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大力(嘘)で身を立てる  作者: ろん
第二部 王都進出

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想定外の事態

『御前武試』が終わってから、国際行商の第1回商隊が戻ってくる前も、戻ってきた後も、俺は相変わらず学校では講義を受け、今まで知り合った人たちのところに顔を出しに行き、商人や商隊の依頼を受けていた。


『御前武試』に優勝したと話題に出ることが多くなったのがちょっとした変化だろうか。


特にそれで値上げをするようなこともなく依頼を受けているが、『御前武試』の優勝者が依頼を受けていると聞きつけて、新たに依頼をしようとしてきた見知らぬ商人や商会の仕事は断っている。


信頼関係ができているところの仕事を優先したいし、依頼してきた者の中には、以前話も聞かずに馬鹿にした態度を取った者までいたからな。



魔獣討伐の依頼を終えて、王都に戻り、外壁の門でギフト保有者養成学校の生徒の証であるバッジを見せて通り、外壁の内側に入った。


外壁の内側に入ってすぐの所で、何度か下町の酒場で一緒に話したことがある男が、焦った顔で俺に話しかけてきた。


「アルト!戻ってきてくれてよかった!ここで待っていたら会えるかもしれないと思ったんだ!

下町の方に来てくれないか!

アルトと同じ学校に通っている貴族が、下町で暴れているんだ!」


一瞬、何を言っているのかよく分からなかった。


すぐに我を取り戻し、自分を落ち着かせて、「下町のどこだ?」と聞く。


「いつものバーのある通りだ!」


「先に行くぞ!」


男に告げて、俺は身体術も行使して、下町の方へ急いだ。


まさか、あいつらか?


焦る心を抑えながら、道にいる者にぶつからないようにだけ配慮して急ぎ、下町に到着し、バーのある通りを確認する。



ジュリアン・ローゼルスタッドと、その取り巻き2人が、剣を抜いて立っていた。


殴られたと思われる大人が何人か倒れている。


ジュリアン・ローゼルスタッドの剣には血がついている。


下町の子どもの1人が、血まみれで倒れている。



俺は怪我をしている子どものところに行った。


袈裟懸けに斬られている。


命が危ないが、他者に身体術を行使させる方法での治療は子どもには厳しい。


生命魔術で太い血管から治していく。

時間がかかるが、命を失う前に何とかできそうだ。


後ろでジュリアン・ローゼルスタッドが何かを言っている。


背を向けている俺の背中を、取り巻きの2人が斬りつけてきた。


俺は身体術を使わずにあえてそれを受ける。


背中を斬られながら、生命魔術で治療を続ける。


2人から計6回背中を斬られたところで、子どもの治療を終えた。




ジュリアン・ローゼルスタッドに『御前武試』で大恥をかかせた。


こいつなら、大恥をかかせた俺に必ず何かしらの復讐を仕掛けてくると思っていた。


その復讐を潰して、次の手に繋げようと考えていたんだが・・・



俺が下町に出入りしていたことを知っていて、俺が王都にいない時を狙ったのか?


俺への復讐というより、憂さ晴らしが目的だろうか。


まさか、こんな馬鹿な行動を取るとは、思ってもいなかった。



想定していなかった、では済まないな。


下町のみんなには迷惑をかけた。



俺が治療した子ども以外は、命に関わる怪我をした者はいないようだ。


怪我をした者の治療はさせてもらうが、その前に、こいつらを処理しないとな。



「お前程度、試合じゃなければこんなもんなんだよ!」

「たかが平民が、偉そうにしやがって!」


俺の背中を斬りつけていた取り巻き2人が、調子に乗っているようだ。



そして2人が斬りかかってきた。


俺は右にいる取り巻きの首を掴み折り、手に持った剣を奪って左にいる取り巻きの首に突き刺した。


そして、左にいた取り巻きの持っていた剣を奪う。


取り巻きは、貴族家の子息かもしれないが、ギフトを持っていなければ名目上は準騎士より身分が下の立場になる。

準騎士が『無礼討ち』できる対象にもなる。



左の取り巻きが持っていた剣を持って、ジュリアン・ローゼルスタッドに歩いて近づいていく。


「・・・不意を打たれなければ、『剣士』ギフトを有する俺が負けるわけがないんだよ!」


なんだか都合のいいことを言って、ジュリアン・ローゼルスタッドが俺に斬りかかってきた。



俺は避けながら、左腕を肩の所で切り落とした。

痛みで蹲る前に、右腕を肩の所で切り落とした。


ジュリアン・ローゼルスタッドが前のめりに倒れた後、太腿の所で両足を切り落とす。


叫んでうるさいので、顎を砕いた。


それから、火魔術でジュリアン・ローゼルスタッドの傷口を焼き潰す。

ついでに切り落とした両手足も焼いておく。


貴族のギフト持ちを殺すと重罪だからな。


再起不能にしても重罪だが、量刑が変わってくる。


そのことに、意味がある。




下町の怪我をした者を生命魔術で治療していると、王都の警備兵たちがやってきた。


明らかに貴族の子息と思われる者が1人手足を失った状態で転がっていて、2人殺された状態で転がっている。


誰がやったかと警備兵が叫んだので、俺がやったと報告する。


学校の生徒の証であるバッジを見せ、背中の傷も見せて、経緯を説明する。


このために、俺は自分の背中を治療していなかったんだ。




俺は手に縄をかけられ、警備兵たちに連れて行かれる。


下町のみんなからブーイングが上がるが、俺が大丈夫だと声をかけると収まった。



俺は準騎士という立場があるので、王都の内壁の内側にある収容施設の方に連れて行かれた。


それほど時を待たずに、裁判が開かれるだろう。


・・・その場が、勝負の場となるな。


この作品を読んでいただきありがとうございます!


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