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大力(嘘)で身を立てる  作者: ろん
第二部 王都進出

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学校卒業、別れの挨拶

俺は、ギフト保有者養成学校の事務長のアポを取り、会議室で会っていた。



「それでは、アルトは学校を卒業して、国軍に入るということだね?」


「はい。そのように考えています」


「そうか・・・君は入学して半年を過ぎたくらいで卒業、レフ・ソーディスは15歳になって卒業。

南東辺境開拓地域から来た者は、極端だな」


事務長が呆れたように言う。


「アルトが学校に来てから、学校の雰囲気が変わったんだよ。


入学したばかりの若者?が『御前武試』で優勝して、その優勝者が武術の講義に出ていることで出席率が上がったし、出席した者の熱意もあり、成長が感じられるようになった。


生産系の講義でもアルトが参加することで刺激を受けて、今まで以上に研鑽する生徒が増えた。


正直な思いを述べるなら、惜しいと思う。


・・・だが、もう決まったことなんだね」


「・・・はい」


事務長が評価してくれるのは嬉しいし、学校の講義は楽しかった。


だが、『御前武試』からいろんなことが動き始めている。


俺も場所を変えて動き始めなくてはならない。




事務長に、国軍に入るための手続きと、学校卒業・退校の手続きを頼んだ。


事務長の予想では、国軍では、『御前武試』の実績があっても、最初は下層の兵士からのスタートになると考えられるらしい。


学校卒業で軍事系ギフト保有者の俺は騎士の地位に就く。


それでも、平民出身のギフト持ちは、貴族家出身の士官に嫌われている。

辺境出身なら憎まれるレベルになるそうだ。


そして、『御前武試』での実績は、マイナスに働くそうだ。

大貴族であるローゼルスタッド侯爵家に恥をかかせ、裁判でも陥れた俺は、他の貴族家にとっても脅威であり、自分たちより高い地位になる可能性を避ける方向に動くだろうとのことだ。


分かってはいたが、上層部が腐っていると、組織全体にそれが及んでいくな。

哨戒任務で見た、国軍の士官が無能揃いだったのもその影響だろう。



俺は事務長に手続きの労と情報提供の礼を丁寧に伝え、事務局を出た。



武術系の講義で世話になった講師や生徒のところも回った。


講師たちには「指導役」が一人減ったと嘆かれた。

あと、俺の相手は緊張感があって楽しんでいたという講師も多かった。


『御前武試』の2回戦でやりあった体術ギフト持ちのボリスとは、講義でよく組手をしていたので、その相手がいなくなることに文句を言われた。


ボリスはまだ13歳だから、まだ1年以上考える余裕があるよな。


ボリスが国軍に入ったら、また共に訓練しようと約束した。

・・・ボリスが早めに卒業したら、それは俺のせいかもしれないな。



生産系の講義の講師や生徒にも会いに行った。


俺がいると議論が活発化するので、講師たちは残念がっていた。

生徒たちも同様だ。


学校には来れないが、レフ兄さんとケイトさんと共に開催している民間の生産系ギフト持ちたちとの交流会は続けていくつもりだ。


生徒たちには、そちらに参加すれば、既に働いている者の話が聞けたり、様々なギフト持ちに会って交流できると勧めた。


講師の方が交流会に興味を持っていたようだった。

講師は役所勤めの者が多いから、役所以外の者と交流できるのは魅力的らしい。


役所では縦の繋がりは強くても横の繋がりは弱い、いわゆるセクショナリズムのようなものがあるから、様々な分野のギフト持ちと話すだけでもいろいろ得るものが多いかもしれないな。


講師たちはレフ兄さんとケイトさんにも繋いでおこうか。



食堂のナセル料理長にも挨拶に行った。


国軍の哨戒任務では、ナセル料理長に教えてもらった野外料理が大活躍した。


そのことをナセル料理長に伝えたら、ナセル料理長からも感謝されたな。


何でも、ナセル料理長の友人の息子が混成部隊に参加していたらしい。


まだ数回目の参加だったらしいが、本格的な会敵は初めてで、それも自分たちよりも大人数の敵で、かなり緊張していたとか。


俺が混成部隊を勝利に導いたことや、道中の食事についても、その兵は父親に熱く語っていたそうだ。


それがその父親経由でナセル料理長に伝わった、ということだ。


傭兵で混成部隊に参加していた3人が料理の手伝いをして覚えようとしていたことも、ナセル料理長は面白がっていたな。



ナセル料理長は、食堂に料理のノウハウを十分に残せたと思った時は、自分で店を開くことを考えていると、俺が学校を卒業すると告げた後に聞いた。


その店の常連になることを約束して、俺は食堂を去った。



学生寮が立ち並ぶ中で、6号棟の204号室、俺に割り当てられた部屋を片付け、清掃を終えた。


様々な資料、特に表に出せないような資料は、レフ兄さんの伝手で借りた部屋の方に置いてあるから、ここには学校で使うものと、日用品くらいしか置いていなかった。

それでも半年ばかり、ここでは世話になったな。


部屋の入口で、何となく部屋の方へ一礼して、扉を閉め、鍵をかけた。



1号棟の寮監室に行き、ニコラ寮監に部屋の鍵と、バッジを返却した。


短い間だったけど、その間にいろいろあったなとニコラ寮監はしみじみと俺に話していた。


直接話をする機会は少なかったが、寮監として他の生徒から俺の話をいろいろ聞いていたのだろう。


世話になった礼をして、俺は寮監室を去った。




今日挨拶した者にも何度も言われたが、学校にいたのは短い間だったけど、いろいろあったな。


有仁の記憶からしても学校に通うということが久しぶりだったし、何だかんだで楽しんでいた。


得ることも多かった。

ここで学んだスキルや知識もあるし、ここで構築できた人脈もある。


さあ、次は新しい場所、国軍で、いろいろと動いていこう。


この作品を読んでいただきありがとうございます!


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