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大力(嘘)で身を立てる  作者: ろん
第二部 王都進出

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初めての戦争③ 戦勝報告

敵将の死骸を左肩に俵担ぎして、第5中隊の所に戻った。

生成した10mの剣は土に返している。


目の前で見た現実が呑み込めていないのか、俺が近づいても誰も声をかけてこない。



「この戦争は、俺たちの勝ちだ」


俺が告げると、中隊のみなが理解していく様子がグラデーションのように広がった。


そして、それぞれ歓声を上げる。


「すごいとは聞いていたがここまでとは!」


「一人で戦争を決めてしまった・・・」


「すげえ!すげえよ!」



歓声を上げているが、俺の方には近寄ってこないな。

ビビっているのか?


身体術で服の外側に膜を張って、血で汚れないようにしていたから、血まみれとかにはなっていないんだがな。


まあ、少し時間が経てば落ち着くだろう。



「とりあえず、あの酒を飲むしか能がない将軍に、戦争に決着がついたことを教えてやらないとな」


俺がニヤリとしながら言うと、平民士官たちは意地の悪い顔をしながら同意した。


幸いというか、今回の敵の将軍は有名人みたいだからな。


こいつ自身が証拠になるだろう。




国軍の第6~15大隊は、俺たちが威力偵察に出た後も移動している。

その移動ペースを考慮して、第15大隊のいる位置に戻るように第5中隊を連れて移動した。


この丘に来たルートとは違うルートを歩くことになるが、もう第5中隊で俺を疑うものはいないだろう。



他の大隊にかちあったら説明が面倒だと思ったので、側面から直接第15大隊に接触できるルートで移動し、第15大隊が野営の準備をしているところに合流できた。



側面から集団が近づいたことで警戒されたが、制服やマントの色で第13大隊の者たちだと理解できたのだろう。


威力偵察から戻ったので将軍に報告に参った、と告げると、第15大隊の士官が案内してくれた。


第5中隊の隊員を待たせて、俺一人で士官についていく。


この士官は将軍が威力偵察を命令したことを知っていたらしい。

無謀なことをさせる、と俺達に同情していたそうだ。


随分とまともな士官だな。

将軍たちが第15大隊にくっついて毎日宴会をしているから、苦労していそうだ。


俺が肩に担いでいる死骸が気になっていたようなので、「威力偵察に行ってきた証拠ですよ」と言うと、「こいつも苦労しているな」という表情で納得したようだ。



賑やかな声が漏れている天幕の前で、「ここだ」と士官が告げた。


俺は士官に礼を言って、挨拶なしで天幕に入る。



「第13大隊第5中隊、威力偵察の任務より戻って参りました!」


大声で告げると、俺が入った時点で注目していた将軍やその取り巻きが完全に黙った。


将軍が気を取り直して、「行ったふりをして逃げてきたのか? その肩に抱えている死体は証拠のつもりか?」と俺に嘲る口調で問うてきた。


俺は肩に担いでいた死体を仰向けに下ろし、


「トロイト王国の将軍にして今回の軍の司令官だった、アルノー・サランジュを仕留め、敵軍は逃走しました。


この戦争は我軍の勝利です」


と告げた。



「何を馬鹿なことを」

「気でも狂ったか」


などと将軍と取り巻きは口々に俺を罵っていたが、


「この顔、この紋章・・・本物のアルノー・サランジュではないか?」


と1人が言い出すと、戸惑い始めた。



「明日、会敵予定だった、トロイト王国軍が陣を敷いていた丘へ案内します」


俺は一方的に告げて、天幕を出た。


俺に呼びかけるような声もあったが無視した。




第5中隊と合流し、その場で野営した、その翌朝、再度将軍の天幕に向かった。



天幕の外で名乗り、「入れ」の声で天幕に入る。


敵国将軍の死骸は片付けられたようだ。


珍しく酒の入っていない将軍やその取り巻きが、悩ましげな顔で俺を見ている。


「何があったのか、詳しく話せ」


将軍が言ってくる。


「昨日伝えた通り、アルノー・サランジュを仕留め、そのことを敵軍に知らしめると逃走していきました」


「どうやって仕留めたのだ!」


「昔、エルン・ソーディスがやったように正面から斬り込んで、ですよ。


敵の陣があった丘を見ていただければ、その跡が残っているので信じていただけるでしょう。


そうでなくとも、あの丘はこの地域の要地。

押さえておくべき場所でしょうね」


軽く威圧しながら話すと、誰も反論できないようだ。


「まず、威力偵察の任務を受けた第13大隊第5中隊と、この第15中隊で丘を視察に参りませんか?


もう敵はいないはずですが、もしいれば我らの中隊が殿になり、第15大隊を逃がしますよ」


将軍たちには何も案がないようなので、俺から提案すると、「そうしよう」とあっさりと乗ってきた。


何というか、本当に何も考えていない奴らだな。

俺の話が嘘なら、大軍が待ち構えていてもおかしくない場所なんだが。


それだけ、アルノー・サランジェの死体に説得力があったんだろうか。


この作品を読んでいただきありがとうございます!


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