設立予定の独立戦闘部隊への勧誘
国王への謁見の後も、第13大隊第5中隊に今まで通り顔を出している。
国王の宣言、
「戦場において国軍の指揮命令系統から独立した」
を、
「戦場において(のみ)国軍の指揮命令系統から独立した」
と解釈したような動きに見えるだろう。
国王による解釈、俺の解釈、そして周りの解釈が不一致で、確定させていないことが、ここでは重要になる。
確定されていなければ、再解釈も可能だからだ。
当面、俺に都合よく使っていこうと考えている。
国王との謁見の場に立ってみて、いろいろ理解できたことがある。
王家と貴族家では、貴族家に力の天秤が大きく傾いていること。
戦力、政治力のような何かを実行する力は圧倒的に貴族家の集合の方が王家より上だ。
そして、国王の権威は今なお有効で強いものだということ。
あれだけ力の差があるのに、国王の言葉は一度も否定されることがなかった。
権威としては貴族家も認めている、というより当然の前提として考えられているように感じた。
貴族家の権威も国王の権威に連なるものであり、国王を否定すると貴族家の権威も否定することに繋がる・・・とかの論理だろうか。
あの場に国王以外の王家の人間はいなかったか、いても存在感が全くなかったのか。
いるのかいないのかも俺には分からなかった。
王家に権威があるのではなく、国王というポジションに権威がある、ということかな。
あの場に立ってみないと分からないことだったかもしれない。
いい経験になったな。
この第13大隊の第5中隊と、あと混成部隊に参加していた国軍所属の人間にも、俺がいずれ独立戦闘部隊を創立することは教えてある。
教えたほとんどの人間が参加したいと希望してくるが、入隊条件として、一定の基準を満たす強さと、隊独自の規律を守れることが必要だとも伝えている。
まだはっきりとは固めていないが、隊の権威の利用禁止、戦地での略奪・暴行等の禁止、贈賄の受け取り禁止などは規律として定める予定だ。
条件を聞くと、結構な割合で参加希望を引っ込める者がいる。
軍に所属していて当然得られる利益、軍の看板の利用、略奪や贈賄等が受けられないのはイヤなのだと。
まあ、入隊してから規律を犯されるよりはマシだな。
『厳密に』対処するつもりだからな。
強さの条件は2段階設定しようと考えている。
入隊させるが戦場には出せないレベルの条件と、戦場に出せるレベルの条件だ。
後者の基準に満たないものは部隊で鍛えて条件を満たせるようにしていく。
俺の部隊に入隊したなら、少しは厳しめに鍛えることができそうだからな。
戦場の方が楽だと言うくらいには鍛え込むことになるだろう。
どちらの条件も許容して入隊したいと現時点で言ってくるものも、少数だがいる。
混成部隊で一緒に戦った、リビオとかな。
第13大隊の他の中隊や、他の大隊の平民士官や兵士などとも交流して、有望な人間には声をかけておきたいところだな。
国軍以外でも当然いろいろ当たっている。
混成部隊で一緒に戦った傭兵たちとかな。
まあ、規律の方の条件でほとんどが嫌な顔をしてくるが。
マクシやケニー、あと行軍中に食事の手伝いをしていた3人なんかはかなり意欲を見せていた。
有望な人間が少しでもいるなら、それが収穫だな。
国際行商や国内物流に参加している者にも話をしている。
今のところは反応はイマイチだが、国際行商や国内物流の仕事が充実しているからという理由もあるようだ。
国際行商の第1回と第2回商隊で責任者になってもらった、棍術ギフト持ちのダミエンは、ほぼ強制参加だけどな。
独立戦闘部隊の副官役として目をつけていた。
まあ、身体術の訓練や実践などもあるから、それほど嫌がらないとは思うけど。
国際行商の人材募集で声をかけていた商人・商会の責任者・グローフィル子爵などにも軽く話はしている。
国際行商にはあまり惹かれなかったが独立戦闘部隊なら・・・なんて人間がいるかは分からないが、一応な。
今のところは話半分で聞かれていたから、そこからの紹介がある可能性は薄いだろう。
俺がこれから戦場で成果を上げ、名を挙げていくと、状況が変わるかもしれないな。
ギフト保有者養成学校で知り合った者には当然声をかけている。
軍事系ギフト持ちはそのまま国軍に所属することになるが、国軍での平民士官の扱われ方を知ると、独立戦闘部隊が魅力的に思えるかもしれない。
『御前武試』の1回戦から3回戦でやり合った、斧士ギフト持ちのマルセル、体術ギフト持ちのボリス、剛力ギフト持ちのサブリナなんかは結構興味を持ってくれたしな。
独立戦闘部隊では国軍の仕事以外の副業もしっかり取り組み、部隊独自の資金源を作るつもりだ。
今俺がやっている商人・商会の護衛、盗賊討伐、魔獣討伐なんかも部隊で受けていく。
国内物流の運営も部隊でこなすことを考えている。
エルン村長もエルン隊で似たようなことをやっていたみたいだが、俺はもっと規模を大きくしてやっていくつもりだ。
そうこうしている内に、もうすぐ年が明けるな。
年が明けて少ししたら、オレグとイリナが王都にくるだろう。
また、いろいろ動きがありそうだな。
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