国際行商の第2回商隊③ 商人の情報収集、変わり者貴族ガエル・ヘンリオン
今回も、商隊のメンバーから回収した報告書がある。
人数が多く、一人当たりの情報量も増えているので、ボリュームは第1回の数倍はある。
ただ、前回と違ってある程度方向性を決めてあるので、かなりまとめて把握しやすくなっている。
例外的な内容は別にまとめて管理すればいいだろう。
今回も、ロッド・ダルモン、人の懐に入るのが上手く現地の協力者を次々に確保する男、の報告書は秀逸だ。
広く深い情報が得られている。
だが、今回は商人の報告書がすごいな。
自分たちの直接の利益に繋げているという理由もあるだろうが、それ以上の情報を収集してくれている。
集まった情報を分析した結果が第2回商隊に繋がり、その後の国際行商にも繋がっていることを理解してくれているようだ。
驚いたのは、トロイト王国のある地域に関する情報だ。
人の動き、物の動き、徴税などの金の動き、現地の情報。
これらを組み合わせると、俺が混成部隊の一員となって参加した哨戒任務の原因、トロイト王国の動きが透けて見えた。
今は過去の情報を結果から逆算して、第2回商隊の報告から得られた情報と一致していることが分かっただけだが、情報の入手が早く、頻度が多ければ、事前にトロイト王国の動きを察知することもできていたんじゃないだろうか。
ここまでの情報を得るまでには、相当な回数の商隊の往復と現地協力者の確保が必要だと思っていたんだが、2回目でここまで情報を収集できるとはなあ。
俺は商隊のみんなの能力を随分と過小評価していたようだ。
まあ、過大評価して希望的観測で動くよりは、かなりましだとは思うけども。
国際行商は本当にいろんな遅れを取り戻してくれるなあ。
『御前武試』が想定よりもかなり早く開始され、ローゼルスタッド侯爵家への反撃を開始し、俺が国軍の任務に参加することになった。
やるべきいろんなことが前倒しになる中で、プラスの要素である国際行商による情報収集まで前倒しになっているのは、とても助かる。
娼館通いの成果、娼婦ランキング、こちらも第1回より更に充実した報告内容になっていた。
この方面に熱心なのは、腕っぷしに自信があると言って商隊に参加した連中がメインだが、そのなかでもガエル・ヘンリオンという男が群を抜いて熱心で報告書も分厚い。
娼婦ランキングもガエル・ヘンリオンが取りまとめて作成しているようだ。
器量、身体、テク、トーク、具合・・・などの評価項目を設けて、誰が評価したかの署名と、様々な情報を記入している備考の項目もある。
この備考の項目に、俺が欲しいと伝えていた、その娼婦が繋がっている有力者などを詳細に記載してくれている。
ガエル・ヘンリオンは地頭がいい、と言われる人間なんだろう。
使い所がアレなだけで。
ヘンリオン子爵家当主の次男だが、長男のスペアとしてではなく、放任して育てられたようだ。
そのヘンリオン子爵家の当主は、グローフィル子爵の同僚だ。
つまり、王都の使者として、地方で鑑定と戸籍登録を行う役目を担っている。
それは、ガエル・ヘンリオンには合っていないこと甚だしいな。
ヘンリオン家でも合っていないことを認識して、自由にさせているんだろう。
ガエル・ヘンリオンには使者はもちろん、役所勤めも合わなさそうだ。
何の仕事をやらせても器用にこなしそうだが、余計なこともしそうだしな。
俺としてはかなり使える人間だと思っている。
合う合わないは仕事の適性の問題だろう。
翌日の宴会兼報告会も、第1回に劣らずに盛り上がった。
人数が増え、第1回から参加している者と第2回から参加した者の違いもあり、第1回はこうだった、というネタを第2回からの参加者が羨ましがったり茶化したりして、盛り上がる要素に不足はなかったな。
第1回は自由にさせていたのに成果を多く上げてきたが、第2回は課題を与えていてその課題の想定を大きく上回る成果を上げてきた。
この2回で異なる優秀さを見せた商隊のメンバーがとても頼もしく思えたし、その辺りは正直に褒めて持ち上げてやった。
あと何回か商隊を派遣したら、かなりの部分で俺の手を離せるかも知れないな。
そこそこの利益と、適時に必要な情報をもらえ、必要な情報を拡散してもらえれば、俺としては十分だ。
俺自身の行動も優先順位も変わっていく。
その『時』はしっかりと見極めていこう。
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