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大力(嘘)で身を立てる  作者: ろん
第二部 王都進出

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初めての戦争② 威力偵察、勝利

第13大隊第5中隊に戻り、中隊長に威力偵察を命じられたことを伝えた。


「貴様が余計なことをするから!」


中隊長がブチ切れた。


「ええ。そうですね。

では、参りましょう」


煽るように言うと、「貴様ぁ!」と掴みかかってきた。

俺は中隊長の首を絞めて気絶させた。


周りの貴族出身の士官に、


「中隊長はご気分が悪いようだ。

どなたかに介抱していただかないと」


と告げると、全員が立候補した。


今回に限り俺が中隊を率いると伝えると、「どうぞどうぞ」と言いたげな表情で譲ってきた。

こいつらも、本当に分かりやすい奴らだな。



俺は第5中隊の平民士官と兵士全員を集め、威力偵察について説明した。

そして、俺がみなの安全を保証すると約束した。


中には不安そうな顔をする者もいたが、ギフト持ちであること、混成部隊での活躍の話を聞いていること、訓練を共にしたこと、などの理由から、納得はしてくれたようだ。




第5中隊は第13大隊から離れ、第6大隊まで続く長く伸びた軍全体からも離れ、北東方向に進んだ。



俺が学校を卒業し、国軍に入ってからも、国際行商の商隊派遣は続けていた。

そこで掴んだ情報から、戦争の時期、規模、場所、指揮官などの予測もできていた。


アクチュア王国が兵を集めて攻める情報など、トロイト王国はかなり前に掴んでいる。


トロイト王国側で次の戦争の指揮官になる者はそれなりに有名で、まず戦うに当たり有利な地を選び、万全な陣を敷いて待ち構える戦術を取ることが分かっていた。


アクチュア王国の予想侵攻ルート、ほぼその通りに進むはずなので確定侵攻ルートと言ってもいい、それをトロイト王国が掴んでいれば、国境沿いの小高い丘になっているところに陣を敷くことが予想された。


戦闘で高所にあるということは、通常それだけで位置エネルギーを味方につけることができ、優位に戦えるからだ。


攻めるアクチュア王国側も、そこに構えられると避けて進軍することはできない。

側面または後背を握られることになるからだ。



その、トロイト王国軍が陣を敷いていると想定される丘に向けて、第5中隊は進んでいる。


中隊の者には、なぜその方向に進むのかを説明するのが難しかったので、

「もしこの先に何もなかったら、中隊全員に高級娼館で朝まで遊ぶ金を出してやる」

と伝えると、誰も文句を言わなくなった。


むしろ何もないことを願っている者が大半になっただろう。



目指す丘が見えてきた。


そして、そこに1万を超える兵士が、陣を構えて万全な体制を敷いていることも見えてきた。



「あれに向かって俺たちだけで威力偵察するのか?」


「全軍で当たっても勝てないんじゃないか?」


中隊の者がざわめき出した。

敵軍の威容を見て震えだした者もいるようだ。




「全員、ここで待っていろ」


俺が声をかけると声が静まる。


「俺だけで落とす」


そう告げて、俺は敵軍に向けて走り出した。




鎧もつけず、鼠色の制服とマントを身に着けた俺が1人で走るのは目立つだろう。


敵軍が近くなると、俺の方に指さして笑っている者も見えた。


俺は100mを10秒くらいのペースで走っている。


敵軍の先頭まで200mほどのところで、土魔術により10mの剣を進行方向に向けて生成する。


1秒後、10mの剣の柄の部分を右手で掴み、剣を寝かせたまま持っていく。



そして少しスピードを上げ、敵軍の先頭まで5mのところで右から左へ剣を振るった。


俺から半径10mの範囲にいた兵が飛び散った。


また走るスピードを100mを10秒くらいのペースに戻し、10秒に1度のペースで剣を振るう。


半径10mの半円を何度も描き、重ねながら、俺は進んでいく。


俺の進路にいる兵士は全て弾けていった。


第5中隊が止まった場所からも見えた、丘の上の方にあった本陣の天幕が見えてきた。


その天幕から将軍らしき者が出てくるのが見えた。


その将軍の手前まで、本陣の兵も含めて吹き飛ばした後、俺は将軍の前に立った。


将軍が何かを言おうとする前に、原型を残すために手刀で将軍の首を叩き折った。


将軍の死体を上に掲げ、大声で俺は宣言した。


「大力のアルトが、敵将を討ち取ったぞーーーーー!!」


同時に精神魔術で敵軍兵士の恐怖の感情を増幅する。


「さあ、俺は元の道を戻るが、邪魔をすれば殺す。


逃げるなら、見逃してやるぞ」


風魔術でトロイト王国軍全体に伝わるように囁いてやると、一瞬の静寂の後、大人数の喉から絞り出すような悲鳴と共に、トロイト王国軍の兵士たちが逃げ始めた。

俺の作った血肉の河を避け、丘の向こう側に向けて。



俺はゆっくりと元の道を戻っていった。


この作品を読んでいただきありがとうございます!


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