアルトの声はよく響いたな。

敵軍がそれで震えておったが、こちらの兵まで少し震えておったぞ。


まあ、それでこちらの兵も士気も上がっていたようじゃがな」


バーレイ将軍の機嫌は上々のようだ。


天幕では若干疑いの目で俺を見ていたバーレイ将軍の直属士官たちも、今俺や混成部隊を見る目は尊敬の念を感じられる。



まあ、畏れ入ったのは俺の方もだがな。


俺が到着するまで、ここまで見事な遅滞戦略を実行に移せているとは考えていなかった。


兵を損耗させずに耐えていたのも見事だった。


兵の犠牲を見込んでの遅滞戦略だと思っていたんだが、最初からここまでできる自信があってのバーレイ将軍の差配だったんだな。



俺が感じたことをバーレイ将軍に伝えると、ニヤリと笑って「年の功じゃよ」と言ってのけた。


なかなか格好いい爺さんだ。




今回の戦争も勝利を収めることができた。


どのルートでも損耗は少なかったので、続く占領政策の人員も事足りているだろう。



混成部隊は全部で13人が戦死した。

戦傷者は俺が治したが、戦闘中に即死した者は助けられなかった。


戦果の割には少ない犠牲だと、俺も思ってはいるが、今回は俺が率いた結果だからな。

今回の戦死者には、家族に報奨を分けるなど、十分に報いるつもりだ。



独立戦闘部隊では、俺についてこれる、一定以上の基準を満たした者しか戦場に出さないつもりでいる。


それだけの訓練も課す。

地獄のようだと言われようともな。




まともな将軍の下でのまともな作戦での戦争は、今回が初めてだったが、ここまで違うのかと思ったな。


今回も無能な将軍だったら、俺が戦術的な勝利を収めても、全体では負けていただろう。

ポールラント平原に築いたアクチュア王国の拠点も占領されていたかもしれない。


いろいろと、勉強になった。

今後に、今回の経験を活かしていこう。


この作品を読んでいただきありがとうございます!


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