なし崩しでコンサル② 5S活動、定量発注法
倉庫の扉を開けて、中を見ると、見る前に予想していた通りだった。
とにかくいろんな物が詰め込まれている。
その商人はどこに何がいくつ置いてあるのか、理解しているのかもしれない。
いや、それも微妙かな?
自分が何を購入してここに入れたかは把握していても、その後の動き、特に商人自身ではなく使用人たちが出し入れしたり動かしたりしていることは把握できていないだろう。
管理する以前の問題だよな。
在庫管理の前提としての5S活動について、商人に説明した。
整理・整頓・清掃・清潔・躾のことだ。
有仁の世界では、製造業だと、当たり前に徹底する。
QCD(質・コスト・納期)の全てに影響するからだ。
5Sができていなければ、質が落ち、コストが高くなり、納期が伸びる。
ところが、製造業以外でも5S活動を提唱する企業もたくさんある。
正しく行われていれば、何かしらの効果はあるからだ。
そういうところでは、5Sが何かもよくわかっていない人がほとんどだったりする。
語呂がいいので言葉自体は憶えていても、何を意味しているのかわからない、なんてことが、部署長レベルでもあったりした。
整理:
要らないものを置かないことを指している。
捨てるなり、管理場所とは別の場所移動させるなりして、とにかく不要なものは置かない。
整頓:
置くべき場所を決め、そこに置く、これを徹底することを指している。
何か理由があって一時的に動かす場合でも、必ず置くべき場所に戻す。
清掃:
これはそのまま、掃除をしてきれいにすることだ。
製造業ではこれをやらなければ致命的だが、そうでなくても、倉庫などできれいにしておくことは意味があるだろう。
この世界だとモラル向上と『割れ窓理論』的な対応にもなる。
自分で掃除した場所は汚さないように気をつけて作業するだろうし、きれいだと汚しにくくなるだろう。
清潔:
これは、整理・整頓・清掃がなされた状態を保ち続けることを指している。
一番よく誤解される用語で、「清掃と何が違うの?」と聞かれて唖然とすることもある。
躾:
これは、整理・整頓・清掃・清潔について、徹底指導し、継続させる、人的管理のことを指している。
人がやることなので、続けていると惰性で緩むこともある。
それを人事評価や適時の引き締めなどで継続させていく。
5S活動のやることの基本要素は最初の3Sで、後の2つはその管理の考え方だ。
5S活動ができたら、在庫が商人も使用人も見て分かるようになる。
そうしたら購買もルールで行うことができるようになる。
有仁の世界では、購買決定は、その商品の重要性によって、定期発注法、定量発注法、ダブルビン法などに分けて管理するのが定番だった。
この世界だと、分かりやすく定量発注法だけにするのでもよさそうだ。
定量発注法は、在庫の数が発注点、注文すべき量まで減ったら発注する考え方だ。
1日10個売れる商品があったとして、仕入先に注文すると入手に5日かかるとする。
それなら、在庫が50個まで減ったら、注文が必要になる。
実際には少し余裕を持たせて発注点を70個とかにするだろうが。
5S活動で在庫が見えるようになって、発注点と発注点まで減った時の発注する数を決めてルールにしておけば、都度の判断の必要がなくなり、商人だけでなく使用人でも注文ができる。
品切れをなくし、在庫で眠らせる時間を減らして品質が落ちない内に売れるようになるだろう。
そうすればマーケティングの4P・4Cも全体的に向上できることになる。
話していた商人は怒涛のようにメモに書きつけていた。
かなりやる気になっているな。
・・・なんだか、今回だけで終わらず、何度もいろいろ聞かれそうな気がするな。
それも、この商人だけでなく、いろんな商人や商会に。
これも、俺の信用を積み上げていくために必要なプロセスかな。
技術的なことを教えてしまうと、社会の歪みなどを考慮する必要が出てくるかもしれないが、考え方を教えるだけなら、まだましか。
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