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大力(嘘)で身を立てる  作者: ろん
第二部 王都進出

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『御前武試』と国際行商、フリーミアムモデル、変革の8段階

『御前武試』の話はエルン村長からも聞いていた。


ただ、エルン村長が学校にいた時は開催されなかったようだ。

エルン村長の学校に在籍した期間が短かったから、開催時期と被らなかったんだろう。



俺もあまり興味を持っていなかったんだけど、いろんな条件が重なって、今では『御前武試』が俺のターニングポイントになると考えている。


逆に言うとそこから物事が大きく動き始めるから、『御前武試』が今年にあるなら、その前にやっておくべきことも早めないといけない。



俺は国際行商、国をまたいで動く行商を早々に開始することにした。



学校に通っている間は衣食住のうち食と住は費用がほとんど発生しない。

衣には元々金をほとんど使わない。


商人や商会の依頼を受けて得た報酬はほとんど使っていない。

というか使う暇がない。


最近はコンサルティングのような依頼も増えて、俺が断らないように先に報酬を押し付けられている。



幸いというか何というか、資金には結構余裕がある。



有仁の世界では基本無料のオンラインゲームがいくつも運営されていた。


基本無料なのになぜ運営できるかというと、課金制度があるからだ。


基本無料なのになぜ課金する者がいるのか、それは、課金しないと使えない機能やポイントを求めるからだ。



基本無料のオンラインゲームのようなビジネスモデルを、フリーミアムモデルと呼んだりしていた。


有仁はオンラインゲームはほとんどやらなかったが、開発の方に絡んでいたことはある。


究極のところ、フリーミアムモデルは、時間をお金で買わせるモデルだ。


課金でアイテムや機能、ポイントなどを得て、無料だと時間をかけてこなすことを一足飛びにこなせるようになる。


「時間はお金で買えない」「人間は誰でも1日24時間」という考えを、オンラインゲームという世界では崩す。



そして、国際行商の開始も、金で早めることにした。




有仁が勤めていたコンサルティングファームでは、職員に様々な研修を受けることを義務付けていた。


その研修の中にリーダーシップ研修があり、企業変革リーダーシップがテーマの研修もあった。


その企業変革リーダーシップで変革の8段階について解説されていた。


その8段階は次のとおりだ。

1.危機意識を高める

2.変革推進チームをつくる

3.適切なビジョンをつくる

4.変革のビジョンを周知徹底する

5.従業員の自発的な行動を促す

6.短期的な成果を生む

7.さらに変革を進める

8.変革を根づかせる


長い研修だったが、具体的な事例や手法の説明もあって面白く、有仁の記憶に強く残っていた。


例えば「1.危機意識を高める」だと、ブチ切れた顧客を映したビデオを見せたり、会議室に飾られている歴代社長の肖像画を外して顧客の写真に入れ替えたりして、「お前たちは顧客を見ていたか?」と危機感をあおったり。



ただ、企業変革、停滞した大企業の中で社内ベンチャーなどを立ち上げて変革する、ということが目的のリーダーシップなので、そのまま使えるケースなんてほとんどないだろう。


有仁はケースによって換骨奪胎して組み替えて使っていた。



そして、今回の国際行商だと、次のように変換して使うつもりだ。


・多様性とそれを尊重するチーム作り

・目的・目標の共有とその徹底

・自発的な動きの尊重と評価

・短期的な成果を出させる

・結果を総括し、次に活かす



目的は現地調査。

目標は到達した町や村の数。それと情報量。


好きに動いてOKで、とにかく様々な情報を集めてもらう。

到達した町や村の中の情報も、その国の情報も、何が求められ、何が不安か、不確定でもいいから数を集める。


そして、無駄遣いもOK。

渡した資金がなくなりそうになったら帰ってきてもらう。

現地の娼館に通って娼婦から情報を集めてもいいしな。


いろんな経路で国際行商に参加する人材について打診していたが、この条件だと乗り気になる者も結構いるんじゃないかな。

それで商隊の参加者の多様性も確保できるだろう。


民間の軍事系ギフト持ちの3人には特に念入りに説得して参加してもらうつもりだ。



国際行商の第1回商隊が帰ってきたら、情報を総括して次の動きを決めていく。


今は速さが重要だ。

動いていくぞ。


この作品を読んでいただきありがとうございます!


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