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大力(嘘)で身を立てる  作者: ろん
第二部 王都進出

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アルトの裁判① 最初の判決

裁判所の施設に入ると、ギフトが切り離された感覚があった。


キャンセルのギフトが使われているのだろう。


初めて使われたが、こんな感覚なんだな。


自分でギフトを切り離した時とはまた違ったカンジだ。



裁判所の法廷に着いた。


正面に裁判官、左側にジュリアン・ローゼルスタッドが台の上に置かれて、後数人が立っていた。


右側には誰もいない。

そこに俺が向かう。


真ん中に証言台があり、後ろには傍聴席がある。


傍聴席はかなりの人数、貴族が多く来ていて、ローゼルスタッド侯爵家の当主も傍聴席にいる。

グローフィル子爵もいるな。



裁判官のところと、ジュリアン・ローゼルスタッドがいるところには10人ほどの兵士が配置されている。


被告人、つまり俺が暴れた時にはあの兵士たちが取り押さえることになっていんだろう。


右側の席に俺が到着すると、手縄を外された。



法廷の配置が日本の裁判所、海外の裁判所も似たようなものか、それに似ている気がするな。


有仁の世界では法廷に立ったことはなく、傍聴席で眺めたことがあったくらいだったが。



傍聴席はかなり騒がしい。

概ね、俺への批判で盛り上がっているようだ。

被害にあったと考えられているローゼルスタッド侯爵家へ阿っているところもありそうだが。



裁判官が木槌を台に叩きつけ、その音が響くと傍聴席も静かになった。


「これより、被告人アルトが被害者ジュリアン・ローゼルスタッドに再起不能な傷害を与えた事件の裁判を始める」


裁判官が宣言する。


まず被害者側の弁論となり、ジュリアン・ローゼルスタッドではなく傍にいた者の1人が証言台に立ち、経緯を主張した。


随分と好都合に削って補強された『経緯』だったが、その中でも取り巻き2人については触れられなかった。


準騎士の俺がギフトなしの貴族家の当主でない者を切り捨てても何の罪も主張できないからだろうし、それについて罪を主張すると、下町で庶民を殴り、子どもを斬ったことまで争いになるからだろうな。


検事も弁護士もいないから、当事者同士の主張だけで裁判官が判決を下すことになるのか。



次に俺が証言台に立ち、下町に俺が到着してからの経緯をあるがままに語った。


俺が取り巻きの2人を殺したところもだ。


後ろで怒っている気配がするが、取り巻きの親族だろうな。



裁判官が、俺の背中に傷がついていたことは、現場に立ち会った警備兵から聴取しているとの補足があった。


当事者だけではなくて、事前調査も行われているんだな。


俺の主張について補足してくれたということは、裁判官が一方的に大貴族側に阿るということはなさそうだ。



ジュリアン・ローゼルスタッド側から求刑の主張などもなかったから、事実関係だけ把握して、量刑も裁判官の判断ということかな。



少し時間が空いた後、裁判官が確認した事実についての宣言があった。


取り巻きに関することなどは捨象されて、「俺がジュリアン・ローゼルスタッドの手足を斬り落とした」ということだけが量刑の対象となるらしい。


ジュリアン・ローゼルスタッドの顎を砕いたのは、いずれ治るからか、『剣士』ギフトに決定的な影響を与えないから捨象されたのだろうか。



裁判官の宣言に対して、被害者側からも被告側、つまり俺からも争いがない、ということで、また少し時間が空いた後、裁判官が判決を下すことになった。



裁判官が木槌を台に叩きつけ、その音が響く。


「これより判決を下す。


被告人アルトは、剣士ギフトを保有する被害者ジュリアン・ローゼルスタッドの手足を斬り落とし、再起不能とさせた。


剣士ギフトのような、軍事系ギフトの中でも希少で強力なギフトの持ち主を、そのギフトを使用することができないまでに為さしめた罪は重い。


被告人アルトには、最も下級の兵士として、5年の期間、労務を果たすことを命ずる」



傍聴席からは、「手ぬるいぞ!」などの野次が聞こえる。


やはりローゼルスタッド侯爵家への阿りなどだろう。


俺が殺した取り巻きの親族の声も混じっているかもしれないが。


この作品を読んでいただきありがとうございます!


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