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大力(嘘)で身を立てる  作者: ろん
第二部 王都進出

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なし崩しでコンサル① マーケティングの4P、4C

護衛の依頼や魔獣退治の依頼などをいくつか受け、その結果や自分なりに分析した情報を依頼者にフィードバックすることを続けていると、エルン村長やレフ兄さんから紹介されたという看板だけでなく、俺自身も信用されるようになってきた。



特に初めて魔獣退治の依頼を受けたノバック商会は、コミル村の問題解決と問題共有、解決策の提示を絶賛してくれた。


コミル村に盗賊が多勢で攻めてくる可能性はしばらく低いことから、常駐の戦力を置くことまでは無理でも、商隊に戦闘参加できる者を増やし、コミル村で交代し、非戦闘員も含めて常に数名のノバック商会の人間がいるようにはしたそうだ。


俺にその盗賊の捜索と討伐を依頼したかったようだが、さすがに拘束期間が長すぎて受けられなかった。


盗賊の動きがあからさまになって喫緊の問題となったら、俺も依頼を受けるかもしれないが。




商人や商会の人間と仲が深まると、より内情に近い話も聞けるようになる。


聞いていて思うのは、やはりところどころで高レベルの技術や考え方がある一方で、初歩のレベルまでも到達していないような分野もあることだ。


その歪さが気になっていまい、やろうと思っていなかったコンサルティングのようなことも、やることになってしまった。



エルン村でもそうだったが、商人はもちろん、商会になっても属人的なところが目立った。


商品管理、在庫管理なんてその最たるものだ。


品切れが当たり前にあるし、在庫にあるはずの物が見つからないなってこともしょっちゅうだ。


それで通用する社会ではあるのだろう。

客もそれを当たり前のことと許容する。


そこを改善すれば、他の競合に先んずることができるのにと思う。


・・・そして、それを雑談の中でポロっと言ってしまったのだ。



にこやかに話していた相手の商人の目がギンと鋭くなり、俺がたじろぐような勢いで詳しく話すように迫ってきた。


誤魔化せる状況ではなかったので、触りの部分だけ少しずつ話したが、執拗に追求されてしまった。



マーケティングの4P、マーケティングの4Cという考え方があった。

4Pの方は日本の高度成長期くらいに出てきた古い考えで、4Cは20世紀の末頃の考えだったかな。

これらも古いけど使いやすいフレームワークだった。


マーケティングの4Pは、製品・価格・流通・プロモーションの4要素を指している。


マーケティングの4Cは、顧客価値・コスト・利便性・コミュニケーションの4要素を指している。


同じ内容を4Pは企業側から、4Cは顧客側から見る考え方だった。


どちらでも、最初の2つは考えやすいだろう。

商品の良し悪しと、値段の問題だ。


商品については、マーケティングだと、「顧客はホームセンターのドリルが欲しいわけではなく、ドリルで開けた穴が欲しいのだ」のような、商品そのものじゃなくて、商品から得られる便益が目的なんだ、というのもあった。


この世界ではまだそこまで考えなくてもいいかな。

商品そのもの、食べ物や武器などが便益の目的になっているものがほとんどだ。


後者の2つについては、考慮の余地があり、商人や商会が検討できる内容でもある。



前者2つだけだと、同じ価格でもいいものか、いいものでも同じ値段にすれば売れる、安物商売になってしまう。


流通・利便性は、欠品なしでその商人に頼めばすぐに出てくる、というところで差をつけられる。


プロモーション・コミュニケーションは、混ぜものなし、品質がいい、などの信用、ブランドとして差をつけられる。


有仁の世界だと、その差の付け方自体を競うことになるが、こちらの世界では、在庫管理が適切にできているだけである程度差をつけることが可能になる。


要は、品切れなく、品質が悪化する前に売れればいいのだ。



有仁の世界の話はもちろんせず、こちらの世界向けに分かりやすく説明したら、今度はその在庫管理について相談したいから倉庫を見てくれと頼まれた。

・・・というか引っ張って連れて行かれた。


身体術を使われているわけでもないのに、迫力に負けてなすがままに連れて行かれてしまった。


この作品を読んでいただきありがとうございます!


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