裁判の翌日
裁判が終わった日の翌日の昼、下町に行くと、ものすごい歓迎を受けてしまった。
生命魔術で治療した子どもや、貴族3人を処理した後に治療した大人からは礼を言われた。
あの貴族3人は『御前武試』で俺が大恥をかかせたから、その腹いせにここに来たと思う、と伝えたが「そんなことは関係ねえ」と言われてしまった。
下町の活気は元通りになっているし、俺が来てからはお祭りモードになってしまった。
ジュリアン・ローゼルスタッドに斬られた子どもも、特にトラウマなどは抱えていなさそうだ。
あいつの傷を焼くために、火魔術はここで見せてしまったし、魔術が少しくらい使えると見せても大丈夫かな。
水魔術と土魔術で大道芸っぽいことをして見せると、子供だけでなく、大人も大盛り上がりになった。
何だか少し、エルン村のノリに似ているかもしれないな。
昼間っから酒を飲み始めているおっさんもいる。
下町の子どもたちに小一時間ほど付き合って、別の用事を済ませるために下町を抜けた。
ちょっとした芸は、名残惜しいと思われるくらいで抜けるのがいいだろう。
グローフィル子爵の居館に訪れた。
予め行くことを伝えていたので、入口で呼び出すといつものサンチェスとゴバロが出迎えてくれた。
館に入るとグローフィル子爵自身がそこに待っていた。
裁判で助けてくれた礼を言うとともに、借りていた鑑定の宝玉が入った袋をグローフィル子爵に渡す。
併せて、裁判で協力してくれた礼と、商隊で活躍してくれたロッド・ダルモンを紹介してくれた礼として、金子を入れた袋も渡す。
グローフィル子爵は「これはすまぬな」と言いながらも、ニコニコして受け取る。
ふむ。
礼金を渡しただけでこの人がこんなにニコニコするものかな?
サンチェスとゴバロもニヤニヤしている。
「ああ、この前の裁判は、ワシにとっても痛快であったのでな。
アルトを迎えて王都へ帰る途中で襲われたこともあるが、元々軍事閥のローゼルスタッド侯爵家には悩まされておった。
それをあそこまで痛快にやり込めるとは!
そして、ヤツに加担していた使者のしたことを、ワシが貸した宝玉でひっくり返したというのも、何やら誇らしくなってな」
頷きながら、グローフィル子爵が語る。
「昨日からお館様、上機嫌だもんなあ」
サンチェスが言うと、ゴバロも頷いている。
相変わらず、この主従は仲がいいな。
次の国際行商の商隊のメンバー募集も、グローフィル子爵に紹介された者を優先的に受け入れる話などをして、グローフィル子爵邸を後にした。
グローフィル子爵とは、エルン村から王都に送ってもらっただけの縁といえば、それまでだが、その縁でいろんな面で助けてもらったな。
これからも、いい目を見てもらおうか。
この作品を読んでいただきありがとうございます!
もしよろしければ、ブックマークと評価の方もよろしくお願いします。




