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大力(嘘)で身を立てる  作者: ろん
第二部 王都進出

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『御前武試』1日目③ 2回戦 アルト 対 体術ギフト保有者ボリス

司会の貴族が1回戦の終了を宣告した後、すぐに2回戦が始まった。


2回戦は、8試合16人ずつの8回になる。


1回戦のなかった山の方から始めていくようだ。



うん。明らかに1回戦より見応えのない試合が続くな。


盛り上がっているのは高台から見ている貴族くらいか。


ジュリアン・ローゼルスタッドだけでなく、取り巻きのギフトを持たない貴族家の子息も勝っている。

相手が思いっきり遠慮しているからだが。



なんというか、子どものお遊戯会を見ているような、そんな気にさせられるな。


有仁には子どもがいなかったが、なぜか友人の子どものお遊戯会に連れて行かれたことがある。


親バカなヤツだなと思っていたが、その友人よりも、それ以上に熱心な年配のママさん連中の情熱がすごかった。


子どもは可愛らしいと思ったが、それ以上にその親たちにひいた記憶がある。


今見ている試合は別に可愛らしくもないから、子どものお遊戯会よりも白けるな。



観客席も大分と白けているようだ。

・・・賭けの対象になるような生徒が出ていないからかもしれないが。



5回目以降の後半戦になると、だいぶ様相が変わってきた。


こちらの山に強い者が集められてそうだからな。


生徒も本気で戦い合っているし、観客席も盛り上がっている。

名指しで罵声を上げているのは賭けている奴らだろう。



7回目が終わり、最後の8回目、そして俺の出番がやってきた。


相手は体術ギフトを保有しているボリス。

俺の1歳歳上の13歳。

体術の講義で何度も見かけている。


直接手合わせをしたことはないが、講師との組手で何度か勝利していた。

なかなかの腕をしていると思う。



ボリスと相対する。

体術の講義とは違い、金属の手甲と足甲で手足を固め、動きを阻害しない革鎧を装着している。


背は俺より低く、160cmを超えたくらいか。

細身に見えるが、筋肉はしっかりついているようだ。


ボリスは左足を前に出し、両手の甲をこちらに見せるように構えている。


「大力ギフト、アルト」


「体術ギフト、ボリス」


互いに名乗った時点で、試合は始まるが、ボリスは動かない。


待ちの構えか。


なら動かしてやろう。



俺は正面からボリスに向かって真っ直ぐに剣先を突き出した。


ボリスは慌てて右に(ボリスから見て左に)避けながら右手の手甲で俺の剣を弾く。


俺は突き出した剣をそのまま右下に向けて振る。


ボリスは右足の足甲で剣を受ける。


ギーンと金属がぶつかり合う音が運動場に響いた。


ボリスは衝撃に耐えきれず、体幹が揺らぐ。


ボリスは後ろに飛び退いた。



いいようにやられてボリスの顔が怒りに染まっている。


今度はボリスが俺につっかけてきた。


両手両足を使い、俺に連撃を加えてくる。


俺は剣の刃の部分と柄の部分を手甲・足甲に当ててそれを防いだ。


連撃が途切れた瞬間に、俺は前蹴りでボリスの腹を蹴り飛ばした。



ボリスが3mほど後ろに飛ばされ、着地する。


ボリスは驚いた顔をしている。


そして真剣な顔になり、俺の左斜め後方に向けて飛んだ。


結構身体術も使えているな。

ボリスは足を一瞬強化して飛んでいた。


ボリスが俺の左斜め後方から右斜め後方にもう一度飛び、そこから俺に向かって飛んできた。


身体術で、おそらくボリスの限界まで強化した右腕で俺に殴りかかってきたが、俺は振り向きざまに剣の腹で右に弾き、そのまま右脇腹を斬りつけた。


あ、またマルセルと同じところに当ててしまった。

特に意識していた訳じゃないんだが、ワンパターンになってしまった。



ボリスが右脇腹を押さえてうめいている。


「そこまで!勝者、アルト!」


担架を持った救護員が駆けつけてくるのを横目に、俺は礼をして運動場を立ち去った。


この作品を読んでいただきありがとうございます!


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