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大力(嘘)で身を立てる  作者: ろん
第二部 王都進出

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3度目の戦争① バーレイ将軍

オレグとイリナが王都に来てから、それほど時間を空けずに、俺の次の戦争参加が決まった。


普段は国内物流の責任者をやっているマクシや、国際行商で吟遊詩人をやっているリュクまで、混成部隊として参加するようだ。


何だか俺の参加がイベント扱いされている気がするな。


今年国軍に入った、『御前武試』でやり合ったギフト持ちのマルセル、ボリス、サブリナもどこかの部隊で参加しているだろうか。



俺は前回の戦争と同様に、軍の集合地点に直接向かい、混成部隊に混ざっていた。

マクシやリュクだけでなく、いつものケニーとリビオもいるな。


混成部隊の連中は俺が顔を出すと士気が上がるようだ。

まあ、中には「飯を作れ!」と言ってくるヤツもいるが、随分と馴染んだもんだよな。



そして、偉そうな士官に「将軍がお呼びだ!」と呼び出された。

いつものパターンだな。


その士官に続いて将軍のいる天幕に向かう。


「独立遊軍のアルトを連行しました!」


天幕の前で士官が大声で告げる。

連行・・・他にも言い方があるだろうに。


「アルトのみ入ってこい」


天幕の中から声が上がる。


士官は憮然とした表情だったが、気にせず天幕の中に入る。



天幕の中には資料が積み上がっていた。


テーブルの向こうの年配の将軍が資料を読みながら声をかけてきた。


「独立遊軍、大力ギフトのアルトだな。


急に呼び寄せてすまなかった」


ん?


「儂は今回の軍を預かっておる、モルガン・バーレイだ」


んん?


まともな対応をされて驚いた。

国軍の上層では初めてだからな。


そして、『モルガン・バーレイ』の名前にも驚いた。


俺が驚いていることに気付いて、バーレイ将軍が苦笑している。


「どうやら、軍の士官からまともな対応を初めてされたような顔をしておるな」


なかなか察しがいい。


「失礼しました。その通りで、驚いています。

それと、あなたが名乗られた名前にも。


ギフト保有者養成学校の図書室で戦争の記録を見て、まともな戦略を書き記していた数少ない方だったので」


バーレイ将軍がニヤリと笑った。


「ほう。過去の戦争の資料を読んだか。

数少ないと言うが、まともな資料を残しておるのは、儂とステファン・ケルグレくらいじゃったろう?」


「仰る通りです」


本当にその2人以外にまともな記録を残している者がいなかったんだよな。

おかげでその2人の名前を憶えていたんだが。


・・・そうか。

俺は初めてまともな将軍の下で戦争に参加できるのか。


そういえば、入って違和感があったのは、テーブルに資料が置かれていたところだったな。


真面目に状況を分析する将軍に違和感・・・アクチュア王国軍ではレアだもんな。



「儂のことを知っておるなら話が早い。


アルトが参戦した戦争は2つ。


最初の戦争では一人で敵軍の本陣目指して突撃し、正面の兵士を全て撃破して将軍を討ち、将軍の死体を持ち帰った。


2番目の戦争では蛮声で敵軍を威圧し、自身が先頭になり、後背の兵を先導して敵軍へ突撃し、本陣ごと薙ぎ払って勝負を決めた。


このことに間違いはないか?」


「はい。間違いありません」


よく調べて把握しているな。


「アルトは一人で1つの軍のような戦功を挙げることができる。


しかし、一人でしかないゆえに点または線での攻撃しかできない。


2番目の戦争では後背の兵も戦闘に参加させることで面の攻撃とした。


そういう認識でいいだろうか?」


「はい」


よく理解しているな、俺の戦場での価値を。


「おそらく、今回の戦争でも、アルト一人で戦功を挙げることができるのだろう。


だが、アルトにこの戦争の目的や戦略目標を共有し、儂らがアルトに合わせて動くことで、より大きな戦果を上げられる、そのように考えておる。


アルトが独立遊軍として、儂の指揮下に入ることを拒否できる権利を有していることは理解しておる。


その上で、アルトと協力してこの戦争に臨みたいと考えておる。


どうだろうか?」



バーレイ将軍の立場や戦歴からすると、かなり謙った物言いだな。


バーレイ将軍の指揮官としての才覚は、戦争の記録を読み漁って、俺はよく知っている。


「はい。私も賛成です」


だから、協力して戦争に挑むのは悪くないと俺は判断した。


この作品を読んでいただきありがとうございます!


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