哨戒任務⑤ 任務中の野営、兆候
夕方になり、開けた場所に出たので、そこで野営することになった。
士官ではなく、俺やマクシたちの指示でだけどな。
見通しの悪い山で夜間に哨戒するのは、メリットよりデメリットの方が大きいからな。
文句のありそうな士官たちには殺気の視線と精神魔術でひかせた。
士官たちは隅っこでお付きの兵士6人に当たり散らしながら過ごしている。
定番となってきた料理は、士官たち以外の全員分を用意することにした。
その代わり、全員が交代で見張り役を担うことを納得させている。
山は食材を仕入れるのに適しているし、塩はこっそり土魔術で追加した。
唐辛子のような香辛料になりそうなものも見つけたから、道中よりも旨く作れた。
すっかりこの部隊の糧食担当になった気分だな。
食材の調達までこなしているからそれ以上か。
俺が今回だけの参加だと知っている者の中で、料理を学ぼうとする者もいた。
まあ、大したことはしていないが、ただ魔術ありきの料理だからなあ。
その点は自分で工夫してくれと伝え、料理のやり方自体は教えることにした。
話を聞いていると、戦争だとさすがに携帯食料だけということはないが、長期戦になると真っ先に混成部隊の食事が削られて、携帯食料メインになるらしい。
自力で調達して自分たちで食事を作るというスキルは、今後間違いなく役に立つ、とのことだ。
なかなか目端が利く奴らだなあ。
この3人のことは憶えておこう。
2日目は朝から簡単な食事を用意してやり、交代で食べてから出発した。
士官3人とそのお付き6人だけ携帯食料だがな。
俺はその日は先頭に近い位置で進んだが、所々で人間が道から分け入ったような跡を見つけた。
同じ先頭に近い位置にいた者に指さしながら話しても「そうか?」と言われて終わる。
何のための哨戒任務なんだと思うが、混成部隊がそういった教育を受けているわけがないか。
国軍の正規軍もそういった教育を受けているか分からないな。
単純に、敵と遭遇するかしないか、で今回の作戦自体も考えられたのかもしれない。
夕方になり、開けた場所まで戻って野営することにした。
その時に俺が見つけた形跡などについて、マクシ・ケニー・リビオには共有しておく。
俺が辺境出身ということもあって、この3人は信用してくれた。
まあ、実際には大森林の魔獣の形跡はもっと分かりやすいけどな。
形跡の判断は、どちらかと言うと有仁の世界の知識だ。
このルートで敵と遭遇する可能性が高くなってきたこと、それを認識しておくだけでもマシだろう。
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