『御前武試』1日目② 1回戦 アルト 対 斧士ギフト保有者マルセル
俺ともう1人が呼び出されて、運動場の中央に向かった。
向かい合って、事前に係員に言われていたとおりにギフトと名前を名乗り合う。
「大力ギフト、アルト」
「斧士ギフトのマルセルだ」
1回戦にエルン村長と同じ戦士系のギフト持ちを当ててくるとはね。
おそらく14歳で、俺と同じような体格だ。
『御前武試』に出場する生徒でもトップレベルの実力者じゃないか?
マルセルが真正面から、身体術の強化なしで真上から片刃の斧の刃を向けて振るってきた。
俺は武器だけ強化して、同程度の力で相手の斧を打ち返す。
マルセルがニヤリと笑って、今度は身体術で体も武器も強化して水平に斧を振ってくる。
また俺が同程度の力で斧を打ち返す。
マルセルが後ろに下がって、嬉しそうな顔で言った。
「お前、やるじゃないか」
言った瞬間に踏み込んで、マルセルがまた突進してくる。
俺の左斜め上、袈裟斬りにする軌跡で斧を振ってくる。
俺は振ってくる斧の刃の逆側に避けた。
マルセルは手首を返して斧の刃の向きを180°変え、振っている途中の腕を無理やり止めて、俺の方向に斧を振ってきた。
俺はしゃがんで避け、マルセルの左側面の方に移動する。
マルセルは俺の方に踏み込んで、そのまま体を回転させて俺の方に斧を当てにくる。
俺は斧に剣を当てて止めようと体の前に剣を持って行くが、マルセルがしゃがんで足元に斧を打ち込んでくる。
俺は剣の刃を下に向けて、マルセルの斧を止めた。
マルセルがそのまま振り切ろうと力を入れてくる。
俺はそのままの位置で剣を止めている。
マルセルが斧を持ち上げ、刃と逆側の部分で俺の頭を殴りつけてこようとする。
俺は剣の柄でそれを止める。
マルセルが後ろに飛んで仕切り直した。
「今のは結構本気でいったんだがなあ。あっさりと止めてくれやがって」
悔しさ半分、嬉しさ半分、という表情かな。
「ふっ」
またマルセルが飛び込んできて、また左上から袈裟懸けの軌道で斧を振ってくる。
また俺は刃の外側の方に移動して避けたが、マルセルはそのまま斧地面に叩きつけ、その反動で自分の体を俺の方に飛ばして飛び蹴りを放ってきた。
しゃがんで避けると、マルセルは斧を手元に寄せて、俺の上を通り過ぎる時に上から斧を俺に振る。
俺はそれを横に避ける。
マルセルは空中で前方に1回転しながら着地する。
マルセルは少し苛立たしげな顔をした。
・・・気付いたかな?
俺が観客への演出を意識して進めていることに。
今度は俺からマルセルに向かって走り、斬りつける。
マルセルは少し驚いた顔をしながら、斧の刃の逆側で防ぎ、そのまま俺に斬りつけてくる。
俺はその斧を右上に強めに払い、斧を両手で持っているマルセルの右脇が大きく開いたところを、剣で斬りつける。
ボグッという音が鳴り、マルセルが片手で脇腹を押さえながら、無言でうずくまった。
それでも斧を手放していないのは大したもんだ。
「そこまで!勝者、アルト!」
審判が告げると、観客席が沸き上がった。
俺に罵声を浴びせてくる観客もいる。
おそらく、マルセルに賭けていたんだろう。
救護員2人が担架を持ってきてマルセルを運んでいく。
俺は礼をして運動場から立ち去った。
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