国軍入隊① 入隊手続
ギフト保有者養成学校を出てから、俺は予め借りていた部屋に移った。
内壁の外だが、南側の中央大通り沿いの好立地で、ほぼ学生寮の部屋と同じ間取りだが、賃料はかなり高い。
学生寮と同じく、寝る場所があればそれでいいし、どこに行くにも便利な場所がよかったからここにした。
学校の事務局で、手続きを依頼してから3日後、手続きが完了し、国軍に所属したことを知らせる書類が届いた。
2日後に内壁の内部の国軍の事務局に行って、騎士の地位に就いたことを証明する証などを受け取り、所属部隊の通知を受けることになるようだ。
今の場所に引っ越してから、下町に行って交流したり、国内物流の仕事から戻ってきた連中の報告を受けたり、棍術ギフト持ちのダミエンの身体術訓練を手伝ったり、いろいろやることがあった。
国軍で働き始めてから、どのように動くかはある程度決めてあるし、その前提で動いてもいる。
学生とは違った動きにはなるだろう。
有仁の世界の学生が社会人になる時は、今の俺のように変化を感じるのかなと思った。
有仁自身は学生時代に起業して、あまりその変化を感じたことがなかったから、そちらの実感としてはよく分からず、想像だけど。
朝から内壁内の国軍の事務局へ向かう。
学生のバッジを返却したので、国軍の書類などを提示して内壁を通してもらう必要がある。
内壁の門を通る列に並ぶのは初めてだな。
王都に入る外壁の門に並んでいる者とは違って、それなりの立場がある者ばかりだからか、幾分お行儀がいいように見えるな。
手続きもスムーズに済ませているようで、列の消化も早い。
俺の順番が来て、国軍の書類を提出すると、すぐに確認を終えて返却され、門を通り過ぎた。
学校を卒業してまだそれほど経っていないから、あまり感慨はないな。
国軍の事務局の建物は、かなり立派だな。
古びた印象を受けないが、結構な頻度でメンテナンスしているんだろうか。
軍事閥の貴族家が多く関わっているし、それらの面子も関わっているから、金をかけているのかもしれないな。
事務局の建物の入口を通ると、しっかりした造りのカウンターがあり、受付担当が3人いる。
カウンターの奥では多くの事務員が動いている。
俺もそうだが、いろんな申請と手続きが動いているんだろうな。
受付で、国軍の書類を渡してしばらく待つと、勲章らしきものをいくつもつけた士官が俺を迎えに来た。
人事を担当している士官だろうな。
おそらく貴族家の者だろう。
見るからに自意識が高そうだ。
士官についていくと、数人程度で使うサイズの会議室に入ったので、俺も入る。
先に奥の席に座った士官から「座れ」と言われたので入口側の席に座る。
「軍事系ギフト持ちで、ギフト保有者養成学校を卒業しているアルトだな。
年齢は・・・12歳?
そうか」
士官は挨拶も自己紹介もなしに、持参した書類を見ながら読み上げている。
やはり年齢にはひっかかるんだな。
「法の定めにより、ギフト保有者養成学校を卒業した軍事系ギフト持ちには騎士の地位が与えられる。
今後はこのバッジを身につけることだ。
無くすなよ」
バッジをテーブルの上で滑らせてきた。
俺はそれを手に取り、着ている服の襟の所につける。
「貴様の所属は第13大隊となる。
今からそちらに向かえ」
紙1枚をテーブルの上で滑らせてきた。
第13大隊の駐屯地への簡易な地図のようだ。
王都の南東の外壁近くの位置にあるようだ。
以前の哨戒任務で集合した施設とも近いな。
「さあ行け!」と士官に怒鳴られ、会議室を退室した。
取り付く島もない、といったところだが、嫌味なども言われなかったので、人事担当の士官は国軍の士官にしては上等な方だったんだろうか。
哨戒任務の時に見た現場の士官よりは随分マシに見えた。
これから行く第13大隊の士官は、どうだろうな。
国軍の事務局の建物を出て、内壁の門に行くと、門番は騎士のバッジを見てすぐに通してくれた。
学校の生徒のバッジだと名前の確認があったが、騎士のバッジの方が権威があるんだろうな。
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