オレグ、イリナとの再会② 2人の講義スケジュールへの提案
「さて、今日はこれから2人の学校の講義スケジュールなどを決めていく・・・予定だったのだが、アルトがこの場への立ち会いを望んで、提案したいことがあると聞いている」
「はい。この2人は魔法士であり、魔法に関する講義を軸にしてスケジュールが決めることが基本になると思っています。
そして、私はそれに反対したい」
事務長は驚きながら、先を促してくる。
「事務長を信頼して正直に申し上げますが・・・
私が王都に来てから、何度か政府に所属する魔法士が魔法を使用する所を見ています。
魔法は凄いものだとは思っていますが、学校を卒業し、政府に所属して何十年とギフトを使っている割には、技量が拙いのではないかと思いました。
特に土魔法はここにいるオレグ・ソーディスも使いますが、王都の土魔法士の技量は、1年前のオレグ・ソーディスの技量よりも下だと感じました」
事務長が絶句しているが、俺はそのまま続ける。
「『御前武試』では私より1つ歳上の生命魔法ギフトと槍士ギフトを持つソフィアとの試合がありました。
魔法士としての講義を中心に受けていたと思われますが、槍の技術がほとんど鍛えられておらず、また魔法士としても技量が拙いと感じました」
「失礼になるかもしれませんが、この2人は、魔法士としては学校で学ぶことはほとんどないと思います。
オレグ・ソーディスとイリナには、武術の講義を軸としてスケジュールを決めてもらいたいと考えています」
事務長は俺の話したことに驚いた後、気を取り直して考えているようだ。
少し時間が経ってから、口を開いた。
「魔法士としての講義について、アルトの考えていることは分かった。
しかし、なぜ武術の講義なのだ?」
「魔法士は接近されたら弱い。
この2人には身体術も学ばせています。
1年前でも魔法なしで魔獣を倒せるくらいの技量は身に付けていました」
事務長はまた驚いて動きが止まった。
「辺境出身、それも南東辺境開拓地域出身だとここまで違うのか・・・」
頭を抱えて呟いていることが聞こえてしまった。
「アルトには学生の時に何度も驚かされ、学校を卒業した後も何度も驚かされてきたがね。
アルト以外にもここまで驚かされるとは想定していなかったよ」
気を取り直した事務長がため息を付きながら独白する。
「さて、魔法士としての講義だが、魔法士系ギフトの保有者は必須の講義となっている。
なので、受講させないわけにはいかない。
ただ、今聞いた実力が確かなら、必須科目の試験による免除のように、講義を免除または短縮できる可能性はある。
まずは受講してみて、それから考えてもらうということになるが、それでいいかね?」
うん。
魔法士系の講義を全く受けない訳にはいかないだろう。
そちらの講義を軸にすることを避けられれば、問題ない。
俺は事務長に向かって頷いた。
オレグとイリナに俺の考えを伝える前にここで話したので、2人を置き去りにしてしまった。
改めて2人に俺の考えはどうかと確認すると、武術系の講義を軸として構わないと答えた。
ただ、2人とも生産系の講義も受けてみたいらしい。
それは俺もいいことだと思うので賛成した。
「それでは、話す順序が変わってしまったが、講義の受講スケジュールを決めていこうか。
まず必須科目となっている講義について・・・」
事務長が説明を始めていく。
もう俺の用事は終わったので退席してもよかったが、そうすると2人に怒られそうな気もしたので、そのまま残る。
まあ、実際にそれぞれの講義を受けた経験から、アドバイスもできるしな。
オレグとイリナの王都での生活が始まるのか。
レフ兄さんとケイトさんにはまだ会っていないだろうな。
ケイトさんの存在には2人も驚くだろう。
イリナには王都で知った両親の話もしてやりたいな。
2人を下町に連れて行っても楽しんでもらえるだろう。
王都で過ごす家族が増えて、俺も少し浮かれているようだ。
講義スケジュールについて話している3人を見ながら、俺は自分の気持ちを確かめていた。
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